東海大×大東文化大、同志社大×近畿大 東西で序盤の好カード
大学ラグビーは10月9日に東西で序盤の好カードがある。関東リーグ戦ではリーグ4連覇を目指す東海大学が大東文化大学と対戦。関西では昨年大学日本一の天理大学を破って勢いに乗る近畿大学が同志社大学に挑む。
4連覇目指す王者は圧勝発進
コロナ禍で2週間遅れた関東リーグ戦は開幕の9月26日、東海大は昨年7位の関東学院大から9トライを挙げて57-5と危なげなく勝利を収めた。格の差を見せつけた形になった東海大の木村季由監督は「やりたいことよりも、今できることをしっかりやろう」と選手たちをグランドに送り出したという。
小雨が降り続ける中、前半、東海大はFWのモール、近場にこだわることなく、セットプレーや相手のキックを起点にFW、バックス一体となってパスを展開。FL(フランカー)オフィナ・アフ(2年、東海大福岡)のトライを皮切りに前半だけで5トライを挙げた。相手FW陣に疲れが見えてきた後半はモールを軸に4トライを挙げて圧倒した。
中でも出色の活躍を見せたのはインサイドCTB(センター)丸山凛太朗(4年、東福岡)だった。今季は10番ではなく、12番の位置から長短のパスで好機を演出し、相手に隙があれば自ら仕掛けて前半2トライを挙げた。またプレースキックも任されており、この試合ではゴールキックも次々に成功させて文句なしのプレイヤーオブザマッチに輝いた。
丸山は「日頃の練習からミスに厳しくやってきた成果が出たかな。FWのラインアウトからのボールの供給が良くて、自分がボールをもらうときに自由に動けるスペースがあったのでゲインラインを突破できた。次の試合に向けてミスを少なくしたい」と振り返った。
関東学院の川崎は新ルール味方の好キック
関東学院大はディフェンスで随所に奮闘を見せた。副キャプテンのFB(フルバック)川崎清純(4年、盛岡工)がキックカウンターから大きくゲインしたり、新ルール「50:22」が適用される自陣から相手陣22m内へキックを蹴って、ワンバウンド以上させて外に出したりと光るプレーもあった。ただ相手のディフェンスの前に、ミスが多発し1トライを返すのがやっとだった。川崎は「ディフェンスが良かったのでそこは継続し、アタックでボールを継続しトライにつなげたい」と先を見据えた。
防御の勝利の大東文化
昨年6位の大東文化大は開幕戦で同2位の流通経済大に29-7で快勝した。両校ともコロナ禍で調整が遅れているが、大東文化の日下唯志監督は「夏合宿もできず練習試合もできなかったので、実戦感覚がどこまで戻っているか不安だったが、学生たちは不安を払拭(ふっしょく)するようなプレーをしてくれた」と予想以上の奮闘をたたえた。
フッカーの酒木凜平主将(4年、御所実)は「ディフェンスでしっかり前に出られていたので、このディフェンスを続ければ(トライは)取られないなという雰囲気がでた」と言い、安定感があった。奪った4トライのうち3トライはバックスが挙げた。日下監督が「バックスをリードしてくれる立場になって力強く感じている」と評価したのがCTB戸野部謙(3年、岐阜工)で、確実なゴールキックに加え自らトライも取った。大東文化大FBとして大学日本一の経験もある父に続く活躍を目指す。
「試合の流れをみてしっかり判断したところがよかった。流経大はFWが強いので、バックスではアウトに行ったら勝てる自信があった。外にいくタイミングを判断できた」と振り返ったSH稲葉聖馬(2年、御所実)は再三、好判断をみせ、自ら先制トライも挙げた。
昨シーズン、大東文化は1勝5敗1分けと元気なく、東海大にも12-55で完敗した。酒木主将は「チーム全員が声を出してくれて80分間、安心して試合ができた。次は東海大戦だが相手が強い時でもこういう雰囲気を作っていきたい」と前を向き、課題がみえたラインアウトを整備できれば、王者相手にも競り合いに持ち込める。
旋風起こすか近畿大
9月19日の開幕週に近畿大は天理大に23-7で快勝して関西のファンを驚かせた。PR(プロップ)紙森陽太(4年、大阪桐蔭)を中心にしたセットプレーは力強く、CTB福山竜斗主将(4年、天理)ら経験豊富なバックスも決定力がある。天理大戦の3トライは全てバックスが奪った。春季トーナメントで初優勝した同志社大はロック南光希(4年、東海大仰星)とSH田村魁世(4年、桐蔭学園)の共同主将制を採用し、近年にないまとまりがある。10月9日はこのほか関東対抗戦で、慶応義塾大を3年連続で破った筑波大がここまで2試合失点していない早稲田大に挑む。