世界最先端のスポーツ栄養学から生まれた「人を進化させる。」ブランド

DNS執行役員の青柳清治氏

健康意識の高まりを受けて注目を集めるプロテイン。「人を進化させる。」をミッションに、最先端のスポーツ栄養学を取り入れたプロテインやサプリメントをつくっているのがDNSだ。米国イリノイ大学で栄養学博士を取得し、同社で商品の監修を担う青柳清治氏に、プロテインを摂取する意義やこだわりの商品づくりについて聞いた。

――最近はコンビニでも、たんぱく質摂取を売りにした商品が話題になっていたりします。日本の健康への意識の変化を感じますか。

「私自身がそういう食品を買いたいと思っていたので、すごくうれしく思っています(笑)。ただし、本当の健康志向か単なる流行りなのか、注視しています。ひと昔前は『脂質カット』で、次には『糖質カット』、ようやく『たんぱく質』にたどり着きました。日本人はカットすることが好きですが、たんぱく質は付加していくものなので、そのギャップが気になります」

――栄養学の博士号を取ったアメリカなど計25年間暮らした他国と比べ、日本の健康への意識についてどう思いますか。

「違いがあるのは食文化です。アメリカでは、プロテインシェイクやスムージーで食事を済ませることに抵抗がありません。日本では、食事は日々の生活ですごく大事な位置付けをされています。食文化における栄養のとらえ方が違うと感じます」

――アメリカではプロテインは「食事」ですか。

「プロテインシェイクをはじめ、ミール・リプレイスメント(食事の代用)という考え方が定着しています。一方の日本では、食事からすべての栄養を取ることを勧める栄養士が多いんです。日本では、食事はおいしく食べるものという家政学的な文化。アメリカ、特にアスリートでは食事は栄養摂取の一部なので、足りないものはサプリメントで取るという考え方の違いがあります」

――そうした日本でDNSが掲げる「進化」を追うには、人々の考え方の変化が必須なのでしょうか。

「そうだと思います。特にスポーツ界では、栄養戦略をきちんとしないと欧米並みのパフォーマンスにならないでしょう。世界で成功する選手は栄養士がサポートして、そういう点にしっかり取り組んでいます。日本人の中でも、そうした感受性の高い選手が、世界で成功を収めています。学生への栄養指導では、『目で食べず、頭で食べよう』と伝えています。目にすると食べたくなるものはありますが、アスリートとしての栄養摂取に良いかを自分で考えられるようにならないといけません。少しずつ知識を積み重ねていく、食育のようなものです」

――最近はダイエットでも、走りだけではなく筋トレを意識する人も増えています。

「そういう勉強をしているアマチュアランナーは多いですね。だから、糖質制限からたんぱく質摂取へと変化してきたのでしょう。情報もインターネット上にあふれています。世代間の違いもあるし、日本人の考え方も変わってきていると思います」

――プロテイン摂取の意義を教えていただけますか。

「体の20%はたんぱく質でできています。筋肉だけではなく骨の半分以上も、皮膚、髪の毛もそうです。たんぱく質が不足すると体内から分解されて使われてしまうので、ヘルシーな体を保つのに必要な栄養素であり、プロテインやサプリメントを活用することを勧めています」

――食事だけでは不十分ですか。

「1日のたんぱく質の推奨摂取量はアスリートなら体重1kg当たり2g、一般的な成人の日本人なら1gです。エネルギーが不足すると、体の中から削って使うので筋肉が落ち、特にアスリートにとってはケガの原因になり得ます。一般男性は1日に3500kcal、アスリートは5000kcalほど消費します。それだけのエネルギーを毎日食事だけで得るのは大変です。スポーツ界でのエネルギー摂取不足は、深刻な問題なんです」

――最近も、過度なトレーニングで生理が止まった女性ランナーが、「絶対に真似してほしくない」と訴えていました。

「栄養指導を受けていなかったのかもしれません。強いアスリートには栄養士がサプリメントの有効利用も含めて指導することが多いです。いわば『栄養戦略』なんです。国際スポーツ栄養学会でも、アスリートに必要なたんぱく量を、データに基づいて推奨しています。さらに大事なのが、摂取の仕方です。アスリートでも胃袋の大きさは変わらないので、いかに効率良く体に吸収させるかで、大きな違いにつながります。たんぱく質は1日数回に分けて摂取したほうが、筋合成が進むなどのエビデンスは、たくさんあります。上手にプロテインを使いこなすことがアスリートには求められます」

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――最近はプロテインが多く店頭に並んでいますが、その中でDNSはどうやって違いを打ち出しますか。

「大切にしているのは質と、科学的根拠です。国際スポーツ栄養学会は2018年に最新の研究結果をまとめて栄養成分の評価を出していますが、日本の市場では科学的根拠が明確でないものも出回っています。日本ではスポーツ栄養の研究はまだまだですが、我々は欧米のデータを根拠に、使い方を指導したうえで商品を提供することを心がけています。例えば、「ホエイプロテインHMB&クレアチン」という商品は、たんぱく質にサプリメントとして使用される成分が追加されていますが、入れる成分や含有量は海外の研究データに基づいて決めています。
またアスリートにはもう1つ、アンチ・ドーピング対策を大切にしています。質の高いグローバルスタンダードの第三者認証を受けた製品を選ぶようにしましょう」

――その他にどのような違いを出していますか。

「消費者の調査をすると、必ず選択理由の最上位になるものがあります。『味』です。『プロテインはまずい』というイメージが残っている人は、現在30代や40代の方に多いようです。プロテインに出会う機会は人生に2度あって、最初は学生時代なのですが、その時のトラウマがあるのかもしれません。2度目に出会うのが、少しお腹が出始める30~40代なんですけどね(笑)。
だから我々は膨大なリサーチの結果、『味』をテーマにすると決めました。プロテインは継続して飲むことが大切です。美味しく飲み続けられるよう、味にはかなりこだわっています。過去にはさくら風味のフレーバーや、私が一番気に入った季節限定の焼きいも風味など、いろいろ開拓してきました。ヒットしたのはラムネ風味です。微炭酸で、シェイカーを開ける瞬間にポンと音が出ます」

――食事と同じく、日々続けていくものだからですね。

「大学生に教えるスポーツ栄養学の知識は、一生ものです。プロテインやサプリメントで栄養を摂る意義と方法を理解して、たくさんの選択肢の中から選んで摂取する。それがゆくゆくは健康的な生活、身体に結びついていくと考えています」

――今後はどんな展開を考えていますか。

「DNSは昨年分社化しました。ニュートリション(栄養)スペシャルな会社として、今までとは違う考え方も出していけると思います。スポーツ栄養のコンセプトや素材は、他の分野にも応用可能です。
まさにたんぱく質が、そうです。臨床の現場では、高齢者のたんぱく質不足が指摘されています。たんぱく質が必要なのはアスリートだけではありませんが、高齢者がシェイカーで溶かしたプロテインを飲むというのは、日本ではしっくりきません。そこでDNSでは、日本人が大好きな麺類にたんぱく質を入れたプロテイン麺を出しています。いまはアスリート向けですが、いずれは高齢者が喜んで食べてくれると思います。そういう視点でもっと幅広く、ニュートリション(栄養)カンパニーとして伸びていきたいと思っています」

〈Profile〉

青柳 清治(あおやぎ・せいじ)/栄養学博士、DNS 執行役員。米国オキシデンタル大学卒業後、協和発酵バイオ株式会社でアミノ酸研究に従事する中で、イリノイ大学で栄養学の博士号を取得。以降、外資企業で栄養剤ビジネス、商品開発の責任者を歴任した。日本へ帰国後2015年から、「アンダーアーマー」の日本総代理店でもある株式会社ドームのスポーツニュートリション事業「DNS」にて商品の監修を担当。2020年より分社化した株式会社DNSでサイエンティフィックオフィサーを務める。