ラグビー

京都産業大が好調の近畿大に競り勝つ、首位は同志社で混戦模様の関西

前半28分にモールからトライを決めて喜ぶ京都産業大のHO梅基天翔(撮影・斉藤健仁)

ラグビーの関西大学Aリーグは10月17日に滋賀・皇子山総合運動公園陸上競技場で2試合が行われた。1試合目に今季、台風の目となっている近畿大学が登場した。昨年はコロナ感染拡大の影響で順位決定戦を棄権し最下位の8位に終わったが、開幕から大学王者の天理大学、同志社大学に連勝し、昨季3位の京都産業大学相手に3連勝を狙った。

トライ数で上回った近大及ばず

ブルーのジャージーの近大は、スクラムで優位に立つと、チャンスを得て右中間にCTB(センター)中洲晴陽(はるや、4年、筑紫)がトライを挙げて5-0と先制する。しかし、その後は京産大FWが強みであるスクラムと接点で圧力をかけてペースをつかんでいき、PGとモールからHO(フッカー)梅基天翔(うめもと・かける、4年、高岡第一)がトライ(T)を挙げて10-5とリードして前半を折り返す。

後半もスクラムで優位に立った京産大のペースは変わらず、12分、24分、ペナルティーのチャンスにFB(フルバック)竹下拓己(3年、東福岡)がPGを決めて16-5とリードを広げる。近大は試合終了間際の39分にWTB(ウィング)宮宗翔(みやそう・かける、4年、大阪桐蔭)がTを返して12-16としたが、そのままノーサイド。コロナ禍、開幕が延期となった京産大が連勝を飾った。一方、近大は今季初黒星となった。

後半39分にトライを挙げた近大WTB宮宗翔(撮影・斉藤健仁)

近大キャプテンのCTB福山竜斗(4年、天理)は「相手の強い部分で勝負してしまった。せっかくチャンスでボールを持ってもバックスがエラーし、近大らしいラグビーができなかった」と肩を落とした。ただ今季から勝ち点制を導入しているため、7点差以内の敗戦でボーナスポイント1を得たことは今後につながるはずだ。

一方、後半の後半でジャッカルもみせた京産大の共同キャプテンのPR(プロップ)平野叶翔(かなと、4年、西陵)は「フィジカルで圧倒していこうと話していて、それができたので勝利できた」と胸を張った。前半の途中からスクラムを修正できたことに関して平野は「いろんなスクラムにどう対応できるのかやっている。試合中に改善できるように選手同士でしゃべっていた」と練習からの成果であることを強調した。

後半、ジャッカルを決めた京産大共同主将の平野叶翔(撮影・斉藤健仁)

同大は立命を後半突き放す

2試合目は同立戦だった。前半こそ立命館大学がディフェンスで粘りを見せた7-7で折り返した。ただ同大は共同キャプテンのLO(ロック)南光希(4年、東海大仰星)が「(敗戦した)近大戦から1週間、タイトな中で自分たちのラグビーができるように準備してきた」と話したように、後半はFW、バックス一体となりテンポ良くボールを展開し、ゲームを支配。WTB和田悠一郎(4年、東海大仰星)、FB山口楓斗(4年、東海大福岡)らが5Tを挙げて42-14で快勝した。

同志社大はWTB和田悠一郎(右)とSO嘉納一千が攻撃でさえをみせた(撮影・斉藤健仁)

2勝目を挙げた同大の南キャプテンは「負けた後の試合が一番大事と話していました。今日は勝って、また勢いを出そうと話をしていたので、勝つことができてよかった」と安堵(あんど)の表情を見せた。立命館キャプテンのCTB木田晴斗(4年、関西大倉)は「後半、最初の20分、前半でやれていたことをやり切ろうと話していたが、力不足で得点を許してしまった」と唇を噛(か)んだ。

天理大は同志社と同じ勝ち点10

16日には関西リーグ5連覇中の天理大も2勝目を挙げた。17日が終わった時点で、同大(2勝1敗)が勝ち点10で首位に立ち、2位に得失点差で同じく勝ち点10の天理大(2勝1敗)が続く。さらに3位には1試合消化が少ない京都産業大(2勝0敗)が勝ち点9で3位につけて、今季、初黒星となった近畿大(2勝1敗)は勝ち点9で4位に後退した。24日に京産大と摂南大学が対戦し、京産大が勝利すれば首位に立つ。いずれにせよ近大が負けたことにより、関西の優勝争いは混沌(こんとん)としてきたと言えよう。

関東リーグ戦は東海と日大が全勝キープ

関東リーグ戦では4連覇を狙う東海大学と日本大学が3連勝を飾った。東海大は専修大学を71-0で下して今季初の零封勝ち。木村季由監督は「先週の試合よりレベルアップできるよう臨んだ。途中、途中で不要なパスや自分たちの中でちょっとしたエラーが続いている時間帯はあったが、やろうとしている方向性は全員が一致している。そこは成長している」と話した。

リーグ戦初先発した東海大学のCTB近藤翔耶(撮影・朝日新聞社)

丸山凜太朗(4年、東福岡)に代わってCTBでリーグ戦初先発したルーキーの近藤翔耶(とわ、東海大大阪仰星)も前半に力強い突破をみせた。木村監督は「どこまでアグレッシブにできるか期待して起用した」と言い、近藤は「縦に出るプレーは通用する部分もあった。グラウンド全体に(ボールを)大きく動かす部分では、SOに伝えたりFWの立たせ方だったり、もっと工夫できる部分があった」と振り返った。

法政大学は中央大学を40-13で振り切って2勝目を挙げた。前の試合で関東学院大学に敗れたため駒井孝行監督は「ちょっとリズムも悪く、テンポを上げたい」とハーフ団などメンバーを入れ替えた。大澤蓮主将は「取れる時に点を取って、PGでどんどん点差を広げていこうというゲームを作った」と言い、4PGを含めて手堅い試合運びをみせた。自陣深くに攻め込まれる場面もあったが、「『ノーペナルティー』など、自分を含め仲間を鼓舞できるような声かけを常にしていた」

モールからトライを奪う法政大。中央大戦はボーナス点も獲得(撮影・斉藤健仁)

日大の井上風雅は3試合で13トライ

3連勝の日大はフランカーからHOに転向した井上風雅(2年、東福岡)が17日の試合でも爆発し、3試合連続でプレイヤーオブザマッチに輝いた。大東文化大学を相手に1人で4Tを挙げ、初戦の3T、2試合目の6Tと合わせて3試合で計13Tと勢いは止まらない。昨年の主将だったHO藤村琉士(NTTコミュニケーションズ)が目標の選手といい、「レッグドライブと持ち味のボディーバランスを生かして相手をかわしていく」ことを意識している。昨年2位の流通経済大学は関東学院大と接戦になったが、終了間際にFB河野竣太(4年、常翔学園)のトライで試合をひっくり返し31-27で今季初勝利を挙げた。

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