関大・白岩優奈 思い出したスケートの楽しさ、全日本では「自分のしたい演技を」
11月に行われた西日本選手権で2位となった白岩優奈(京都両洋、2年)。昨年に続き全日本選手権出場を決めた。ジュニア時代に頭角を現し、全国のトップクラスで戦っている。
結果を求め苦しむ日々から抜け出して
白岩がフィギュアスケートを始めたきっかけは06年トリノ五輪。金メダルを獲得した荒川静香の演技を見て、自らスケート教室に通うことを望んだ。そして、ダイナミックなジャンプなどを武器に15年全日本ジュニア選手権大会2位、16年世界ジュニア選手権大会4位など、国内外で輝かしい成績を残してきた。「スケートが楽しい」。ジュニアの頃はその気持ちだけで突き進むことができた。
しかし、シニアに転向してからは「自分の夢は何か」を考えるように。夢は五輪出場。4年に1度しかないチャンスを自分のものにするため、「結果が第一」と考えることが増えた。この考えがプレッシャーとなり思うように結果が残せない。そんな中、19年にはけがで全日本選手権を欠場。納得のいく練習ができない日々が続いたが、「今までどんな気持ちでスケートに臨んでいたかな」「ジュニアの時はどうだったかな」と自分と向き合う時間ができた。「楽しまないといい結果は出ない」。いつでも楽しく滑ることができていたジュニア時代を思い出した。そして昨年、2年ぶりに全日本選手権大会の舞台へ帰ってくると、会場の空気を感じながら楽しんで滑ることができた。
スケートの楽しさを思い出し、自分らしい演技を
そしてオリンピックシーズンの今年。再び白岩の前に壁が立ちはだかる。足のけがや体の成長。多くのスポーツ選手が直面する問題に向き合いながら、シーズンオフ中は「自分自身が迷子になった時期もあった」と苦悩した。だが、スケート人生が折り返し地点を過ぎている中で「せめて少しでも滑っている姿をお見せできたら」とファンを思い、近畿選手権大会の出場を決めた。全国出場をかけ戦った西日本選手権大会。ショートプログラムではジャンプをすべて着氷し、完成度の高い演技を披露した。フリースケーティングではジャンプの転倒がありながらも、後半に連続でコンビネーションジャンプを入れるなど健闘。最終順位2位で全国への切符をつかんだ。
今シーズンは、ショートプログラムの『feeling good』で自信あふれる芯のある女性、フリースケーティングの『Scheherazade』で強い女性を演じている。シニアの世界に入ってから今年で5年目。ジュニア時代に感じていたスケートの楽しさを忘れず、20歳になったからこそ出せる大人の魅力を発揮する。「今は順位やミスをすることを考えず、自分のしたい演技を目指して」。壁を乗り越え、白岩らしいスケートを全日本の会場で披露する。