陸上・駅伝

特集:第98回箱根駅伝

箱根駅伝、エントリー上位10人の平均タイムは? 16チームが28分台に

ともに27分台のタイムを持つ太田(右)と中谷。昨年は2、3区で襷をつないだ(撮影・藤井みさ)

12月10日に箱根駅伝のエントリーメンバー16人が発表された。駅伝はもちろんトラックのタイムだけでははかれないが、どれぐらいの選手を揃(そろ)えているのか、ある程度の目安になることは事実。ここでは各チーム上位10人の10000mの平均タイムを速い順に紹介する。

※平均タイムは12月10日の記者会見時の各校主務の申告に基づいて記載。

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10000m上位10人平均最速は駒澤大

平均が28分30秒以下のチーム
駒澤大学   28分24秒85
青山学院大学 28分29秒07

全21チーム中、10人の平均タイムが最速だったのは駒澤大学。16人中、28分台以下のタイムを持っている選手は8人だが、そのうち主将でエースの田澤廉(3年、青森山田)が12月4日に27分23秒44を出し、オレゴン世界陸上の参加標準記録(27分28秒00)を突破するなど、学生の枠にとどまらない活躍を見せている。エース格の鈴木芽吹(2年、佐久長聖)も27分41秒68で、この2人がチームの平均タイムを大きく引き下げている。

鈴木(右)と田澤は5月の日本選手権10000mでともに走り、27分台をマーク(撮影・藤井みさ)

青山学院大学は11月23日のMARCH対抗戦で自己ベストを出す選手が続出し、エントリーメンバー16人全員が28分台で揃う驚異のチーム力を見せている。チーム内最速はエース・近藤幸太郎(3年、豊川工)の28分10秒50。

平均が28分31秒~59秒のチーム
明治大学   28分31秒18
創価大学   28分35秒81
中央大学   28分37秒35
順天堂大学  28分37秒50
東海大学   28分39秒88
國學院大学  28分42秒34
早稲田大学  28分43秒41
関東学生連合 28分46秒62
日本体育大学 28分47秒96
東京国際大学 28分47秒73
帝京大学   28分53秒53
中央学院大学 28分55秒19
山梨学院大学 28分56秒88
東洋大学   28分59秒58

平均が28分31秒~59秒のチームは14チームあり、28分30秒を切る駒澤、青学と合わせると実に21チーム中16チームが平均28分台ということになる。もはや箱根駅伝で上位を争うチームにとって28分台は必須条件といえる時代になってきたと言えそうだ。

前回大会11位で、26秒差でシード権に届かなかった明治大学は、主将でエースの鈴木聖人(きよと、4年、水城)が28分09秒24とチームトップ。エントリーメンバー内には28分30秒以内のタイムを持つ選手が鈴木を含め4人いる。前回大会2位と躍進した創価大学は、フィリップ・ムルワ(3年、キタテボーイズ)が27分35秒29でチーム内トップ。次いでエースの嶋津雄大(4年、若葉総合)が28分14秒23のタイムを持っている。順天堂大のエース・三浦龍司(2年、洛南)の記録は28分32秒28だが、これは10000mのレースにほとんど出ていないこともある。3000mSCで8分09秒92の日本記録を出したスピードを考えると、10000mでも27分台の力はあると見て間違いないだろう。

関東学生連合チームは、箱根本戦に出場できなかった各大学のエース級の選手が集まっていることもあり、平均タイムは21チーム中10番目と上位に。中でももっとも速いタイムを持つのは、今シーズン成長著しい日本薬科大学の中山雄太(3年、花咲徳栄)で28分07秒33。区間配置によっては他大学とそん色なく戦える可能性を秘めているチームだ。

中山は予選会でも全体22位と好走(撮影・藤井みさ)

駅伝では負けなしの東京国際大学のイェゴン・ヴィンセント(3年、チェビルベレク)は、12月4日に27分24秒42の自己ベストを出した。しかし同じレースで駒澤大の田澤に競り負けたため、今大会のエントリーメンバー内でもっとも速いタイムを持っているのは田澤である。

東洋大学の平均タイムは28分59秒台だが、実力者の松山和希(2年、学法石川)の持ちタイムが30分台など、記録会に出ていないことも影響していると考えられるため、一概にタイムでははかれないところがある。

平均が29分台のチーム
国士舘大学  29分03秒26
神奈川大学  29分04秒12
法政大学   29分05秒10
駿河台大学  29分12秒69
専修大学   29分32秒84

平均が29分台のチームは5チーム。令和初の初出場チームとなった駿河台大学は、ジェームズ・ブヌカ(4年、リルタセントラル)の27分45秒59がトップ。28分台の選手は3人だが、チーム力で箱根路に臨む。予選会9位の専修大学は平均タイムでは全21チーム中最下位となるが、エースの髙瀨桂(3年、鳥栖工)は持ちタイムは29分台であるものの予選会で日本人3位(ハーフマラソン・1時間2分49秒)だった。記録会に出ていないためタイムを持っていないという選手も多い。長い距離となってくるとまた違う戦い方が見られるはずだ。

専修大のエース髙瀨は前回大会は1区19位と苦しんだ。今年はリベンジに燃える(撮影・北川直樹)

驚くべき勢いで進む高速化

4years.では全日本大学駅伝のチームエントリーの際にも、上位8人の10000m平均タイムを算出した。10月13日に提出した記録に基づいて計算した際には、平均が28分台のチームは青山学院大と早稲田大学のみだった。全日本大学駅伝と箱根駅伝ではエントリーメンバーが違うこと、8人と10人の平均ということで一概には比べられないが、この秋のシーズンに自己ベストを更新した選手が多数いることは事実。シューズやトレーニングの進化に伴って、ますます高速化が進んでいる。

1月2日、3日の箱根駅伝でも、あっと驚くような新記録を見ることができるだろうか。すべての選手が実力を出し切り、悔いのない走りができるようにと願っている。

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