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特集:北京冬季オリンピック・パラリンピック

北京の夜空に浮かんだ「ONE WORLD」 冬の五輪旗はミラノへ

北京オリンピックの閉会式に入場する藤沢五月(右)らカーリング女子日本(ロコ・ソラーレ)の選手たち(撮影・白井伸洋)

 北京市内の国家体育場(通称・鳥の巣)の中央には、雪の結晶をかたどったモニュメントに囲まれたトーチの聖火が浮かんでいた。

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 20日午後8時(日本時間午後9時)、北京冬季五輪の閉会式が始まった。白い衣装をまとった子どもたちが、ランタンを手に持って聖火の下に集った。その明かりに誘われるように雪の結晶が降りてきて、「冬」という字をモチーフにした今大会のエンブレムが浮かび上がった。

 中国の習近平(シーチンピン)国家主席が貴賓席から手を振った。やがて雪の結晶は、AR(拡張現実)の技術で「中国結び」の赤い光に覆われた。全世界の「団結」への願いが込められているという。

 間もなく、舞台袖から参加各国・地域の旗手が入場し、日本はスピードスケートの郷亜里砂選手が旗手を務めた。その後、各国選手団が入場。日本選手団もリラックスした様子で、フィギュアスケートの坂本花織選手は笑顔で手を振って歩き、カーリング女子日本代表は体を寄せ合って記念撮影をしていた。

 中国の人たちにとって、「鳥の巣」は2008年の北京夏季五輪の記憶を残す特別な場所。この日は招待客らがスタンドから、同国初の冬季五輪の閉幕を見つめた。

 開閉会式の総合演出を務めた映画監督の張芸謀(チャンイーモウ)氏は「プロでない、普通の庶民に重きを置く」とコンセプトを説明。また、「主役はアスリート」と中国メディアに語っていた。

 会場全体を2万個近くの赤いちょうちんの光が包んだ。こんなメッセージが込められた。「大会を終えた選手たちが自国に帰っても、この大会の温かさを全世界に伝えてほしい」

 終盤には4年後にイタリアで開かれるミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪に向け、開催都市の市長らに五輪旗が引き継がれた。

 開会式から17日間、大会を見守ってきた聖火。会場に子どもたちの歌声が響く中、そっと消えた。

 最後にスタジアムを揺らしたのは盛大な花火だった。北京の夜空に「ONE WORLD(世界を一つに)」とのメッセージがかたどられた。

(畑宗太郎)

=朝日新聞デジタル2022年02月20日掲載

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