陸上・駅伝

洛南高・佐藤圭汰が「世界」を見据えて駒澤大へ 三浦龍司にも田澤廉にも勝負

洛南高のユニホームで走る最後のレースは、佐藤にとってきっかけとなるレースとなった(撮影・全て松永早弥香)

第105回日本選手権クロスカントリー

2月26日@福岡・国営海の中道海浜公園クロスカントリーコース(1周2km)
シニア男子10km
1位 松枝博輝(富士通) 28分46秒
2位 葛西潤(創価大3年) 28分51秒
3位 池田耀平(カネボウ) 28分56秒
4位 塩尻和也(富士通) 29分00秒
5位 坂東悠汰(富士通) 29分06秒
6位 市田孝(旭化成) 29分09秒
7位 篠原倖太朗(駒澤大1年) 29分12秒
8位 佐藤圭汰(洛南高3年) 29分18秒

前回のクロカン日本選手権U20男子8kmでぶっちぎりの優勝を飾った佐藤圭汰(洛南高3年)は、3種目(1500m、3000m、5000m)で高校最高記録を樹立し、再び舞台に戻ってきた。慣れ親しんだ洛南高校(京都)のユニホームで走るラストレースはシニア男子10km。8位入賞という結果にも、「全然力がないことを確認でき、大学に向けて頑張っていこうという気持ちになった」と悔しさを込めた。

先頭集団に食らいつき、4周目で単独走へ

シニア男子10kmはアップダウンや砂地もある1周2kmのコースを5周するレースで、実業団や大学の選手がそろう中、佐藤は唯一の高校生として出走した。坂東悠汰(富士通)を先頭に大きな集団となり、佐藤は2~3番手でレースを進める。3周目で松枝博輝(富士通)が先頭に立ち、先頭集団はオープン参加の外国籍選手を含めて10人ほどに絞られた。

佐藤(1100番)は序盤から攻め、2~3番手の位置でレースを進めた

佐藤も先頭集団の中にいたが、ペースアップについていけず、次第に先頭集団から後退。4周目からは単独走となり、歯を食いしばりながら高低差6mのビッグパワーヒルを駆け上る。前には春から進む駒澤大学の先輩・篠原倖太朗(1年、富里)の姿。しかし最後までその背中を捉えられず、29分18秒での8位でゴールした。

2021年シーズン、佐藤は7月に1500mで3分37秒18、10月に5000mで13分31秒19、11月には3000mでも7分50秒81と立て続けに高校最高記録をマークしてきた。12月の全国高校駅伝(都大路)では3区を走り区間4位。洛南は2時間1分59秒で日本高校最高記録を更新しての2位だった。今大会は自分がどこまで成長できているかを確認する狙いもあったという。だがペースアップに対応できずに終わり、自分の課題を痛感させられた。

三浦さんも超えたいです」

佐藤は高1の時には度重なるけがに苦しみ、奥村隆太郎監督の指導のもとで体作りに取り組んでいた。高2の春には新型コロナウイルスの影響でレースどころか練習すらままならない日々が続いたが、その期間にYouTubeを通じて世界大会のレースに触れ、自分も世界の舞台で戦いたいと思うようになったという。「中学校では全国のトップを目指すくらいだったけど、高校では世界を目指すという夢を持てるようになり、その夢を胸に心身ともに成長することができたのかなと思っています」。高2の時にはトラックでも駅伝でも着実に結果を出し、その実績と自信が高3での活躍につながった。

本来であれば今回のレースには洛南の2つ上の先輩である三浦龍司(順天堂大2年)も出走する予定だった。佐藤が1年生だった2019年の都大路では三浦が1区(区間21位)、佐藤が2区(区間賞)で襷(たすき)をつないでいる。三浦も2年前にこの舞台でU20男子8kmに出場し、8位だった。その後は順天堂大学に進み、3000mSCで日本記録保持者となり、東京オリンピック3000mSCで7位入賞などと世界の舞台で輝かしい結果を残している。

「自分も三浦さんのような世界で勝負できるような選手になりたいです。今回かなり悔しい思いをしましたし、これを機にもっと成長して、三浦さんのような日本では絶対負けないような選手になりたい。三浦さんも超えたいです」

今大会には三浦は体調不良で欠場したが、また違う舞台で偉大な先輩に挑めることを佐藤も楽しみにしている。

世界を見据えて指導する大八木監督の下、佐藤(1100番)は大学1年目から世界へ挑戦する

まずは世界選手権を見据え、夏から強化して箱根駅伝へ

駒澤大への進学を決めたのは「世界」を見据えてのこと。大八木弘明監督からは「(今年7月の世界選手権の)オレゴンで勝負しよう、世界を目指そう」という言葉をかけられ、大学ではまず、1500mを中心にスピード強化に取り組む予定だ。夏以降は駅伝を見据えて距離を踏み、駅伝でも活躍できる選手を目指す。

今はまだ箱根駅伝のような20km級のレースは「自信がない」と言う。だが、10000mの日本人学生記録保持者(日本歴代2位)で今年の箱根駅伝2区区間賞の田澤廉(駒澤大3年、青森山田)は目標であり、超えていきたい存在だとも言う。「離されっぱなしではなくて、しっかり食らいついて、いつかは抜けるくらいに成長したいです」

世界を目指しているからこそ、誰にも負けたくない。高校で広がった夢をつかむため、大学で新たな挑戦を始める。

in Additionあわせて読みたい