陸上・駅伝

駒澤大・唐澤拓海 チームの主力として結果を出し、学生駅伝三冠に貢献したい

関東インカレ5000m、10000mでともに日本人トップをとり、一躍駒澤大の主力となった唐澤(すべて撮影・藤井みさ)

5月の関東インカレ2部5000mと10000mでともに日本人トップとなり、一躍駒澤大学の主力として注目されるようになった唐澤拓海(2年、花咲徳栄)。改めて成長の要因と、これからの目標について聞いた。

駒澤大・唐澤拓海が関東インカレ2種目で日本選手トップ 悔しさをバネに成長

「来年は自分も」の気持ちで変われた

唐澤は昨年度、全日本大学駅伝と箱根駅伝のエントリーメンバーに入ったが、出走はかなわなかった。箱根駅伝では同級生の白鳥哲汰(2年、埼玉栄)、鈴木芽吹(2年、佐久長聖)、花尾恭輔(2年、鎮西学院)の3人が走り、優勝に貢献。走れなかった悔しさを糧に2、3月に走り込み、スタミナをつけたことがトラックシーズンの躍進につながった。3月27日の世田谷記録会5000mでは13分40秒90、4月24日の日体大記録会10000mでは28分02秒52でともに自己ベストを更新。関東インカレ2部5000mは13分42秒54、10000mは28分05秒76でともに全体3位、日本人1位だった。そして7月10日のホクレンディスタンスチャレンジ網走大会では5000mを走り、13分32秒58とさらにベストを更新した。

スタミナがついたことで自己ベストを更新でき、良いシーズンだったと振り返る

「5000m、10000mも自己ベストを更新できて、関東インカレでも日本人トップを取れて、去年よりいいシーズンだったと思います」。1年目は力がまだなく、ポイント練習をこなすことでいっぱいいっぱいとなり、ジョグに意識を向ける余裕がなかった。スタミナがついたことによって練習でも余力を残して終われるようになり、結果的にジョグで長い距離も踏めるようになった。「成長したと思います。同期が3人(箱根を)走ったので、来年は自分も出てやるという気持ちで変われたと思います」

田澤、鈴木との練習が大きな刺激に

唐澤は主将の田澤廉(3年、青森山田)、鈴木とともに練習をこなせるようになってきたが、まだまだ2人との大きな差を感じるという。鈴木には一度関東インカレ5000mで先着したが、ホクレン網走大会5000mでは鈴木が組2着、唐澤が6着で、5秒近い差がついた。「関カレで勝っていたので、『ここで勝ったら偶然じゃないぞ』と思ったんですけど、やっぱり芽吹のほうが一枚上手だったなと思いました」

鈴木(左)をはじめ、強い同級生の存在は唐澤を成長させてくれている

2人と一緒に練習できるようになって、考え方も変わった。具体的には「ほんとに小さいことですけど」と前置きし、「スピード練習でも、普通はスパイクを履いて走るのに、2人は靴でやったりしています。ラストも、今までだったら少し設定より速いぐらいだったのが、2人とやるとほぼ全力に近いペースで上がったりとか。レベルが高いです。練習に対する意識というのを改めて感じさせられています」。小さなことかもしれないが、トップレベルの選手の考えを知れるようになったことは確実に唐澤の糧になっている。

では、主力として注目されるようになって何か変わっただろうか。唐澤自身は自分のことを「あんまり『上の人』だと思わない」と話す。「2人は実績もあるし、1年目から強いです。僕は最近調子がよくなっただけで、練習もつくだけで精一杯です。2人は余裕でこなすけど、自分にはその余裕がないので」とその理由を語る。だが強い選手と一緒にやれることは刺激になっており、「練習もそうだけど、試合もまた一緒に走ってみたい」と上を見続けている。

単独走を克服し、駅伝で必ず結果を

唐澤の強みはラストスパートだ。関東インカレの際にも、10000mではラスト500m、5000mではラスト300mでスパートし、勝ちきった。だが「駅伝や、上のレベルのレースになると、ロングスパートをしないと後ろとの差が開かないと思います。なのでもっとスパートを伸ばしていきたいと思っています」と話す。逆に苦手だと思うのは単独走だ。今まで、誰かの後ろにずっとついてレースを進め、最後のスパートで勝つというパターンばかり経験してきた。大きなレースで単独走の経験はまだ一度もないといい、「駅伝はどうしても単独走になると思うので、そこでいつも通りできるのかが不安です」。そのため夏の強化練習では、距離走でも積極的に引っ張り、普段のジョグも一人で走るなどして、単独走に慣れていこうとしている。

強みであるラストスパートをさらに伸ばし、駅伝では必ず活躍を

昨年、唐澤は全日本大学駅伝では8区田澤の、箱根駅伝では6区花咲悠紀(4年、富山商)の付き添いだった。今までにない大規模な大会に、「走らないけど緊張した」と思い返す。今年こそは選手として。「チームの主力と言われているので、任せられた区間でしっかり結果を残して、チーム目標である三冠に必ず貢献できるように準備していきたいです」と言い切った。

同級生の中で特に意識している選手としては、白鳥の名前をあげた。同じ埼玉の高校ということで入学前からずっとその存在を気にしてきた。「彼が強くなるとチームとしては楽しみだけど、個人としてはライバルなので。でも、同期が強くなかったら、ここまで来られていないと思うので、本当に感謝してます」

強いチームメートと競い合い、唐澤はさらに強くなる。秋の駅伝デビューが待ち遠しい。

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