陸上・駅伝

洛南・三浦龍司、塩尻和也を追って順大へ 強さを求めて3000m障害も箱根駅伝も

クロスカントリー日本選手権は三浦にとって高校ラストレースとなった(すべて撮影・藤井みさ)

第103回日本選手権クロスカントリー

2月22日@福岡・国営海の中道海浜公園クロスカントリーコース
U20男子8km
8位 三浦龍司(洛南高3年) 24分26秒

2月22日にあったクロスカントリー日本選手権は、多くの大学4年生にとって学生ラストレースとなった。その一方で高校3年生にとっても、思い出の詰まったユニフォームで走るラストレースだ。「とくに何位以内とかは考えてなくて、高校最後のレースだったから楽しんで走りたいと思ったんです」。昨年6月の日本選手権で3000m障害の日本高校新記録(8分39秒37)を樹立した三浦龍司(洛南高3年)は、U20男子8kmに出走して8位入賞。高校ラストレースを笑顔で終えた。

高校ラストレースは砂に足をとられて失速

前回、三浦は24分35秒の記録で13位だった。今大会には明確に何位という目標こそはなかったものの、「去年よりはいい順位で走りたいな」という思いはあったという。

2kmを4周走るレース、三浦はスタート直後に待ち構える高低差6mの「ビッグパワーヒル」を真っ先に駆け上るも、強い横風を受けてからは「集団の中で風を避けながらじわじわ先頭にいこう」と考え、一歩引いたところからレースの流れをうかがっていた。しかし砂に足がとられて体力を消耗してしまい、最終周には同期の赤星雄斗(洛南高3年)にも抜かれ、8位でフィニッシュ。「前半は思い通りのレースができたんですけど、3周目にさしかかるところでばててしまいました」。三浦は苦笑いを浮かべながらレースを振り返った。

3年間ともに戦ってきた赤星(中央)に最後は敗れたが、それでも三浦(左)は笑顔だった

同レース5位以内の選手は、香港で開催を予定しているアジアクロスカントリーの代表選手に内定となる。5位だった赤星に対し、三浦は「最後は負けてしまったけど、いままで競り合ってきた仲間なので、アジアを決めてくれてうれしいです」とたたえた。

塩尻和也から刺激を受けて強くなる

前述の通り、日本選手権3000m障害予選で高校新記録をたたき出し、決勝では8分40秒30の記録で高校生ながら5位入賞を果たした。続く8月のインターハイにも多くの期待が寄せられたが、「注目されていようが、目標は優勝だけでしたから」と三浦。失格で予選敗退に終わった前回の雪辱を誓って挑み、優勝は3連覇を果たしたフィレモン・キプラガット(倉敷高3年)に譲ったものの、3位以下を突き放しての2位だった。

三浦はこの春からは順天堂大に進む。進学先を決めた理由は同大学卒業生である塩尻和也(富士通)の存在だ。「順大のトラックを使って一緒に練習することもあると聞いたので、そんな環境に刺激をもらえたらと思ってます」と目を輝かせた。

塩尻は大学2年生のときにリオデジャネイロオリンピックを経験している。三浦自身は2024年のパリオリンピックを念頭に置いているものの、“大学生オリンピアン”への野心はある。「今年の日本選手権は東京オリンピックの選考も兼ねてますから、少しでも勝負に食らいつきたい。ただ今年は次に向けての課題を見つける年なのかなとは思ってるので、いろんな刺激を受けてきたいです」。現在地を見定め、着々と夢に通じる道を切り開いていく。

昨年の日本選手権3000m障害決勝、三浦(左から2番目)はあこがれの塩尻(左端)とも戦った

初めて目にした箱根駅伝、6区を走りたい

今年の箱根駅伝は順天堂大に進む新1年生たちとともにレースを追った。沿道を埋め尽くす観客と大声援に、これまでのどんな大会よりもスケールの大きさを実感させられた。順天堂大は一時は9位とシード圏内にいたものの、最後は14位でゴール。今年は予選会からとなるが、「1年目から活躍してシード権を狙います」と三浦。いま思い描いているのは6区を走る姿だが、「力がついてきたらまた目指す区間を変更していきたい」と語る。そこには4年連続で“花の2区”を走った塩尻の姿もまた、見えていることだろう。

三浦は昨年の日本選手権の前にあった6月の近畿大会3000m障害でも、8分39秒49という記録で当時の日本高校新記録を樹立していた。三浦自身、「スピードとキレ」が自分の持ち味だと感じている。大学では自分の武器をさらに磨き、塩尻のように箱根駅伝でも学生トップをひた走るオールラウンダーな選手を目指す。

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