大学陸上・駅伝

東海大・鬼塚翔太、学生ラストレースは「悔しい」 トラックへの思い新たに

鬼塚はゴール直後、両膝に手をついて立ち止まり、苦しい表情のままゆっくりとコースを後にした(撮影・松永早弥香)

第103回日本選手権クロスカントリー

2月22日@福岡・国営海の中道海浜公園クロスカントリーコース
シニア男子10km
9位 鬼塚翔太(東海大4年) 29分59秒

大牟田高校出身の鬼塚翔太(東海大4年)にとって福岡は“地元”であり、1月19日にあった都道府県対抗男子駅伝でも福岡チームで駆け抜けた。そんな鬼塚にとって2月22日のクロスカントリーの日本選手権は、地元で走る学生ラストレースとなった。観客からもひときわ大きな声援が飛んだが、結果は9位だった。

東海大・鬼塚翔太 最後の箱根で「スピードスター」の真骨頂を

3位以内を目指すも、スタートから苦しい展開に

前回6位だった鬼塚は今回、3位以内を目標にしていた。シニア男子10km優勝者には5月9日にある日本選手権10000mの参加資格が、2~3位の選手には同大会の参加標準記録B突破を条件に参加資格が与えられる。大学卒業後、DeNAに進む鬼塚が目指すのはトラックでの勝負。学生ラストレースは次の舞台につながる第一歩だった。

2kmのコースを5周するレースは大きな集団で動いたが、3km手前で田村和希(青山学院大~住友電工)が前に出ると先頭争いは5人に絞られた。鬼塚は後輩の松崎咲人(東海大1年、佐久長聖)に続く第3集団。歯を食いしばりながら、起伏のあるコースを駆け上がる。後半は単独走になるも徐々に松崎との差を詰め、最終の5周目で抜き去ると9位でゴール。6位入賞で笑顔を見せる島貫温太(帝京大4年、市立柏)のすぐ側で、鬼塚は悔しさがのぞく苦しい表情でコースを後にした。

ラスト5周目、鬼塚(手前)は高低差6mの「ビッグパワーヒル」で松崎を抜き去った(撮影・藤井みさ)

「いや~、予想以上に最初からきつくて……。悔しいですけど、あまり納得いく走りはできなかったです」。レース直後、鬼塚は視線を落として言った。力不足。鬼塚自身にはその思いが強い。レース中も「鬼塚!」と自分を励ます声援は届いていた。たくさんのエールに応えたいという気持ちもあったが、「その期待になかなか応えられない走りになってしまったのかな」とつぶやいた。

駅伝に一区切り、トラック1本で世界を目指す

昨年は春と夏に2度渡米し、大迫傑(早稲田大~ナイキ)と練習をともにした。強度の高い練習はもちろん、大迫の“覚悟”の強さに刺激を受けた。ラストイヤーは5000mに照準を合わせて取り組んでいたものの、狙っていた日本選手権は9位に終わり、自己ベストの更新ならず。駅伝シーズンを迎え、出雲駅伝では5区で区間4位となり、東海大は4位だった。全日本大学駅伝は左アキレス腱のけがで欠場するも、チームは16年ぶりに優勝。個人としては悔しさが胸にくすぶっていた。

そして最後の箱根駅伝では前回に続いて1区を任された。早稲田大の中谷(なかや)雄飛(2年、佐久長聖)とともにレースを牽引し、トップと10秒差の4位で2区の塩澤稀夕(3年、伊賀白鳳)に襷(たすき)をつないだ。1区区間賞の米満怜(創価大)は大牟田時代のチームメイトだった。往路4位だった東海大は復路で一気に追い上げたものの、総合2位で初の連覇はなし遂げられなかった。

鬼塚が進むDeNAは2018年度より、チームとしての駅伝大会への出場を終了している。そのため鬼塚にとって、今年の箱根駅伝は最後の駅伝大会となった。狙っていた区間賞を逃した悔しさはあるものの、「これからは自分の目標としているトラックに専念して勝負をします」と前を向く。

箱根駅伝を終え、今後はトラック1本で世界に挑む(撮影・松永早弥香)

今大会での課題は明白だ。「根本的に力不足。もっとトレーニングを積む必要があるのかなと思いました。1位や2位だった選手などに比べてその差は歴然でした。トラックで勝負するにはもっともっとスピードを磨いていかないと」。将来的にはマラソンも視野に入れているが、この数年はトラックに重点を置いて5000mと10000mで勝負し、2024年のパリオリンピックを目指す。

学生ラストレースを終え、鬼塚は自身のツイッターでこうつぶやいている。「次、福岡で走る時はもっと力をつけて帰ってきます」。東海大のユニフォームに別れを告げ、新たなステージで躍進を誓う。