柔道

福岡大・青野南美「楽しみをかみしめ、笑顔で終わりたい」 仲間と団体戦で有終の美を

父の背中を追って柔道を始め、福岡大学で改めて柔道の楽しさをかみしめている(写真提供・福岡大学広報課)

「もともと運動することはあまり好きではなかった」。そう話すのは、福岡大学柔道部女子に所属する青野南美(4年、豊浦)だ。6月の全日本学生優勝大会では昨年の2位を超える優勝を目標としていた。結果は3位と目標達成とはならなかったが、見事2年連続のベスト4、さらに青野は2年連続の優秀選手の受賞となった。福岡大学のポイントゲッターとして活躍する青野は準備を欠かさず、目の前の試合に一戦一戦全力を尽くしている。

周りの人の応援が力になった

青野が柔道を始めたのは父親の影響だという。「父親が柔道をしていて、道場に見学に行き、気がついたら始めていた」と話す。小学生の時は負けず嫌いで、同じく柔道を始めた姉に負けたくない気持ちで練習に励んでいた。中学、高校は地元・山口県下関市内の学校に進学し、柔道を続けるつもりはなかったという。

しかし、「周りの人が温かく、応援があったから続けてこられた」と話すように、少数精鋭で練習に励み、休日には出稽古を多く経験した。その結果、高校時代には全国高等学校選手権大会でベスト8と結果を残し、多くの大学から推薦の話があったという。そんな青野はシドニーオリンピックで銅メダルを獲得した日下部基栄(きえ)さんが監督を務める福岡大学を選んだ。

青野(右)は日下部監督に学び、全国の舞台で戦う力を養った(写真提供・福岡大学広報課)

「監督の親しみやすさで進学を決めた」と話すように、日頃は差し入れをしてくださり、会話もしやすい優しい監督だという。しかし練習、試合になると雰囲気があり、オンとオフの切り替えがはっきりある。

コロナ禍、柔道が好きなことに気づいた

青野にとっての転機は大学2年生の時。新型コロナウイルスの流行により、福岡大学柔道部も柔道着での練習ができなくなるなど難しい時期を過ごした。それまで青野は日頃の練習やランニングにどこかマイナスな気持ちがあったが、その時は練習ができないことに歯がゆい気持ちがあった。そこで青野自身、柔道が好きなことに気づいたという。また、ランニングやトレーニング中、青野は好きなジャニーズの音楽を聴いてテンションを上げ、厳しい時期を乗り越えた。

また青野にはチームメートへ感謝の気持ちがある。「個人よりもチームとして戦う団体戦が好き」と話すように、団体戦では福岡大学に勝利をもたらしてきた。昨年の全日本学生優勝大会では優勝候補たちに競り勝ち、九州の大学として初めての決勝進出をつかんだ。決勝は東海大学に敗れての2位だったが、青野は勝負所でポイントをもたらし、「自信がついた大会」となった。

チームの団結力で勝利を

その後、社会人の有名選手も多く出場する皇后杯全日本女子柔道選手権大会にも、九州予選の覇者として出場した。「初めて経験する雰囲気で緊張し、一試合目で場に飲まれてしまった」と話すように、本来の実力を発揮できず、一回戦敗退となった。この悔しさ、経験をチームに持ち帰り、今年の全日本学生優勝大会に臨んだ。

上記の通り、昨年を超える成績とはならなかったものの、準々決勝の筑波大学戦では日頃、青野と打ち込み練習をともにする1年生の大野萌亜(熊本西)が代表戦で勝つなど、昨年よりチームの団結力での勝利した試合も多く、「楽しく試合をすることができた」と青野は振り返った。

青野(右)自身もチームの団結力を実感している(写真提供・福岡大学広報課)

社会人でも柔道を続ける予定だが、「福岡大学として戦える試合はもう少ない」と青野が言うように、規模の大きい全国大会は残り2つしかない。「勝ちたいのはもちろんだけど、楽しみをかみしめて、笑顔で終わりたい」と話してくれた。目の前の試合に全力で臨み、チャンスが回ってきた時には全力でつかみにいく。そのための準備にも余念はない。

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