サッカー

慶應大・GK野田にな、貫いた文武両道 2連覇がかかるU20女子W杯で「試したい」

野田は小学生の頃から勉強とサッカーを両立してきた (c)JFA/PR

WEリーガーで、現役の慶應大生。練習場とキャンパスを往復する日々を送るのが、サッカーの20歳以下(U20)日本代表で日テレ・東京ヴェルディベレーザ所属のGK野田にな(慶應義塾大1年、慶應女子)だ。入学して約4カ月。未来のなでしこ候補が、今、見据えるものとは。

気がついたら、GKにのめりこんでいった

8月10日に開幕するU20女子ワールドカップ(W杯)に出場するため、コスタリカ入りした野田は目を輝かせた。「ワールドカップを経験すること自体が初めてなので、すごく楽しみ」

170cmの長身で、足元の技術にも自信を持つ。「ベレーザはボールを保持するスタイル。そういうなかで攻撃参加していくところが自分の強み」。今年1月に下部組織の日テレ・東京ヴェルディメニーナから昇格を決め、昨季のWEリーグにも4試合出場したホープだ。

小学1年生の時にサッカーを始め、GKになったのはバディFCに所属していた小学4年生の頃。W杯など大舞台でビッグセーブを見せる男子の川島永嗣(RCストラスブール)のプレーに憧れた。

男子日本代表で活躍してきた川島永嗣の姿を見て、野田はGKに一層のめりこんだ (c)JFA/PR

家族の言葉を受け、文武両道を継続

慶應の付属中を受験。勉強とサッカーを両立することは、小学校からのルーティンだった。「三つ上の兄も中学受験をしていて。小学4年の時から塾に通っていました。練習と塾、毎日行くのが当たり前だった」。周囲の友だちはどちらかを諦め、塾なら塾、サッカーならサッカーとしぼっていく。ただ、その両方をこなした。「練習のスケジュールが重なっていても、両方やろうと。割と自然にやっていたのが今につながった」

高校時代は特にきつかった。午前7時に起きて慶應女子(東京)に通い、電車に乗って、メニーナの練習へ。家に帰るのは午後10時頃だった。そのなかでもGKとしてめきめきと成長していった。

3年生でベレーザへの昇格が決まった時、そのまま大学に進学するかどうか、迷いもあったという。サッカーの道のみを選ぶか、ベレーザのスタッフとも面談をした。最終的には、家族の言葉に背中を押された。

「大学に行くことで、サッカー以外の世界の人ともつながりができるよ」

高校からWEリーグに進む選手も少なくない中、野田は家族の言葉で決心した (c)JFA/PR

実際、経済学部に進学すると、新たな友達ができた。同じ高校から進学した同級生が1人もいない教室で授業を受けることもある。「サッカーとは直接関係なくても、なにかひらめきをもらったり。そういう刺激がある」という。

入学して3カ月。1~2限は授業に出て、午後2時頃からのベレーザの練習に参加する日々を送る。

「性格的には、コツコツ型ではなく、レポートとかも結構ぎりぎりに出すタイプ。でも、あんまり自分にストレスがかからないように、ぎりぎりな自分も許してあげるのがコツ」とにっこりと笑う。

高校時代にベレーザ戦で残した悔い

サッカーでは、悔しい思いも乗り越えてきた。特に印象に残っているのは、2年前の冬の皇后杯2回戦。高校生中心のメニーナで、「先輩格」のベレーザと対戦した。なでしこジャパンのメンバーをそろえる先輩を「絶対倒したい、と思っていた」

悔やまれるのは、0-0で迎えた前半終了間際。今は日本代表で主将も務めるDF清水梨紗にクロス性のボールをそのまま決められた。「前半、絶対0でいきたいところで決められてしまう、最後の最後まで集中を切らさない、そういうところを悔しさから学んだ」

翌年の皇后杯では、その悔しさをバネにINAC神戸レオネッサ、大宮アルディージャVENTUSといったWEリーグ勢を次々に撃破。中高生イレブンがベスト4に勝ち上がる快進撃の立役者にもなった。その経験は、今も自信になっている。

野田は高校時代、全日本U-18で優勝し、皇后杯ではベスト4進出という成績を残している (c)JFA/PR

U20W杯の舞台・コスタリカで感じた縁

今の目標をたずねると、「まずはベレーザで活躍することが1番」。そして、初めてのU20W杯の舞台を心待ちにする。新型コロナウイルスの影響で、海外勢との戦いはほとんど経験できなかった。「自分のプレーがどこまで通用するか試したい」からだ。

名前の「にな」はスペイン語で小さな女の子を意味する「ニーニャ」が由来。スペイン語圏のコスタリカで開催される大会に「なんか縁を感じます」と笑う。

2連覇を狙うヤングなでしこの最後尾で躍動する姿に期待がかかる。

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