軟式野球

史上最多V11の中京、貫いた「たたき」って何? 軟式野球の神髄

あべの翔学-中京 九回裏中京、サヨナラ勝ちを決め喜ぶ中京の選手たち(撮影・頼光和弘)

 第67回全国高校軟式野球選手権大会(日本高校野球連盟主催、朝日新聞社、毎日新聞社など後援)の決勝が29日、兵庫県明石市の明石トーカロ球場であった。東海代表の中京は大阪代表のあべの翔学を4―3とサヨナラで破り、史上最多となる3年ぶり11度目の優勝を決めた。

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■中京が貫いた「たたき」

 犠牲バントはいらない。中京は信念を貫いた。自分たちには伝統の「たたき」がある、と。

 同点の九回。1死から4番荒井優真が安打で出た。ここで嶌田碧が投手前に打球を高くバウンドさせた。2死二塁。最後は、昨年の決勝ではボールボーイだった藤村昴斗が左中間を破るサヨナラ打を放ち、史上最多11度目の頂点をつかんだ。

 殊勲の3年生は「2年生の4、5番がつないでくれたから」。

 中京は普段の打撃練習から、ボールの上っ面を打つことを繰り返してきた。大きく跳ねる軟式球の特徴を生かし、打球を高く弾ませる。それが「たたき」だ。打順に関係なく自分を犠牲にし、1点をもぎ取るのが中京野球の神髄といえる。

 今大会4試合で犠打は一つだけ。七回も「たたき」で得点した。平中亮太監督は「バントをしなかったというよりも、たたきで進塁させて、攻めた」。

 2020年は新型コロナで大会が中止。昨年は4連覇を目前に敗れ、その直後に再びコロナの影響で約1カ月間、部は活動を休止した。その間、主将の伊佐次快麻を中心にオンラインでミーティングを開いて、バラバラだった新チームをつなぎとめてきた。

 金メダルを首にかけた伊佐次は言った。「全国優勝をしたことがなかったので実感は湧いていないけど、ここまで続けてこられて本当によかった」

■あべの翔学が大健闘

 あべの翔学は二回に下前が左中間に2点三塁打を放ち、今大会で初めて中京から先取点を奪った。エースでもある下前は直球とカーブを組み合わせて連打を許さず、野手陣は好守備で下前をもりたてた。2014年に男女共学になり大阪女子高校から校名変更。出場2度目で初の準優勝に輝き、17年の創部時から率いる要監督は「(選手に)感謝したいです」とねぎらった。

=朝日新聞デジタル2022年08月29日掲載

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