野球

特集:2022年 大学球界のドラフト候補たち

オリックス1位指名は白鷗大・曽谷龍平 奮起のきっかけの「43球」

オリックスから単独指名を受け、笑顔を見せる白鷗大の曽谷(撮影・根岸敦生)

 20日にあったプロ野球のドラフト(新人選択)会議でオリックスに1位指名された白大の曽谷龍平には「奮起のきっかけ」と振り返る「43球」がある。

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 藤倉多祐監督は「入学当初から球速は約140キロと速かった」という。だが、当時は荒れ球。制球が思うに任せなかった。

 2020年10月12日の関甲新学生野球リーグ。白大野球場での上武大2回戦。試合は五回までに4点リードされ、六回から2番手でマウンドに立ったのが曽谷だった。先頭打者に三塁内野安打を許し、四球四球で3失点。七回も3四死球に長短打などが絡んで3失点。計43球。コールド負けになった。

 降板後、ベンチ裏でグラブを投げつけ、悔し泣きする曽谷の姿があった。バッテリーを組んだ捕手の角田康生は「あの試合から変わった」と記憶していた。

 この年はコロナ禍のため、春季リーグは中止。満を持しての秋だった。明桜高の頃は70キロ弱だった体重を1日6食で増やし、パワーアップをめざしていた。「でもメンタル面で、これではダメだと自覚した」と藤倉監督は振り返る。

 藤倉監督は現役時代、阪神やロッテでプレー、引退後もコーチやスカウトとして活躍した。「上をめざせる素質はあった。何より負けん気が強いのは才能」

 奈良・斑鳩中から秋田・明桜高を経て、白大で才能を開花させた曽谷。体格は182センチ、80キロと一回り大きくなった。今年7月には全日本の一員として活躍。「遠征で同室だった亜大の青山(美夏人)投手やチームのメンバーとの出会いも上をめざす励みになった」と曽谷。

 チームは秋のリーグで優勝こそ逃したものの、6試合で4勝し、防御率0・24。打者139人から50奪三振と結果を残した。右打者の内角を突く直球が武器で、150キロを超す。

 小学校の頃から憧れてきたオリックスからの1位指名。「自分は力感のないフォームからのストレートが武器。プロ入りがスタートです」。夢の晴れ舞台に立つ時が来た。

(根岸敦生)

=朝日新聞デジタル2022年10月20日掲載

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