サッカーW杯代表に大学出身者9人 「はざま」の扱いだった時代経て
1日に発表されたサッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会(20日開幕)に臨む日本代表26人のうち、大学サッカー経験者は9人だった。近年は、Jリーグでも大学経由の選手の活躍が目立っており、その流れが反映されたといえる。
大学サッカー経験者で選ばれたのは、GKシュミット・ダニエル(シントトロイデン)、DF長友佑都(FC東京)、DF谷口彰悟(川崎フロンターレ)、MF伊東純也(スタッド・ランス)、DF山根視来(川崎フロンターレ)、MF守田英正(スポルティング)、MF相馬勇紀(名古屋グランパス)、MF三笘薫(ブライトン)、FW上田綺世(セルクル・ブリュージュ)。
Jリーグが始まった1993年以降、大学サッカーは「はざま」の扱いを受けてきた。優秀な選手は、高校やJクラブの育成組織から直接プロの扉をたたくのが主流に。注目度でも高校サッカーとJリーグの人気に劣り、存在感は薄れつつあった。
それに伴い、日本代表に選ばれる大学サッカー経験者も減っていった。W杯では、日本が初出場した98年フランス大会ではおよそ半数の11人だったが、2002年日韓大会以降は2、3人にとどまっていた。
今回選ばれた大学サッカー経験者は、全て関東大学リーグの出身。関東大学連盟の理事長も務める流通経済大の中野雄二監督は「このリーグが持っているクオリティーが選手を育てている。どこの学生であっても、可能性はみんな秘めている。成長曲線はみんな違うし、それぞれがどこで気付くかだ。自分自身で気付いた人間は、グンと伸びて、プロに行っても代表まで届いているんだと思う」と話す。
その流通経済大は毎年多くのプロ選手が輩出してきたが、W杯では今回の守田が、出身者として初のメンバー選出となった。
同じ守備的MFの藤井海和(かいと)(2年)は「自分もやれるかもしれないという希望を見せてくれている選手。環境が同じなので、いいわけはできない。自分次第だと思いながら、毎日練習している」と話している。
■W杯メンバーに選ばれた大学サッカー経験者
・1998年フランス大会=11人
小島伸幸、相馬直樹、井原正巳、小村徳男、山口素弘、中山雅史、名波浩、服部年宏、岡野雅行、斉藤俊秀、秋田豊
・2002年日韓大会=3人
秋田豊、服部年宏、中山雅史
・2006年ドイツ大会=2人
巻誠一郎、坪井慶介
・2010年南アフリカ大会=3人
長友佑都、岩政大樹、中村憲剛
・2014年ブラジル大会=2人
長友佑都、伊野波雅彦
・2018年ロシア大会=3人
東口順昭、長友佑都、武藤嘉紀
※途中退部も含む。メンバーの人数はフランス大会は22人。以降は23人
=朝日新聞デジタル2022年11月01日掲載