陸上・駅伝

特集:第54回全日本大学駅伝

青山学院大は「プライド大作戦」 全日本大学駅伝の前日会見、各校監督が展望語る

「プライド大作戦」を掲げた青学大の原晋監督(撮影・すべて浅野有美)

11月6日、いよいよ第54回全日本大学駅伝が開催される。レース前日の5日、監督会見が対面とオンラインで行われた。駒澤大学・大八木弘明監督、青山学院大学・原晋監督、順天堂大学・長門俊介監督、國學院大學・前田康弘監督、中央大学・藤原正和監督の5人が出席し、大会の目標やレースの展望を語った。

各校監督の優勝予想は? 14チームが挙げたのは駒澤大学 全日本大学駅伝アンケート

駒澤大・大八木監督の目標は「3連覇」

冒頭、各大学の監督が今大会のテーマと目標を語った。

大八木監督は「当然3連覇狙いに来ています」ときっぱり。優勝の確率について「ミスさえしなければ80~90(%)までいけるかな」とチームの順調ぶりをうかがわせた。エースの田澤廉(4年、青森山田)は出雲駅伝で調子を落としていたが、大会後は順調にきているという。

もちろん優勝を狙う青学大。大会恒例となっている作戦名について、原監督は右手の拳を上げて「プライド大作戦」と発表した。「それぞれのプライド。我々も箱根王者としてのプライドを持って戦っていきたいと思います」と意気込んだ。

長門監督は「3位以内。地に足をつけて隙があれば1つでも上を目指していきたいと思います」と目標を掲げた。「数年前から前半はけっこういい流れでいけているが、後半はしりつぼみになって順位を落とす大会が多かった。今年は後半のロング区間、(7、8区の)2区間でしっかり勝負できるようにオーダーを組んできました。主力のメンバーがきちんと仕事をしてくれれば、いい成果が出るのではないかなと思います」

前田監督は「3位以上を目標に掲げてますし、もちろん優勝というところもまったく考えないわけではない」と語った。出雲駅伝では駒澤大と52秒差の準優勝を果たし、勢いがある。「出雲駅伝のときより段階を一段階上げられましたので、出雲以上の状態でチームはのぞめる。非常に私自身が楽しみしております」と自信をのぞかせた。

司会から大八木監督との師弟関係について振られると、前田監督は「なんとかこう……邪魔したいじゃないですけど、3連覇と(学生3大駅伝)三冠を。なんとか一矢報いたい」と闘志をのぞかせると、大八木監督は「受けて立ちましょう!」と応えた。

9年ぶり出場の出雲駅伝で3位に入った中央大。藤原監督は「8位のシード権の確保は絶対」とし、表彰台も視野に入れる。出雲駅伝後に強化を行い、「全体的にはいい流れでここまできている。我々まだまだチャレンジャーだと思っている。1つでも2つでも順位が上にいけるようにチャレンジしていきたいと思っている」と語った。

國學院大の前田康弘監督(左)が「(駒澤大の)3連覇、三冠は邪魔したい」と話すと、駒澤大の大八木弘明監督(右)は「受けて立ちましょう」と応えた。

注目は2区!エース級がずらり

会見では、4日発表のメンバー表を見ながら各監督がレース展望を語った。

今大会、2区に各大学のエース級が集まっている。駒澤大・佐藤圭汰(1年、洛南)、順天堂大・三浦龍司(3年、洛南)、國學院大・山本歩夢(2年、自由ケ丘)、東京国際大学・丹所健(4年、湘南工大付)、早稲田大学・井川龍人(4年、九州学院)などがエントリーされている。原監督は「2区注目です。今年はどかーっとみんないく」との見立て。スピードレースになる様相だ。

前回大会は前半区間で苦戦し、一時はシード圏外まで落ちた駒澤大。大八木監督は「前半も含めてしっかり、後半はある程度自信をもちながらレースを進めていきたいと思っている」と起用について説明。2区にスーパールーキーの佐藤圭汰を投入し、前半から確実にリードしていく。

順天堂大は前回大会、6区を終えた時点で2位につけ、駒澤大に1分以上の差をつけていたが逆転された。終盤2区間の重要性を踏まえた上で、「前半勝負で組んできている大学もいると思うので、少しでも前の方にいきたい」と話した。

原監督は「前半はどの大学が先頭に立つかわからない。今年もアンカー決戦になるのかなという気がしています」と予想。前回大会は最終区間で飯田貴之主将(当時4年)が、駒澤大の花尾恭輔(3年、鎮西学院)とのアンカー勝負で敗れて2位だった。今大会でその雪辱を果たす。前田監督も「6区までは今年も出入りの激しいレースになる。7、8区でチームの力の差が出るのかなとい思います」と分析した。

藤原監督は中盤の戦いも注視する。「5、6区にエース級の選手が入っている大学もいる。前半遅れることを見越して入っているのか、5、6区も多少稼いで7、8区につなげるのか、レースの流れも大きく影響すると思いますので、そのあたりも含めて混戦になると思っています」

「当然3連覇」と語った駒澤大の大八木弘明監督

気になる当日変更 青学大・近藤幸太郎はどこに起用?

当日のメンバー変更の話題では、各校の監督の思惑が見えてきた。

現時点では補員となっている青学大のエース近藤幸太郎(4年、豊川工)。司会から当日変更の可能性について水を向けられると、原監督は「これはあまり言うべきではないでしょう。わくわくしながら考えてもらったら」と笑顔でかわした。

報道陣からは何人を、何区で変更するかの質問も出た。

大八木監督は「区間はちょっとね、楽しみにしてもらえたら」とし「3枚変える予定です」と先陣を切った。すると原監督は「3枚って、すごい人を変えるから、もう駒澤優勝ですね、みなさん。私どもは2枚変えます」と明言した。駒澤大は主力の花尾恭輔、山野力、鈴木芽吹を補員で登録しており、当日どの区間に起用するか注目されている。

長門監督は「区間は言えません」とした上で、現時点で補員になっている「経験者である平(駿介)、石井(一希)、海老澤(憲伸)は変えます」と明かした。前田監督は、「2枚ですね。中西(大翔)は変えます」と続いた。一方、答えに窮した藤原監督は「けっこうみなさん豪快に……」と苦笑い。「死活問題になるので私はノーコメントで」と返した。中央大は中野翔太(3年、世羅)と吉居大和(3年、仙台育英)の2大エースを補員にエントリーしている。

「我々まだまだチャレンジャーだと思っている」と語った中央大の藤原正和監督

大会当日のエントリー変更は、午前6時10分から6時30分までの間に最大3人までのメンバー変更を受け付ける。最終的な走者はこのタイミングで判明する。

この日は、監督や選手など関係者を入れて開会式が名古屋市内で行われ、駒澤大の優勝旗の返還や、東北大学陸上競技部主将・坂本順による選手宣誓などが行われた。

レースは8時5分スタート。注目選手がどの区間を走るのか。ニュースターは生まれるのか。そしてどのチームが最初に伊勢神宮のゴールテープを切るのか。日本一をかけた戦いがまもなく幕を開ける。

全日本大学駅伝のメンバーエントリー・シード編 駒澤大は田澤廉7区、佐藤圭汰2区
全日本大学駅伝メンバーエントリー、関東7校編 創価大5区に嶋津、東洋大2区に石田
全日本大学駅伝メンバーエントリー発表・打倒関東勢編 東海・関西・地方勢・学連選抜

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