東海大のエース・石原翔太郎が涙の区間賞　久々の「石原翔time」でチームも復活へ

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11月6日に開催された第54回全日本大学駅伝で、2019年大会優勝の東海大学は10位だった。ケガで長期離脱していたエースの石原翔太郎（3年、倉敷）が3区で33分48秒の区間賞を獲得する快走を見せ、涙の復活を果たした。

「2年ぶりの駅伝で走れてうれしい」

待ち望んだ東海大エースの復活だった。

ケガで長期離脱していた石原にとっては2年ぶりの伊勢路。レース前、両角速監督から言葉をかけられた。

「自分の走りをしてくれればいい」

1年生のときと同じ、いつもと変わらない言葉だった。

2区と3区をつなぐ第2中継所。2区の梶谷優斗（2年、滋賀学園）がなかなか現れない。石原は焦りもあったが、前を走る選手とのタイム差を測りながら待った。前方の関西学院大学から10秒遅れて15位で襷を受けとると、しっかりと右手に握って駆け出した。

「順位を一つでも前に」

そう思いながら懸命に前の選手を追った。石原を象徴する大きなストライドと強気な走りで、追いつき、抜いた。順位を12位に上げて4区の川上勇士（4年、市船橋）につないだ。33分48秒のタイムで区間賞を獲得する復活劇だった。

レース直後のインタビューで石原は、「2年ぶりの駅伝で走れてうれしい気持ちと、周りの方が支えてくれてうれしい気持ちです」と感謝の思いを伝えると、涙が込み上げた。

チームは10位でフィニッシュ。目標のシード権獲得には届かなかったが前回大会から二つ順位を上げた。

箱根駅伝予選会の疲労抜き全日本に照準

石原はルーキーイヤーの2020年全日本大学駅伝4区と、2021年箱根駅伝3区で、ともに区間賞を獲得。上級生たちにひるまない攻めの走りで鮮烈な印象を残した。駅伝ファンの間で「#石原翔time」とハッシュタグをつけて拡散されるなど注目を集めてきた。しかし、2年生になってからはケガに悩まされ、昨季は学生3大駅伝すべてを欠場した。

復活を予感させたのは、今年7月のホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会。男子5000mAに出場し、13分29秒21の自己ベストをマークした。夏合宿も順調にメニューをこなしてきた。10月中旬の箱根駅伝予選会では個人47位と不本意な成績に終わったが、1週間休養をとって疲労を抜き、伊勢路に備えた。

「1年間長かった」と石原。苦しい時期を監督やコーチ、家族が支えてくれた。普段は涙を見せないが、このレース後はほっとしてうれし涙があふれた。

「箱根予選会がすごく悔しい結果で、僕自身はここで晴らしたいなと思っていた。予選会の疲労は抜いて、全日本にしっかり合わせた。順調に練習は積めていた」と振り返った。

来年1月の箱根駅伝での活躍にも期待がかかる。「自分との戦いだと思っているので、しっかり練習に取り組んでいけたらと思います」と、東海大を背負う強い覚悟も口にした。

久しぶりの「石原翔time」に沸いたところで、次は東海大の復活が待たれる。

2017年出雲駅伝優勝、2019年箱根駅伝優勝、2019年全日本大学駅伝優勝と、学生駅伝界を席巻した“東海ブルー”の光景が目に焼き付いている人も多いだろう。

今季の東海大のスローガンは「強さへの挑戦 ～東海ブルーのシンカ～」。エースの復活に加え、今大会1区を任されたルーキーの花岡寿哉（1年、上田西）も力をつけてきている。

さらに石原と同学年の神薗竜馬（3年、鹿児島実業）や全日本大学駅伝関東地区選考会で健闘した梶谷、1月の箱根駅伝5区で区間2位の吉田響（2年、東海大翔洋）らもいる。箱根駅伝について両角監督は、「2、3年生がうまく絡み合えば、2区、5区の核になる選手はいるので、彼らをしっかりと演出できる選手が出てくると、それなりの戦いはできそうな気はしています」と見通しを語る。

再び東海ブルーが輝く日へ、チームの挑戦は続いていく。