陸上・駅伝

特集:第99回箱根駅伝

青学大・目片将大 努力が実を結び4年目で主力選手に 箱根駅伝で集大成の走りを

4年間でメキメキと力をつけ、今季は青山学院大の主力として活躍している目片(すべて撮影・青山スポーツ新聞編集局)

青山学院大学の原晋監督がエースの近藤幸太郎(4年、豊川工)とともに高く評価する選手がいる。その名は目片将大(4年、須磨学園)。入学当初から主力であったわけではないが、3年間で着実に力をつけ、4年目となる今シーズンで乗りに乗っている選手だ。今年の出雲駅伝、全日本大学駅伝で好走した目片の存在は、チームにとって不可欠となっている。

悔しさをバネに、いざラストイヤーへ

目片の同期には、スーパールーキーと呼ばれ箱根駅伝で1年生ながら2区区間5位と活躍した岸本大紀(4年、三条)や、全日本インカレ5000mで2連覇を果たした近藤など力のある選手がいる。目片はそんな強い同期の背中を追い続けてきた。昨シーズンは、三大駅伝初出場となった出雲駅伝で5区区間6位と思うような走りができなかった。その後は調子を落としてしまい、全日本大学駅伝と箱根駅伝の出走はかなわず辛酸をなめた。

その悔しさからラストイヤーを迎えるにあたって覚悟が変わり、より一層練習に身を入れたという目片。3月、4月頃から結果が出始め、特に5月の第101回関東インカレ5000mで6位入賞を果たしたことにより自信がついてきたと振り返る。さらに6月に行われた第296回日本体育大学長距離競技会では5000mで岸本に競り勝ち、13分37秒93と大幅に自己ベストを更新した。

緊張する中で挑んだ、大学駅伝初の1区

トラックシーズンの勢いそのままに迎えた出雲駅伝では初の1区を任された。もちろんプレッシャーは感じていたが、昨年の借りを返すという強い気持ちを持ってスタートラインに立った。

序盤から中央大学の吉居大和(3年、仙台育英)が飛び出す展開となったが、後ろの集団で優勝候補であり、一番のライバルでもある駒澤大学につけ冷静に対応した。駒澤大に先着を許したものの、3位で襷(たすき)をつないだ。「一回離されかけたところをもう一回踏ん張り、前が見える位置で渡すことができたので、その日のベストは尽くすことができた」と目片は振り返る。

目片から横田俊吾へ、4年生同士の笑顔の襷リレー

全日本大学駅伝で見せた、果敢な走り

全日本大学駅伝でも出雲駅伝に続き1区を務めた目片。出雲駅伝で一度経験していたことと、調子が上がっていたことから自信を持って臨めたという。出雲駅伝とは打って変わって、スタート直後に自ら飛び出した。特に監督からの指示はなく、スローペースになることを避けたかった目片は区間賞を狙ってハイペースで行こうと決めた。加えて次の区間の白石光星(2年、東北)が初の大学駅伝ということもあり、少しでも楽にさせてあげようと考えていた。

後続の集団が牽制し合う中、目片は快調に飛ばすも5kmあたりから徐々にきつくなり始め、残り1kmを手前にして大東文化大学のピーター・ワンジル(2年、仙台育英)についに先頭を譲る。しかし、後続の選手が迫ってくるも最後は粘りの走りを見せ2位で襷を渡した。区間賞こそ逃したものの、後半きつい中で日本人トップを守り切れたので、自分の役割は果たせたと感じている。

自信を持ってスタートを切った目片(中央)

最初で最後の箱根駅伝に懸ける思い

今までの箱根駅伝で多数の同期が16人のエントリーメンバーに入る中、目片は一度も選ばれたことがない。出走すれば最初で最後の箱根駅伝となる。出雲駅伝、全日本大学駅伝ともに1区の青学記録を樹立した目片は、やはり周囲からも箱根駅伝でも1区を走ることを期待されているという。自分が1区かな、と目片自身も感じていて自分の力を発揮することができれば良い位置で襷をつなぎ、チームの優勝にも貢献できると考えており、準備はしっかりできているという。

しかし、実は目片には走ってみたい区間がある。前回大会で、佐藤一世(3年、八千代松陰)が富士山を背にトップで走っている姿を見て、かっこいいなと思ったという理由で8区を希望しているそうだ。1区、8区どの区間を任されたとしても区間3番以内で走って、チームの優勝に貢献すると力強く口にした。

今季は5000m、10000mともに大幅に自己ベストを更新した(右)

青山学院大の2連覇には目片の走りが鍵を握るだろう。悔しさを糧に地道に努力を重ね、主力へと成長した目片に、4年間の集大成を見せてほしい。

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