陸上・駅伝

青山学院大・目片将大、地元で手応えあるスタート ラストイヤーこそは箱根駅伝を

一人で押し切り、「自分の思うようなレースを作れた」と目片は言う(撮影・すべて藤井みさ)

第70回兵庫リレーカーニバル 男子一般5000m決勝

4月24日@ユニバー記念競技場(兵庫)
1位 目片将大(青山学院大4年) 14分01秒52

兵庫リレーカーニバル2日目の4月24日、一般男子5000mで青山学院大学の目片将大(まさひろ、4年、須磨学園)がトップでゴールした。昨年から実力を伸ばしてきた目片に、今の状態とラストイヤーの意気込みを聞いた。

序盤から独走し、レースを作った

男子5000mはどんよりとした雲の下、雨もちらつく中でスタートした。スタートすると目片はすぐに集団の先頭へ。1kmの入りは2分45秒。そのまま集団を引っ張り、2000mの手前で集団から抜け出し、一人独走状態になった。その後も2分47秒、2分51秒、2分52秒とラップを刻み、ラスト1kmは2分46秒に上げ、14分01秒52でフィニッシュした。

今回のレースの目標として、目片は「13分台で1位を取る」ことを目標にしていた。「結果的に1位で、タイム的には少し足りないんですけど、だいたい自分の思ったぐらいのレースができたと思います」。自己ベスト的にも目片より上(13分56秒13)の選手がいなかったので、「自分の力がどれぐらいかを示したい」「自分でレースを作ろう」という気持ちで初めから先頭に立った。前半の入りも楽に入れたと感じられ、そのまま一人で押し切れたことに一定の手応えを見せた。

2位の比夫見(左)と笑顔で握手

高校生の好走に「負けてらんない」

このレースの直前には高校男子5000mが行われていた。西脇工高校(兵庫)の長嶋幸宝(そなた、3年)と報徳学園高校(兵庫)の前田和摩(3年)が最後までトップ争いを演じ、長嶋が13分55秒00、前田が13分56秒65の好タイム(ともに大会新記録)でゴール。目片もその様子を見ていた。長嶋と前田のラスト1周の通過タイムは13分ちょうどで、目片もまったく同じ13分ちょうどにラスト1周を通過したが、13分台には届かなかった。

レース後、高校の顧問に「高校生に負けたか」と笑って声をかけられたという。「強くて悔しいですね。ラスト1周、向こうは競り合いがあったと思うんですが、負けてらんないと思います」と笑いながら口にした。

須磨学園高出身の目片にとって、今回は地元でのレース。高校の顧問のほか、中学の先生にも声をかけてもらったといい、スタンドからの拍手も大きかった。「温かい声援をもらったし、改めて『地元いいな』と思いました」と柔らかい表情を見せる。

出雲で駅伝デビューも、全日本・箱根は走れず

目片は入学時の5000m自己ベストが14分23秒95と、ともに入学した同級生の中でも速い方ではなかった。同級生の岸本大紀(三条)は1年生の時から箱根駅伝の2区を任せられ、中村唯翔(流通経大柏)、近藤幸太郎(豊川工)、中倉啓敦(愛知学院愛知)も2年生で箱根駅伝を走った。強いチームメートに揉(も)まれながらコツコツと実力をつけ、3年生の7月の絆記録会で5000m13分台に突入。10月の出雲駅伝では初めて学生3大駅伝のメンバーに選ばれ、5区を走り19分40秒で6位だった。11月の全日本大学駅伝のエントリーメンバーにも選ばれたが、この時は出走ならずだった。

全日本の翌週にあった世田谷246ハーフマラソンで1時間3分16秒の自己ベストを出し8位、24日のMARCH対抗戦でも10000mを28分53秒40と自己ベストで走るなど、アピールを続けた。だが、箱根駅伝の16人のエントリーメンバーからは漏れた。箱根当日は復路9区を走った同級生の中村の給水を務めた。

昨年の駅伝シーズンは「うまく走れない」という感覚があったと話す(24番が目片)

ケガをしていたわけではないが、出雲駅伝のあとから調子が上がらず、「うまく走れない」という感覚があった、と駅伝シーズンを振り返る。目指してきた箱根駅伝への出場も逃してしまい、今年はラストイヤー。「今年こそ走りたい」という気持ちは大きい。冬季はほぼ故障なく練習が積めたといい、3月の学生ハーフマラソンでは青山学院大の出場選手中トップの10位で、1時間2分36秒と自己ベストを更新した。「最近になって力がけっこうついてきているなと感じます。ここからどんどん調子を上げていきたいです」

熾烈なメンバー争いの中でも箱根駅伝の10人に

4年生、最上級生になったことで「下級生を引っ張っていかないといけない」という自覚も生まれた。チーム内で意識するのは、エースの近藤の存在だ。「あいつは常に試合でも結果を出しているので、安定して結果を出せるようになりたいです」。では、近藤と自分で何が違うと思う? と聞いてみると「陸上に対して妥協しないというか、ストイックなところは尊敬するものがあります」と答える。強い同期の存在を刺激にして、目片もさらに上を目指していきたい。次のレースは関東インカレの予定だ。種目は決まっていないが、「できればハーフマラソンを走りたいです」。長い距離の方が自信があると話す。

4年生としての自覚を持って、ラストイヤーにかける

チーム全体としては、箱根駅伝を走ったメンバーの中には少しケガをしている選手もいるが、ここへ来て徐々に状態もいい方向に上がってきていると話す。山上りの5区でルーキーながら区間3位の力走を見せた若林宏樹(2年、洛南)は、4月17日の個人選手権5000mでは終盤に失速し14分03秒14だったが、23日の日体大記録会10000mでは28分25秒71の自己ベスト。同組の岸本はそれを上回る28分23秒71でこちらも自己ベストを更新するなど、それぞれの選手が着々と調子を上げてきている。

自己ベストが5000m13分台でも、10000m28分台でも駅伝メンバーに入れない。青山学院大は駒澤大学と並び、チーム内でのメンバー争いが非常に熾烈(しれつ)となっている。「今年はもちろん3大駅伝(全部)出たいという気持ちもありますが、全部に合わせるとうまくいかないと思うので……箱根は絶対出たいので、そこに合わせていきたいと思っています」

箱根駅伝まで、あと8カ月あまり。目片のラストイヤーの挑戦は続く。

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