陸上・駅伝

青学ルーキー・若林宏樹、狙うはU20日本選手権優勝、箱根駅伝で神野大地の走りを

残り2周で若林(5番)は先頭に立つ積極的な走りを見せた(撮影・全て松永早弥香)

2021日本学生陸上競技個人選手権大会 男子5000mタイムレース

6月5日@レモンガススタジアム平塚
1位 市村朋樹(東海大4年) 13:45.20(大会新記録)
2位 若林宏樹(青山学院大1年) 13:46.82
3位 山内健登(青山学院大2年) 13:50.43

学生個人選手権2日目の6月5日、5000mタイムレースで青山学院大学ルーキーの若林宏樹(洛南)は13分46秒82で2位だった。レース後、若林は「ちゃんと13分50秒を切れたので、まあ、自己ベストではないんですけど、よかったとは思います」とやや控えめに自分の走りを評価した。

課題だったペースアップに対応

青学に入学してすぐの4月10日の金栗記念5000mで、若林は13分41秒32と大幅に自己ベストを更新。早くもその存在を全国に知らしめた。しかし5月23日に行われた関東インカレ男子2部5000mでは、14分11秒94での12位だった。「途中で離され、全くペースアップできず、体にキレがなかった」と振り返り、そこから体づくりに意識を向けてトレーニングを重ねた。

迎えた学生個人選手権、5000mは2組でのタイムレースで行われ、若林は2組目になった。レースは大澤佑介(3年、樹徳)や近藤幸太郎(3年、豊川工)、倉本玄太(2年、世羅)と青学の先輩が前に立って集団を牽引(けんいん)。若林はその集団にポケットされるかたちで7~8番手につけていた。

市村(28番)が前に出たタイミングを逃さず、若林はひとりついていった

残り5周を前にして、3番手につけていた市村朋樹(東海大4年、埼玉栄)が前に出ると、若林もすぐ後に続いた。残り2周で若林が市村の前に出る。ラスト1周を前にして、若林が振り向く。それを見た市村がギアを変えて前に出たが、若林はついていけない。そのまま市村がトップでゴールし、若林は1.62秒差で2位だった。

レース前、若林はあまりレースプランを考えず、「前で勝負する」ということだけ意識していた。自分の走りを振り返り、「(市村が前に出て)レース展開が変わって、そこで反応できたことは自分の成長につながるかなと。最後、勝ち切れなかったんですけど、粘りは見せられたと思うのでよかったと思います」と口にした。関東インカレでの課題だったペースアップには対応できた。それでも「まだ完全に反省を生かしきれたというわけではない」と言い、6月24日からのU20日本選手権に向け、自分の課題と向き合っていく。「U20でしっかり優勝できるよう、次は(13分)30秒台を目指します」と言い切った。

5000mを一緒に走った順天堂大学の野村優作(右)は、地元・和歌山時代から仲よくしてもらっている先輩だ

13分台続出の同世代に負けない

この春、青学には全国高校駅伝(都大路)1区区間賞の鶴川正也(九州学院)や野村昭夢(鹿児島城西)、太田蒼生(大牟田)、そして若林と、高校生のうちに5000mで13分台をマークした選手が4人も加入した。若林が13分41秒32の自己ベストを出した4月の金栗記念では、鶴川も13分43秒96と自己ベストを更新している。

特に13分34秒74の5000m高校記録をもつ石田洸介(東洋大1年、東農大二)や同歴代2位(13分36秒57)の伊藤大志(早稲田大1年、佐久長聖)は、高校時代に悔しい思いをさせられた相手だ。「同世代がかなりレベルが高くて一人ひとりが強いんで、負けない気持ち、先頭で引っ張るような気持ちで、4年間エースとして走れるようにしていきたいです」と闘志を燃やしている。狙うは5000mで13分20秒台、10000mでは28分1桁。着実に力をつけていく。

「箱根駅伝を走っている青学の選手がかっこよかった」と若林

大学4年間での目標として、若林は箱根駅伝を見据えている。「3代目山の神」と称された神野大地(セルソース)が山上りの5区を走る姿を見て、若林は青学への憧(あこが)れを抱くようになった。思い描いているのはもちろん5区。「上りは得意なんで。先輩にも強い方が多いので、負けてられないです」。少し緊張した様子で取材に応じていた若林だが、言葉の端々に強い覚悟を感じた。

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