陸上・駅伝

青学・近藤幸太郎がMARCH対抗戦で首位、箱根駅伝優勝した2年前と同じ勢いを実感

初開催のMARCH対抗戦で優勝した青山学院大には30万円、トップのタイムを出した近藤(左)には3万円+28分16秒突破での1万円が奨学金が贈呈された(撮影・全て藤井みさ)

GMOインターネットグループpresents MARCH対抗戦2021

11月24日@東京・町田GIONスタジアム
1位 青山学院大
2位 明治大
3位 中央大
4位 法政大
5位 立教大
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1位 近藤幸太郎(青山学院大3年) 28分14秒34
2位 小澤大輝(明治大3年)    28分20秒67
3位 若林宏樹(青山学院大1年)  28分27秒72
4位 小原響(青山学院大2年)   28分28秒97
5位 中村唯翔(青山学院大3年)  28分29秒43

11月24日、陸上のMARCH対抗戦が初めて開催された。MARCHの5校(明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)で10000mのトップ10人の集計タイムで競うというもので、主催者である青山学院大・原晋監督は「箱根駅伝の前哨戦」と位置づけていた。そのレースでトップのタイムをたたき出した青山学院大のエース・近藤幸太郎(3年、豊川工)は、28分14秒34と青学記録でもある自己ベスト(28分10秒50)には届かなかったが、「目標通りの走りができたかなと思っています」と充実感を漂わせた。

青山学院大・近藤幸太郎 5000mVに「うれしい」 秋の駅伝シーズンにいい流れを

「自分がレースを引っ張る」で先頭へ

今大会は「箱根駅伝に負けないような熱く、エンターテインメント性の高い大会を作りたい」「選手たちが活躍できる環境を増やしたい」という思いから開催された。青山学院大の“ホームスタジアム”でもある町田GIONスタジアムでは各大学の応援団が盛り上げ、レーザービームが飛び交う演出もあった。また有観客での開催となり、無料チケットはスタンド内だけでなく160人限定のトラック内のチケットも用意されていた。コロナ禍で昨年から無観客開催の大会が多かった中、選手たちは久しぶりに観客のそばで走るレースとなった。

10000mのレースは申請タイム別に5組設け、3組目からペースメーカーがついていた。最終5組目の申請タイムは28分15~30秒。ペースメーカーとしてアンティパス・キベット(SGホールディングス)が5000mを14分15秒のペースを意識して先頭を引っ張った。近藤の目標タイムは28分15秒。ただタイムよりも「ペースメーカーが外れてからは自分がレースを引っ張る」という意識で臨み、キベットのすぐ後ろについてレースを進めた。しかし想定よりもやや速いペースでキベットが引っ張っていたこともあり、近藤は中盤ですでにきつさを感じていた。

ペースメーカーのキベット(先頭)が抜けた後にレースを引っ張れるよう、近藤(8番)はキベットのすぐ後ろについた

自分が先頭に立ってからは自分のペースに切り替え、ラップを刻む。6000mあたりで後ろについていた小澤大輝(明治大3年、韮山)が遅れ始め、近藤は単独走へ。終盤で一時1周70秒以上のペースに落ちてしまったが、最後は切り替えて28分14秒34でゴール。応援してくれたチームメートに笑顔を返し、トラックをあとにした。

寮の同部屋の若林も「しっかりやってくれた」

各校のエースがそろった対抗戦ということもあり、近藤も青山学院大のエースとして結果を出さなければいけないというプレッシャーがあった。終わってみれば上位を青山学院大の選手が占めての1位と、青山学院大の強さを示す大会となった。振り返ると2年前の同時期にあった関東学連10000m記録挑戦会で青山学院大の選手たちは結果を出し、箱根駅伝で2年ぶり5回目の総合優勝をつかんだ。その2年前を踏まえ、近藤は「僕自身、勝たなければいけないとプレッシャーはあって緊張したんですけど、その意味では安心しています。2年前もこの時期に青学勢がトップの方にバンって入っていたので、しっかり走れれば箱根もいけるのかなと思っています」と自信をもって答えた。

28分14秒34というタイムに「想定通り」と近藤

青山学院大は10月10日の出雲駅伝で2位、11月7日の全日本大学駅伝でも2位だった。「出雲はうれしい2位だったけど、全日本は悔しい2位だったので、チームをもう一度引き締めて、箱根に向けて一丸となってやってきました」と近藤は言う。

その全日本大学駅伝に当日変更で6区を任された若林宏樹(1年、洛南)は近藤と同部屋の後輩だ。若林は6区区間12位と苦しみ、近藤も若林を気にかけてきたが、若林は今大会で4組目トップの28分27秒72、全体でも3位に入り、「しっかりやってくれたと思う」と後輩の健闘をたたえた。このMARCH対抗戦はチームだけでなく上位選手個人にも奨学金が贈られ、近藤は「若林と一緒に(地中海料理)『コシード』でちょっといつもより高級なものを食べたいなと思います」と笑顔で明かした。若林だけでなく、ルーキーながら11月14日の世田谷246ハーフマラソンを制した田中悠登(敦賀気比)など下級生も勢いがあり、「1位でゴールする選手とその他の選手も差がなくて、チーム内競争が激しいです」と青山学院大の層の厚さを近藤も実感している。

今大会は箱根駅伝のメンバー入りをかけた重要なレースでもあり、近藤自身も緊張感をもってレースに挑んだ。その一方で久しぶりの有観客でのレースに、「昔のレースを思い出せて非常にうれしかったですし、コロナが明けてもっと(観客が)パンパンの状態でレースが開催できればもっとうれしいかな。演出とかもすごくて、本当にこんな華やかなレースは初めてでした。こういう大会がどんどん増えていけば陸上ももっと盛り上がるんじゃないかな」と、第2回大会の開催を今から待ちわびている。

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