陸上・駅伝

大牟田高・荒巻朋熙主将「これが今の実力」 青山学院大で太田蒼生のような強さを

1年生の時から出てきた地元でのレースは、3度目にして「今の自分の力は出し切れました」(撮影・全て松永早弥香)

第105回日本選手権クロスカントリー

2月26日@福岡・国営海の中道海浜公園クロスカントリーコース(1周2km)
U20男子8km
1位 吉岡大翔(佐久長聖高2年) 23分36秒
2位 南坂柚汰(倉敷高2年) 23分39秒
3位 長嶋幸宝(西脇工高2年) 23分46秒
4位 溜池一太(洛南高3年) 23分49秒
5位 荒巻朋熙(大牟田高3年) 23分53秒
6位 西村真周(自由ケ丘高3年) 23分54秒
7位 山崎丞(中越高3年) 23分56秒
8位 玉目陸(出水中央高1年) 24分02秒

大牟田高校(福岡)主将の荒巻朋熙(ともき、3年)は3年連続でU20男子8kmに出走。1年生の時は29位、2年生の時には31位と苦しんだが、最後の今年は5位と結果を残した。「最近レースを走ってなかったけど、とにかく先頭についていって、自分の力を出し切ろうと。本当はメダルをとりたかったけど、これが今の実力です」。悔しさはあれど、晴れ晴れとした表情で言った。

ラスト1周まで先頭集団で勝負

大会はコロナ禍での開催となり、前回同様、男女のシニアとU20の計4レースでの開催となった。幕開けとなったU20男子8kmには、昨年12月の全国高校駅伝(都大路)で活躍した選手たちが勢ぞろいした。だが大牟田は10月の福岡県高校駅伝で3位となり、都大路に挑めなかった。その悔しさを11月の全九州高校駅伝にぶつけ、大牟田は最終7区で大分東明高校を抜き、7大会ぶり24度目の優勝をつかんだ。その後、荒巻は12月に日体大記録会10000mに出場し、28分37秒51をマーク。そして今年2月26日、高校最後の舞台としてU20日本選手権クロスカントリーに出場した。

1周2kmを4周するレース。スタートしてすぐに高根悠希(成田高3年)が先頭に立ち、大きな集団を引っ張る。だが宮本陽叶(洛南高3年)が前に出るとそのまま集団を抜け出し、荒巻は2位集団の前方でレースを進めた。2周目で宮本は集団に吸収され、15人ほどの先頭集団で3周目へ。

集団から選手が一人また一人と後退していき、溜池一太(洛南高3年)を先頭に6人の集団でラスト一周へ。荒巻も先頭集団に食らいついたが、吉岡大翔(佐久長聖高2年)と南坂柚汰(倉敷高2年)がスパートをかけるとみるみる差は開き、荒巻は5番手へ。後続ランナーに追い上げられながらも最後まで粘り、5位でゴール。苦しさに顔をゆがめながらコースをあとにした。

最後まで粘り、5位入賞をつかんだ

同じ練習をしてきた太田さんに受けた刺激

先頭集団で勝負できたのは狙い通り。ラスト1周での失速も、「後半に体幹が足りなくて腰が落ちてしまってバランスを崩したので、体幹がもうちょっとしっかりしたら後半も持つと思う」とすでに課題が見えている。春から進む青山学院大学では体作りから取り組み、陸上を始めた時からの夢である箱根駅伝での活躍を目指す。

特に今年の箱根駅伝3区で大牟田の先輩である太田蒼生(あおい、1年)が首位に立ち、青山学院大の往路優勝・総合優勝を大きく引き寄せた走りに大きな刺激を受けた。「太田さんとは去年まで一緒に練習していたのに、箱根で結果を出してびっくりしました。1年で太田さんがあそこまでやってみせてくれたので、自分もやれるんじゃないかと思えたし、太田さんに負けないように頑張りたいです」

荒巻(3003番)は高校3年間で「競技だけでなく人としても成長させてもらった」と話す

前回大会で太田が23分47秒で2位だったことを受け、今大会で荒巻は23分47秒切りを狙っていた。しかし結果は23分53秒。大学に舞台が変わっても、これからも太田に挑戦していくつもりだ。荒巻が箱根駅伝で狙うのは3区。「やっぱり自分も3区で結果を出したいです」

青山学院大への進学を決めたのは強い先輩たちに挑みたいという思いから。「周りが強い方が負けたくないと思うので、周りをライバルだと捉え、そこで勝てたら自信になると思うんです」。負けた悔しさを知っているからこそ、「強くなりたい」という思いは人一倍強い。

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