陸上・駅伝

青山学院大・田中悠登が世田谷246ハーフマラソン優勝、箱根駅伝メンバーに名乗り

トップでゴールに飛び込み、喜びの声をあげる田中(すべて撮影・藤井みさ)

第16回世田谷246ハーフマラソン 

11月14日@駒澤オリンピック公園陸上競技場をスタート・ゴールとする21.0975km
1位 ⽥中悠登(青山学院大1年)1時間2分38秒
2位 中倉啓敦(青山学院大3年)1時間2分44秒
3位 唐澤拓海(駒澤大2年)  1時間2分45秒

11月14日に世田谷・駒澤オリンピック公園陸上競技場をスタート・ゴールとする世田谷246ハーフマラソンが開催され、初ハーフマラソンとなった青山学院大学の⽥中悠登(1年、敦賀気比)が1時間2分38秒のタイムで優勝した。ゴールした田中からは充実感がにじみ出ていた。

大学生が多数出場、箱根メンバー選考への重要レース

昨年は新型コロナウイルスの影響で中止となり、2年ぶりの開催となったこの大会。近い日程で開催されていた上尾ハーフマラソンが2年連続の中止となったため、例年よりも多数の大学生が出場した。8時半にいっせいに競技場をスタートしたランナーたちは、駒沢公園の外に出て、いっきに多摩川まで駆け下りる。川沿いのコースを走り、15kmすぎからの「心臓破りの坂」とも呼ばれる急坂を駆け上り、その後もアップダウンがあるコースを走って競技場まで戻ってくる。

田中はハーフマラソンはこれが初レースだったが、3分切りぐらいだったら長くてもいけるな」と感じたという

この大会には例年、青山学院大の選手たちが多数出場。箱根駅伝に向けてのメンバー選考の場のひとつにもなっている。今年も15人の選手がエントリーし、原晋監督もTwitterで「箱根駅伝16人選考レース。積極的なレース期待する。」と投稿し、選手たちに発破をかけた。田中はここを箱根駅伝のメンバーに入るために本当に大事な試合だと考え、コンディションを合わせてきていた。レース前に原監督から「いけそうなの?」と聞かれて答えたのは「たぶんいけると思います」。「はっきりいけます、というには自信がなかったですが、調子はよかったです」

「迷ったら攻めろ」先頭で引っ張る

レース序盤では東京国際大学のルカ・ムセンビ(3年、仙台育英)がトップに立ったが、田中は11~12kmほどでペースが遅いなと感じた。原監督からミーティングのときに言われていた「迷ったら攻めろ」という言葉を思い出し、先頭に出て引っ張った。この日は風もなく走るには最適のコンディション。しかし初ハーフということもあり、残り5kmまでは力をためようと思ってペースを守って走り続けたら、徐々に他の選手が離れ、気づいたら1人になっていたという。17~8kmほどで駒澤大学の唐澤拓海(2年、花咲徳栄)に一度追いつかれたが、もがきながら自分のペースで押していったら勝てたと話す。

田中は全日本大学駅伝のエントリーメンバーにも名前を連ねていたが、出走はかなわなかった。走りたい気持ちはもちろんあったが、同級生の若林宏樹(1年、洛南)と自分を比べると、「実際に走れるのかというとまだそこまでの力はないのかなと感じていました」。練習ではいつも強い若林が6区区間12位と苦しむ姿を見て、青学の襷(たすき)の「重み」を感じたともいう。「(全日本のレースを見ていて)ラスト負けたのが本当に悔しくて、絶対に箱根は何が何でも勝ちたいので、その思いで後ろに駒澤さん(唐澤)がいたけどさすがに負けられないなと思いました」

優勝は「最高です」

ゴールテープを切る瞬間は、歓声を上げながら何回もガッツポーズをしていた田中。優勝の感想は「最高です。最高に嬉(うれ)しかったので、(ガッツポーズが)何回も出ちゃいました」と笑う。箱根駅伝のメンバー入りに大きくアピールし、「やっと成果につながったなって感じはします」と手応えを感じている。そして若林にも今日で少し近づけたかな、と話す。

優勝の感想は「最高です」。ようやく練習が形になった充実感がにじみ出ていた

箱根駅伝で走りたい区間を問われると「8区とか10区とか」。復路ですか? と聞くと、「今年はひとまず復路で、将来的には往路を走りたいです」と少し謙虚な答えだった。原監督からは「男前大作戦大成功だな!」と言葉をかけられていた田中。箱根駅伝こそ頂点を目指すチームに、期待の戦力がまた名乗りを上げた。

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