大学陸上・駅伝

特集:第52回全日本大学駅伝

青学が全日本大学駅伝4位、アンカーで敗れた吉田圭太の悔しさを全員が箱根で晴らす

神林(左)はアンカーの吉田を少しでも楽させたいと思いながら、7区で青山学院大をトップに押し上げた(すべて撮影・朝日新聞社)

第52回全日本大学駅伝

11月1日@愛知・熱田神宮西門前~三重・伊勢神宮内宮宇治橋前の8区間106.8km
4位 青山学院大 5時間12分42秒

11月1日の全日本大学駅伝で2年ぶりの王座奪回を目指していた青山学院大は、最終の8区で首位を明け渡し、4位でゴールした。レース後、原晋監督は「デコボコ駅伝だったな。いいところと悪いところがはっきり分かったので、2カ月かけて箱根駅伝に向けて修正していけたらと思っています」と話し、チーム一丸となって戦っていく覚悟を示した。

8人中4人が初の学生駅伝

青山学院大は8人中4人が初の学生駅伝という状況で、原監督は選手たちのこれまでの力とともに「駅伝力」に期待した布陣で挑んだ。1区は前大会に続いて湯原慶吾(3年、水戸工)が走り、トップと19秒差の10位で2区の近藤幸太郎(2年、豊川工)へ襷(たすき)リレー。初の学生駅伝の近藤に「(前大会で2区を走った)岸本(大紀、2年、三条)以上の力がある」と原監督は確信して託したが、区間13位に沈んだ。その一方で同じく学生駅伝デビューとなった3区の中村唯翔(2年、流通経大柏)は、区間3位の走りでチームを14位から6位に引き上げた。

4区の岩見秀哉(4年、須磨学園)で4位に追い上げ、ルーキーの佐藤一世(八千代松陰)へ。佐藤は昨年の全国高校駅伝(都大路)で1区・区間賞となり、2003年に上野裕一郎(現・立教大陸上部男子駅伝監督)がマークした日本選手歴代最高を16年ぶりに更新している。スタート時にはトップの早稲田大と1分17秒差があったが、佐藤は35分47秒の区間新記録で区間賞を獲得し、青山学院大は2位に浮上。トップを守った早稲田大との差も10秒にまで迫っていた。

ルーキーの佐藤が5区区間新記録の走りで4位から2位へ

しかし6区で山内健登(1年、樟南)が苦しみ、6位で神林勇太(4年、九州学院)へ襷リレー。神林は「キャプテンとしての走り」を胸にぐんぐん加速してトップに立つと、2位の東海大に39秒差、3位の駒澤大に41秒差をつけてアンカーの吉田圭太(4年、世羅)につないだ。19.7kmの最長区間を任された吉田は4年生としてチームのために走り出すも、9km地点で追い上げてきた駒澤大と東海大に並ばれた。併走しながら粘ったが、11km地点で引き離され、更に終盤で明治大にも抜かれての4位となった。

吉田を思い、襷をつないだ

レース後、原監督と臨んだ会見で吉田は「1~7区の選手がかなりいい、約40秒の貯金で先頭でもってきてくれたんですが、僕の不甲斐ない走りで途中から離れてしまって優勝争いができず、4年生として本当に悔しいです」と自分の責任を強く感じていた。

同期の神林の元には、レース後すぐに吉田からLINEで「本当に申し訳ない」と連絡があったという。下級生時代からチームを支える活躍をしてきた吉田のそばで、神林は「これまで本当に彼の頑張りに助けてもらいましたし、たぶん一生勝てない相手なんだろうなと思いながら、少しでも近づけるように4年間頑張ってきた」と話す。主将になり、チームを牽引(けんいん)する走りができるようになった今、神林はこの全日本大学駅伝で「吉田を少しでも楽にさせてあげたい」という思いを込めて走り抜けた。

区間11位と苦しみ、責任を強く感じている吉田に対し、神林は「お前のせいではない。まずは心と体をしっかり休めて」という言葉を返したという。そして報道陣を前にして、「(箱根駅伝まで)まだ2カ月あるし、逆に彼も今回のでより火がついただろうし、今までの吉田圭太よりも一回りも二回りも成長して戻ってきてくれると思います」と力強く応えた。

「誰のせいで負けたわけではない。少しでも彼(吉田)を楽にさせてあげげられるように、僕を筆頭にしてチーム全員で頑張りたい」と神林

前日には竹石も28分台でアピール

今大会の前日には国士舘大競技会10000mがあり、エントリーメンバーに入っていた竹石尚人(4年、鶴崎工)や髙橋勇輝(3年、長野日大)、横田俊吾(2年、学法石川)、新号健志(4年、秋田中央)、松葉慶太(4年、浜松日体)たちも出走。それぞれが自己ベストを更新し、とくに竹石は28分50秒63と自身初の28分台で存在感を示した。

原監督は4日前まで、6区を誰にするか悩んだという。補員の誰もが走れる状態だった中、襷リレー間際の1秒を制することができるスピードという観点から、最終的に山内に定めた。しかし初の学生駅伝で苦しんだ山内に対し、「4日前まではっきり決まらなかったのを1年生に任せて、重圧がかかったのかなと。私自身の采配の失敗だなと思っています」とコメント。今年は箱根駅伝までにハーフマラソンを走る機会がなく、とくに1年生に対しては力を測る難しさがあるものの、「青山メソッドがきちっとありますので、2カ月間かけて強化・調整をしていきたい」と言い、11月末に10000mを走らせた上で、12月初旬の強化合宿で更に磨きをかける。

「箱根駅伝では間違いなくリベンジしてくれる」と原監督は吉田のエースとしての力に期待している

原監督はエース吉田に対し、「箱根駅伝では間違いなくリベンジしてくれると思っています」と言い、今大会で補員にまわった竹石と新号、松葉にも「最後の箱根駅伝に向け、虎視眈々とレギュラーを狙って優勝メンバーに加わりたいという思いは強いと思いますので、4年生を中心にして後2カ月、頑張りたいと思っています」と期待を込める。伊勢路の悔しさも力に変え、ここから箱根駅伝に向けた挑戦を始める。

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