立命館大・松嶋陸 内気な主将、チームを一つにした「関西トップを取り返そう」の思い
今年度の1年間、松嶋陸(4年、須磨学園)は、立命館大学の主将というポジションを担ってきた。松嶋自身、もともとは声を出してチームを引っ張ることが苦手だったという。自分の意見に対して、チームメートから反発されることも多くあり、チームが一つにならない時期も続いた。
大きな目標を掲げた駅伝シーズンだったが
また、重責を担う重圧からか、個人としてもなかなか良い結果につながらない日々が続いた。そんな中でも、常に練習には顔を出し続けた。「当たり前のことを当たり前に毎日続ける」をモットーに、日々の行動や、練習への取り組みを背中で示し、1年間チームを引っ張った。
「出雲駅伝優勝、全日本大学駅伝8位入賞」という大きな目標を掲げて、最後の駅伝シーズンに挑んだ。10月の出雲駅伝では、前年より計6区間での総合タイムを約2分縮めたが、順位は前年から一つ落として12位。前年は大阪経済大学、関西学院大学と関西から出場した大学の中ではトップに入ったが、今年は関西学院大が10位に入り、敗れてしまった。
翌11月の全日本大学駅伝では、近年全国的に高速化している大学駅伝界の波にのまれて、無念の繰り上げスタート。総合18位と振るわなかった。松嶋は出走することもかなわず、その後のミーティングでは「悔しい」という言葉が飛び交った。
チームがバラバラになる可能性もあった中、最終的にメンバー全員の心を一つにしたのは、「関西トップを取り返そう」という思いだった。全日本から約2週間後に行われた関西地区の大学で争われる「丹後大学駅伝」をリベンジの舞台に設定した。4連覇中で相性のいい大会だったが、ここでも関西学院大にトップを譲る形になってしまい、2位という結果に終わった。
「引っ張る人間が変われば、チームも変化」
そして4回生にとっては、引退レースとなる京都学生駅伝(12月4日)。全6区間中、4回生が5区間を任された。レースは京都産業大学が優勝を飾り、またも立命館大は2位。この結果を受けて松嶋は「シーズンを通して、すべての駅伝において関西地区の各大学に勝てなかったという点は、率直に悔しい」と口にするとともに、「新チームが始まり、引っ張っていく人間が変われば、おのずとチームも変化していくので、どのように変化していくのか楽しみ」と後輩たちへの期待も話してくれた。
立命館大は松嶋が1年のときに出雲駅伝で歴代最高順位に並ぶ6位に入った。いい思いもした一方で、松嶋個人としては競技面であまり良い結果が出ず、苦労し続けた。だがその分、たくさんの出会いや学びがあった。最終学年になってからは、主将としてチームや個人の意見をまとめ、とても仲の良いチームを築きあげた。「負けることの悔しさや、キャプテンとしてやれたことが、今後の人生の糧になる」と松嶋。立命館での経験をバネに、次のステージへと歩んでいく。