サッカー

横浜FC内定の林幸多郎ら、明治大からJリーガー6人誕生 「ブラボー」な選手めざす

各チームのマスコットなどを持った6選手(全て撮影・朝日新聞社)

関東大学リーグで2年ぶり7回目の優勝を果たした明治大学から、今年は6人のJリーガーが誕生する。昨年のカタールワールドカップで日本代表が決勝トーナメントに進出し、同大学出身のDF長友佑都(FC東京)らが日本中を沸かせたことで、昨年12月22日に開かれた内定選手の記者会見では、選手からは「サッカーの力」を意識した発言が続々と出た。越川芳明部長(文学部教授)は「6人が『ブラボー』な選手になってくれることを願っています」と期待を寄せた。

内定選手たちが指でMEIJIの「M」を作った

内定者6人のうち、横浜FCに入団するDF林幸多郎主将(サガン鳥栖ユース)ら4人がJ1のクラブに進む。明治大からのJリーガー輩出は13年連続となる。

会見で栗田大輔監督は、ワールドカップ日本代表26人の中に、長友ら9人の大卒選手がいたことに触れ、「(大学サッカーに)希望と勇気を与えてくれた。明治大学がアマチュア界最強であり続け、(代表に)選手を輩出し続けていきたい」と語り、関東大学リーグ優勝を達成した4年生たちをたたえた。

「明治のサッカーは人間形成の場」と語る栗田監督

5冠の先輩を追いかけ、成長

横浜FC入りする林主将は、1年時に、全日本大学選手権(インカレ)決勝を制し5冠を達成した先輩たちの姿を応援席で見て、「この人たちに4年間で追いつけるのかな」と不安を覚えたという。しかし、ピッチに立てない4年生が懸命に応援している姿を見て、「明治の伝統と理念を1年生の時に感じたことで、今ここに立てている」と、スタンドを含めた一体感が成長を支えてくれたと振り返る。

林について栗田監督は、「特徴は、強烈なリーダーシップと戦術理解度と、それに裏付けられた技術。胸を張って送り出せる選手」と、活躍を期待した。林も「ワールドカップを通じて、サッカー選手は多くの人に勇気と感動を与えられるすばらしい仕事と感じた」といい、プロでの飛躍を誓った。

横浜FCに入団する林(左)と遠藤

元代表の偉大な父に張り合う

同じく横浜FCに加入するGK遠藤雅己(桐蔭学園)について栗田監督は、「高い身体能力と、ハイボールの強さ、キックの質の高さに加え、人間性。GKはポジションが一つしかなく大変だが、レギュラーの座を奪ってほしい」とエールを送った。

遠藤の父・雅大さんは、元Jリーガー・元日本代表のDFで、横浜FCの初代キャプテン。遠藤が父に同じチームに内定したと伝えると、「おめでとう」と喜んでくれたという。幼いうちに引退したため、雅大さんがプレーしている姿は記憶にないというが、引退後も夜中にずっとサッカーを見て勉強している姿勢を見習いたいと話す。「だから私には反抗期がなかった。父を超えるには、反発している暇はなかったので」

日本代表として8試合に出場し、ベルギーリーグ初の日本人選手という経歴も持つ雅大さんを超えることが目標だ。「日本代表になって絶対に10試合以上は出たい。ベルギーにも行って父より活躍して、『親父を超えたね』と言われるようになりたい」

J王者のレギュラーたちに臆さない

マリノス君のぬいぐるみを持った木村

MF木村卓斗はJ1王者で、ユース時代に所属していた横浜F・マリノスに入団する。「すばらしい選手がいる中で、臆することなく、自分もライバルとして負けていられない」と、つわものぞろいのレギュラー陣に割って入ることを狙う。

入学当初は右サイドバックだったが、球際の強さ、運動量、サッカーIQの高さを買った栗田監督が、2年時にコンバートした。「ボランチとして日本で一番強いチームに内定したのは、本人のがんばりの結果」と栗田監督。木村も「4年間で培ったものをすべて出し切って、Jリーグの舞台で活躍できるようがんばっていきたい」と話した。

長友を超えるSBのポテンシャル

京都サンガのマスコットを手にする福田

京都サンガに入る副主将のDF福田心之助(北海道コンサドーレ札幌ユース)は、「毎日が濃い4年間だった。同期・先輩どこを見ても競争という環境の中で、『明治のサイドバック像』というものを追い求めてやってきた。競争の中で4年間やってきたことが、京都サンガ入団につながった」と話した。「高校時代は攻撃だけやっていた。大学では『いい守備から、いい攻撃』という意識を学んだ」と、大学で成長した手応えを語った。

栗田監督は、「スピードと攻撃力があり、4年になってめきめき自信をつけた。長友を超えるくらいの、次の世代のサイドバックになる可能性を秘めている」と評価した。

4年間「どんな立場でも全力」で成長

ツエーゲン金沢に内定した櫻井

J2のツエーゲン金沢に入団するDF櫻井風我(日大藤沢)は、入学当初、同学年の推薦入学の中に同じサイドバックが5人もいたことに衝撃を受けた。「本当にここでやっていけるのか、と弱い自分が正直出ていた。そこから立ち直ったのは、どんな立場でも明治のために力を尽くしている先輩たちの姿、一体感だった」という。その後は4年間「どんな立場でも全力を出そう、と思ってやってきた。同期とのポジション争いを経験したことで、ツエーゲンに加入することにつながった」と語った。

栗田監督は「守備力、1対1の強さ。そこがあっての攻撃力。ツエーゲンは、そんな櫻井の特徴が出せるいいチーム。思う存分自分を発揮してほしい」と期待した。

元代表・秋田豊社長の熱い期待に応える

いわてグルージャ盛岡のマスコット・キヅールを持つ松原

来季J3のいわてグルージャ盛岡に入団するMF松原亘紀(大津)は、技術力の高いレフティー。栗田監督は「チーム1のテクニシャン。展開能力があり、今年の明治の心臓は松原だった」と評した。松原の内定発表は会見の前日だったが、直前に決まったとは感じさせないサプライズがあった。

各チームからのビデオメッセージが流された際、グルージャからは、J1鹿島や日本代表で活躍した秋田豊・社長兼オーナーが登場。スクリーンの中で両手で大きくアクションをしながら、「よくぞグルージャに来てくれました。ぜひともJ2めざしてがんばりましょう! 松原くんの技術、最高です。絶対勝つぞ!」と熱弁。わずか30秒の時間の中で、会見場を笑いに包んだ。

「絶対勝つぞ!」と松原に呼びかけたグルージャの秋田社長

松原は「まずはJ3での優勝、J2昇格に全力を尽くしたい。このチームとともにJ1にステップアップしたい」と宣言し、秋田社長の期待に応えることを誓った。

明治大学のJリーグ加入内定選手

DF林 幸多郎(はやし・こうたろう)鳥栖ユース  横浜FC

GK遠藤 雅己(えんどう・まさき) 桐蔭学園高  横浜FC

MF木村 卓斗(きむら・たくと)  横浜F・マリノスユース 横浜F・マリノス

DF福田心之助(ふくだ・しんのすけ)札幌ユース  京都サンガ

DF櫻井 風我(さくらい・ふうが) 日大藤沢高  ツエーゲン金沢

MF松原 亘紀(まつばら・こうき) 大津高    いわてグルージャ盛岡

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