陸上・駅伝

立命館大・吉岡里奈 マイルリレーに魅了された副将、集大成の日本インカレへ走りきる

女子部の副将を務める吉岡(すべて撮影・立命スポーツ編集局)

5月24日~27日にヤンマースタジアム長居(大阪)で開催された関西学生対校選手権大会の4×400mリレー(マイルリレー)で、立命館大学が3分37秒21の大会新記録をマークし、優勝を果たした。立命館記録も更新する好タイムに貢献したのが、予選で3走、決勝では1走を務め、メンバー唯一の4年生で副主将を務める吉岡里奈(4年、京都市立西京)だ。昨年の日本インカレでも力走し、立命館のマイルリレー2連覇を達成。今季は「日本インカレ3連覇」はもちろん、「関西学生記録の更新」を大きな目標に掲げ、チームを引っ張っている。

地元で「敵なし」の存在感を放った中学時代

吉岡が陸上を始めたのは、小学校4年生の時。兄の後を追い、地元のクラブチームで陸上を始めた。「もともと体を動かすのが好きで、水泳やバドミントン、バレーボールなど色々なスポーツをやっていました。とにかく走ることが好きだったので、陸上を始めてからはその魅力にのめり込んでいきました。陸上競技は、自分が努力した分だけ、記録が向上します。頑張った分だけその成果が目に見えて記録、結果として出るところが魅力だと思います」。

中学時代は、100mと200mを専門にスピードを磨いた。地元・京都の大会では敵なしの存在感を放ち、美しいフォームと伸びのあるスパートで競技場を魅了した。全国大会にも出場し、着実に経験を積んでいった。

ひたすら走ることに熱中していた彼女にも転機が訪れた。進学した京都市立西京高校はマイルリレーの強豪校として知られており、「私もここで絶対に走りたい!」と強く憧れたのだ。マイルリレーを走るために、高校から400mを専門で取り組むようになった。「マイルリレーで活躍したかったので、距離が伸びることに抵抗は感じませんでした」と当時の心境を振り返った。

高校でマイルリレーと出会ったことが転機となった

「みんながチームのために動ける強いチーム」

吉岡は立命館大への進学理由について「男女ともに強いチームで、自分もそこで強くなりたいと思ったからです。また高校時代に憧れていた先輩が、立命館に進学されたことも理由の一つです」と語る。自身が所属するスポーツ健康科学部では、「専門的なことを深く学び、直接自分の競技に生かすことが出来ます。高校時代は考えたことがなかったことや、スポーツの深いところまで学ぶことができ、立命館に来て良かったなと感じています」と語った。

陸上競技はリレーや駅伝を除くと、個人種目がほとんど。しかし立命館では「結束力」を大切にし、チームとして戦うことを意識している。「みんながチームのために動ける強いチームです。総合優勝を目指して、一人ひとりがチームに貢献できるようにと切磋琢磨(せっさたくま)しています。個人としても強い選手が多く、練習から高い意識で陸上と向き合えます」

今季は女子部の副主将を務めるが、「みんながチームのことを考えて行動してくれるので、あまり大変だと感じることはありません」とまとめる苦労は感じていない。「副主将という立場になって、自分がチームを引っ張っていくという気持ちで、気を引き締めて行動しています。行動でも結果でも、みんなにかっこいい姿を見せたいという気持ちがあります」と戒める。

中心選手として迎えた第100回の関西インカレ。男女ともに優勝を目指し、気合は相当なものだった。「チームのみんなに支えてもらった感謝の気持ちを示し、恩返しができればと強い気持ちで挑みました」と吉岡。惜しくも男女両方優勝はかなわなかったが、女子は総合2連覇を達成した。「ひとまずホッとしています。個々の力はもちろん、一番大きかったのは応援の力だと思います。今年から声出し応援が復活して、仲間が声をからしてまでたくさんの声援をくれました。間違いなく、選手、スタッフ、関係者全員で勝ち取った優勝だと思います」と感無量の様子だった。

個人種目がほとんどの陸上競技だが、立命館は「結束力」を大切にする

大学で競技は引退すると決めたからこそ

マイルリレーで残した3分37秒21は、関西学生記録(2012年に東大阪大学がマークした3分36秒67)にはわずかに届かなかった。吉岡は「あと少しのところで達成できなくて残念です」。決勝は1走を吉岡が務め、2走は工藤芽衣(3年、咲くやこの花)、3走は山本亜美(3年、京都橘)、アンカーは児島柚月(1年、京都市立西京)と日本学生個人選手権の優勝者などの実力者をそろえて臨んだ。

吉岡は「最高学年として後輩に少しでも楽に走ってもらいたい。勢いづけられるよ
うに走りたいという思いがありました」。その言葉通り、1走から他大学を寄せ付けない圧倒的な走りで、工藤にバトンをつないだ。彼女の強い思いは、後輩たちの背中を押し、ルーキーの児島がトップでフィニッシュした。

「必ず日本インカレでは、関西学生新記録を出して、3連覇を達成します」。喜びはつかの間、吉岡は3カ月後に控える日本インカレに視線を向けている。「昨年日本一を経験して、今までの試合の中で一番うれしかったんです。今年も絶対に優勝したいと思います!」と意気込んだ。

吉岡は今年で13年目となる陸上競技人生に、一つの区切りをつけることを決意した。「大学で競技は引退します。だからこそ最後まで出し切りたいです。感謝の心を持って、走り抜きたいと思います」。仲間の声援を背に、悲願の3連覇へ。日本インカレで悔いを残さないよう、残りの期間で準備に励む。

集大成となる日本インカレまで、吉岡は駆け抜ける

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