野球

青山学院大・初谷健心 「まさか」のスタメンで日本一に貢献、飛躍生んだ打席での意識

打席に向かう初谷健心(すべて撮影・青山スポーツ新聞編集局)

高校1年で甲子園の舞台を経験し、スタメンにも名を連ねた初谷健心(2年、関東第一)は昨年、青山学院大に進学した。今春季リーグ戦で自身初のスタメンで起用されると、6試合で先発出場を果たした。さらに、全日本大学野球選手権では打率.364のハイアベレージで日本一にも大きく貢献した。

今春季リーグ戦では、ショートとして6試合でスタメン出場を果たしたが、彼の中では驚きがあったという。「リーグ戦中、コーチから準備しとけと言われていたんですけど、まさか試合の頭から出られると思っていなかったです」と、スタメン出場自体に驚きを隠せなかった。そんな言葉とは裏腹に、リーグ戦途中からはレギュラーに定着し、華麗な守備とパンチ力のあるバッティングでチームを勝利に導いた。

中大エースから放った公式戦初本塁打

5月1日、ZOZOマリンスタジアムで行われた対中大の1回戦。7番ショートでスタメン出場した初谷の第1打席、中大のエース西舘勇陽(花巻東)の速球を捉えると、打球はライトスタンドへ。東都大学野球リーグでの公式戦初本塁打は決勝点となった。くしくも、東都リーグ初ヒットを放った相手も西舘だった。「真っすぐに打ち負けず、しっかり引っ張れるように」。今季から打席で意識してきたことが結果となって表れた打席だった。

中大のエース・西舘からリーグ戦初本塁打を放つ初谷

先日の全日本大学野球選手権。初戦となった2回戦の会場は、初谷が高校時代に全国高校野球選手権の東東京大会でプレーした東京ドームだった。初谷は、当時といまの心境の違いをこう語る。

「高校時代は全部打たなければという思いがあったんですけど、大学では、ここは打たなくてもいいという心の余裕が出来ました。大学に入って、技術面でもメンタル面でも深く考えて野球が出来るようになりました」

心身ともに成長し、全日本大学野球選手権で再び東京ドームの地に戻ってきた初谷は、四回にヒットを放つなど存在感を見せつけた。東都リーグでは東京ドームでの試合がないため、次に東京ドームの土を踏めるとしたら、来年の全日本大学野球選手権だ。それまでに、更なる成長を遂げていることに期待だ。

東京ドームでショートの守備につく初谷

打率.364 全日本選手権で得た手応え

全日本大学野球選手権では、4試合すべてでスタメン出場して打率.364。好成績の要因として、スイングの際に上半身と下半身をしっかりねじることで強い力を生み出す「割れ」の意識を挙げた。

「割れを意識したら変に力まず打てたので、自信を持って打席に立てました」と、本人も手応えを感じていた。いいイメージを持って迎えた決勝戦でも得点につながるヒットを放ち、さらには好走塁も見せた。名だたる好投手がひしめき合う東都リーグでも、この「割れ」の意識でヒットを量産できるか。

全日本大学野球選手権決勝でヒットを放つ初谷

木製バットへの対応、体の弱さ 一から克服

大学に進み、金属バットから木製バットへの変化に苦しむ選手は多い。初谷もその一人だった。「木製になって、ほんとに1からスタートしました。全然違います。体の強さも、他と比べたら全然弱いと感じました。まず、試合でも全然打てなくて挫折しました」。木製バットに関してだけでなく、自身の体の弱さも痛感したという。

「次のリーグ戦までに、オープン戦などで結果を残して、まずはスタメンで全試合出られるようにしたいです。チームとしては、青学らしく明るく戦っていきたいと思います」と、秋のリーグ戦に向けて思いのたけを語ってくれた。

大学野球の壁を痛感してから1年余り。着実に力をつけて全国の舞台にも立ち、青山学院大のショートのレギュラーの座を射止めようとしている。

東京ドームで打席に立つ初谷

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