早稲田大学副将・岡﨑颯馬 ひたむきに愚直に勝利を追求「超えたい目標は、兄」
昨季は大学選手権のファイナリストになったが、連覇を達成した帝京大に敗れて涙をのんだ早稲田大学ラグビー部。今季は「WASEDA FIRST」のスローガンを掲げて、特に4年生主体でチームを運営し、日本一奪還を目指している。関東大学ラグビー対抗戦で開幕4連勝を飾った早稲田大の副将の1人を務めているのが、CTB(センター)岡﨑颯馬(4年、長崎北陽台)だ。
タフで誠実に体を張るセンター
4年生同期の話し合いなどの中で、SO(スタンドオフ)/CTB伊藤大祐(4年、桐蔭学園)がキャプテンに選ばれ、伊藤キャプテンは3シーズン目を迎えている大田尾竜彦監督と話し合いながら、FL(フランカー)永嶋仁(4年、東福岡)、CTB岡﨑の2人を副将に選出したという。
伊藤キャプテンは「岡﨑は13番らしく、タフで誠実で、愚直にプレーしてくれますし、コミュニケーション能力が高い」と言えば、岡﨑は「(伊藤と永嶋の)2人といっしょになって、チームを引っ張っていきたい」と決意を語った。
岡崎は、1年時こそケガなどの影響もありトップチームの試合に出ることはできなかったが、2年時から13番の主軸としてプレーを続けている。身長177cm、体重91kgの岡崎は、タックルで身体を張ることはもちろん、パスやランのスキルが高く、アタックラインの中心として躍動してきた。
今季は春から背番号が一つ上がって12番を背負い、秋になってからは伊藤キャプテンとCTBコンビを組んでいる。大田尾監督は「春からセンターはいろいろな組み合わせを試してきましたが、岡﨑は、その中でチームの軸として引っ張ってくれている」と信頼を寄せている。
3歳先を歩む兄に続き、U17日本代表にも
岡﨑は、長崎の長崎ラグビースクールで小学校3年から競技を始めた。3歳上の兄・SO航大(筑波大→静岡ブルーレヴズ)が少し先にスクールに入っていたという。中学も高校も入れ替わりだったため、兄と一緒のチームでプレーすることはかなわなかったが、岡﨑にとって兄は「常に自分の目指すべき目標だった」という。兄が中学時代に太陽生命カップで優勝したり、U17日本代表に選ばれたりしたため「兄が僕の進みたい道を先に進んでいたし、いつも超えたいと思っていた」と振り返る。
高校も兄と同じ長崎北陽台に進んで、U17日本代表や高校日本代表候補に選ばれた。兄よろしくキャプテンを務め、明治大学のLO(ロック)亀井茜風(4年)らとともに、高校3年時は「花園」こと全国高校ラグビー大会でベスト8まで進んだ。
大学進学時、再び兄を追いかけて同じ筑波大への道も考えたというが、「アカクロジャージーや、明治大を倒す姿に憧れていた」と、最終的に早稲田大への進学を決めた。
見習うはオールブラックスのリーコ・イオアネ
最終学年となった今季、春季大会では明治大学(24-45)や帝京大学(21-60)に敗れた。岡﨑は「次のプレーをまだ明確にできていなかったり、トライを取りきれなかったり、まだ日本一になるチームではない」と反省していた。
夏合宿を経て9月に開幕した関東大学ラグビー対抗戦では、CTB岡﨑はアタックの軸として、特にトライやアシストなど決定機に絡むシーンが多く、CTBコンビを組む伊藤主将とともにBK(バックス)の中心として存在感を示し、開幕4連勝に貢献した。
長崎出身らしくちゃんぽんが好きな一方、コーヒーが飲めず、最近は紅茶にこっているという。好きな選手は、どんなプレーでもひたむきに臨む南アフリカ代表のFLクワッガ・スミス、そして、自分と同じポジションのニュージーランド代表CTBリーコ・イオアネだ。特にイオアネの、ディフェンスラインの裏に出てオフロードパスでつなぐプレーを参考にしているという。
来季は、兄同様にリーグワンのチームに進みラグビーを続ける予定で、「リーグワンの試合に出続けたい。目指す日本代表はその先にあると思うので、所属するチームで最大限のプレーをしたい」と先を見据える。
試合でも練習でも、ひたむきに先頭で
今季、副将となった岡崎が特に意識していることがある。「日本一という目標をぶらさずに、ゲーム中だけでなく練習中でも、自分が求められているプレーを毎回クリアできるように、ひたむきに先頭に立ってプレーする。練習だったら最初にアップして、試合中ならこぼれ球を最初に拾いに行くなどチームに必要なことを体現したい」
早稲田大は11月5日に春と夏に負けているディフェンディングチャンピオン・帝京大戦、そして今季は100回目を記念し国立競技場で11月23日に行われる慶應義塾大との「早慶戦」、12月3日には再び国立競技場でライバル明治大との「早明戦」を迎える。
スペース感覚にたけており、パス・ラン・タックルとなんでもできるアカクロの中盤のオールマイティーが、ひたむきなプレーで攻守にわたり勝利に貢献する。