アディダスが“駅伝”の名を冠した「ADIZERO EKIDEN COLLECTION」を発表
11月10日、都内でアディダスの新商品発表会が開催され、國學院大學・陸上競技部の前田康弘監督、平林清澄(3年、美方)、上原琉翔(りゅうと。2年、北山)が登壇した。この発表会で初お目見えとなったのが、アディダスとして初めて“駅伝”の名を冠した「ADIZERO EKIDEN COLLECTION(アディゼロ エキデン コレクション)」だ。レースでも練習でもADIZERO(以下、アディゼロ)シリーズを着用している平林、上原両選手のコメントにくわえ、同じくアディゼロシリーズを着用して活躍する青山学院大学・陸上競技部の太田蒼生(あおい、3年、大牟田)と黒田朝日(2年、玉野光南)のコメントから、アディゼロの新コレクションを紹介する。
世界で“勝つ”ためのアディゼロシリーズ
1949年にドイツで創業して以来、グローバルスポーツブランドとして革新的なシューズやアパレルを世に送り続けているアディダス。このアディダスが注力するカテゴリーのひとつがランニングだ。初心者からエリートランナーまで幅広いニーズに応える製品を展開しているが、そのなかでも駅伝やフルマラソン、ハーフマラソンなどの大会で記録や自己ベストを目指すことを目的としたシリアスランナーに向けた製品が、『速くなるための、すべて。』というメッセージをつけたアディゼロシリーズだ。
「日本人の足に最高のフィット感を」という目的のもと0.01mmまでこだわって削り出した足型の「マイクロフィット」によって優れたフィット感と推進力を生み出すアディゼロシリーズは、日本人のみならず外国人ランナーにも人気のシューズだ。ロードレースにおいて、2021年から現在まで9つの世界記録更新に貢献し、22年には世界最高峰のマラソンシリーズであるワールドマラソンメジャーズの6大会で優勝者の50パーセントがアディゼロを着用。さらに23年9月にはティギスト・アセファ(エチオピア)が「ADIZERO ADIOS PRO EVO 1(アディゼロ アディオス プロ エヴォ 1)」を履いて女子マラソンの世界記録を大幅に上回るタイムで優勝。まさに勝利を呼ぶシューズ、それがアディゼロだ。
日本でもフルマラソンや駅伝など多くのシーンで愛用されるアディダスは、アディゼロを軸にシリアスランナーとのつながりを強めている。学生長距離界では、12年に大学駅伝をけん引する青山学院大と、22年からは近年の駅伝での活躍が目覚ましい國學院大とパートナーシップを結んだ。トレーニングやリカバリーにも適したシューズもラインナップしているアディゼロの着用率は、学生長距離界でも年々上昇。23年正月の大学駅伝では、出走した選手のうち20パーセント以上がアディゼロを履いており、11月の大学駅伝ではそのシェアが前年の倍以上になるなど、信頼は厚い。
注目の新モデルは「ADIZERO TAKUMI SEN 10(アディゼロ タクミ セン 10)」
今回の発表会でお披露目された「ADIZERO EKIDEN COLLECTION」は、シューズとアパレルを展開するコレクション。7つのシューズ と、ランニングジャケットやTシャツ、ウィンドウパンツなど全12モデルのアパレルアイテムが登場した。正月に行われる日本の代表的な大学駅伝が来年100回目を迎えるなか、駅伝で躍動する選手を支え、駅伝そのものに新たな価値を少しでももたらしたい、というアディダスの思いが「EKIDEN」に込められている。
デザイン面での特徴はレッドとゴールドを基調に、日本を象徴する富士山が、朝日に照らされて赤く染まる「赤富士」を100のドットで表現したアイコンを入れていることだ。
今回発表されたシューズのなかで、とくに注目なのが『山を制する駅伝ランナーへ。』をテーマにした「ADIZERO TAKUMI SEN 10(アディゼロ タクミ セン 10)」。10km前後のレースからハーフマラソンまで、最速レベルの走りを引き出す高反発推進テクノロジーを搭載したレーシングモデル「ADIZERO TAKUMI SEN」がアップデートされたモデルだ。
ここ数年は厚底シューズが駅伝を含むロードレースの主流になっているが、接地感や軽量性にこだわるランナーも少なくない。この背景を踏まえ、平地とは異なる体重移動やパワーが求められる山の上り下りでの走りに対応できるモデルに、「ADIZERO TAKUMI SEN 10」は進化した。薄型軽量の要素に厚底をプラスし、最適な調和を実現した中厚底タイプ(33mm)かつ超軽量(27.0cmで片足200g)、さらにアッパーには軽量性とストレスのないフィット性を追求し、リサイクルライトウエイトメッシュ素材を採用。素材の重なりや縫い目の数を減らしながらも安定性を向上させ、山を上り下りするときにも、ハイスピードを出したいときにも、シューズとの一体感がより高まり、力を最大限に発揮できる。ミッドソールも進化を遂げ、バネのある蹴り出しがより体感でき、駅伝でも主戦場となる10kmからハーフマラソン程度の距離でとくにスピードを発揮できる構造になっている。
ランニングシーンにあわせたシューズがラインナップ
発表会では、「ADIZERO TAKUMI SEN 10」のほかに「ADIZERO EKIDEN COLLECTION」から、厚さ50.0mm、2層のフルレングスカーボンプレート内蔵の「ADIZERO PRIME X2 STRUNG(アディゼロ プライム X2 ストラング)」、厚さ39.5mmで高反発テクノロジー搭載の「ADIZERO ADIOS PRO 3(アディゼロ アディオス プロ 3)」、レースと距離走などのトレーニングに適している厚さ39.5mmの「ADIZERO BOSTON 12(アディゼロ ボストン 12)」、毎日のジョグに適した厚さ33.0mmの「ADIZERO SL(アディゼロ エスエル)」、中学高校など部活生向きの「ADIZERO DURAMO SPEED(アディゼロ デュラモ スピード)」、タフな走り込みをしたいランナーに向けた「ADIZERO RC 5(アディゼロ アールシー 5)」が発表された。
このうち、特に駅伝ランナーから人気が高いのが、「ADIOS PRO 3」、「BOSTON 12」、「SL」 だ。「ADIOS PRO 3」はレースでもよく履かれていて、23年の正月駅伝でも着用している選手が多かった。「BOSTON 12」はレースと近い感覚での距離走などの練習で使用できるところが好評で、「SL」は幅広いジョグなど様々なシーンで汎用性の高いシューズ として重宝されている。
大学駅伝の頂点を目指す國學院大はアディゼロを使い分け
アディダスとパートナーシップを結ぶ國學院大や青山学院大の選手をはじめ、駅伝ランナーのなかでもアディゼロの新商品は注目の的だ。発表会に登壇した國學院大の平林は以前から「TAKUMI SEN」を愛用。「アッパーも変わっていて、柔らかく感じます。接地感はそのままで推進力が高まりそうです」と初めて「TAKUMI SEN 10」を履いた感想を口にする。11月の大学駅伝で区間賞を獲得した平林は、最近のレースでは「TAKUMI SEN 9」を履いている。「足の感覚を大事にしている自分が求めているちょうどいい厚さです。接地したときの感覚、走るときにシューズの反発に頼り過ぎず、自分の足の力で走れるところが気に入っています」
前田監督は「TAKUMI SEN 10」が、正月の駅伝でレースのポイントになる「山上り・山下り」に適した作りであることに着目。さらに、「選手の走りの特性や、レース用、練習用と用途に合わせてシューズを選べます。幅広い選択肢があるのもアディゼロシリーズの良さのひとつだと思います」と信頼感は抜群だ。
その言葉の通り、23年の正月駅伝では1年生ながら7区を担った國學院大の上原もシーンによってアディゼロを使い分けている。レースでは「ADIOS PRO 3」を着用。「厚底が好きで、特に(接地したときの)柔らかさを重視しているからです。何種類か厚底を試しましたが、『ADIOS PRO 3』は反発もあるし、楽に自然に走れます」。そして、トレーニングでは「柔らかい厚底で練習すると脚力が落ちてしまう」と、ソールが硬めの「SL」を使用している。
國學院大は今シーズン、10月の大学駅伝では4位、11月の大学駅伝では3位と、大会ごとに順位を上げている。来たる24年正月の駅伝に向け前田監督は「今年(23年)の正月は総合4位で表彰台には立てませんでしたが、24年は絶対に3位以内に入り、さらにその上を見据えていきたい」と言葉に力を込める。
頂点に返り咲きを狙う青山学院大もアディゼロを愛用
11月の大学駅伝では2位につけ、24年の正月駅伝では2022年以来7度目の総合優勝を狙う青山学院大の選手たちもアディゼロを愛用している。
大学1年の時から正月駅伝に出走し、6回目の総合優勝に貢献した青山学院大の太田もシーンによって異なるアディゼロを着用している。「練習では『BOSTON 12』を一番使っています。スピードをあげたジョグや長い距離のハイペースなジョグで使いやすいのと、反発が得られるジョグシューズというところが気に入っています。ペースの速いポイント練習ですと『TAKUMI SEN』、ゆっくりのジョグだと『SL』。大会では『ADIOS PRO 3』が多いのですが、反発性、グリップ、安定性があり、20kmちょっと走っても後半足が疲れにくいのでレースで一番履きやすいシューズとして使っています」と話す。11月の駅伝でも「ADIOS PRO 3」によりペースを保って走れたという。
10月の駅伝では2区区間賞、11月の駅伝では2区区間新を記録した黒田は、大会のときは「TAKUMI SEN」を着用している。「地面を押したときのインパクトが返ってくる感覚がしっかりしています。速いペースの練習のときも『TAKUMI SEN』を履いています。練習では『ADIZERO JAPAN 8(アディゼロ ジャパン 8)』と『BOSTON 12』をローテーションで履いていますが、アディゼロはジョグ用でもレース用でも種類が豊富にあって自分にあったシューズが選びやすいのがすごいところだと思います」と信頼を口にする。
國學院大、青山学院大をはじめ、多くの駅伝ランナーの走りをサポートしているアディゼロ。現役選手が話すようにレースで力を発揮するシューズであり、また練習ごとに使い分けられるシューズがラインナップする「ADIZERO EKIDEN COLLECTION」。駅伝やフルマラソンなどでも目にすることが多くなると思うが、ぜひこのシューズで走って、新しい世界を体感してほしい。
「ADIZERO TAKUMI SEN 10(アディゼロ タクミ セン 10)」
山を制する駅伝ランナーへ。フルレングスの5本骨状バー「ENERGYRODS 2.0」を新たに搭載し、上り下りでも変わらぬスムーズな足運びと推進力を実現。価格22,000円(税込)
「ADIZERO ADIOS PRO 3(アディゼロ アディオス プロ 3)」
マラソンで最速に挑むランナーへ。マラソンやハーフマラソン、駅伝で勝利と最速に挑む、高反発推進テクノロジー搭載高速レーシングモデル。価格26,400円(税込)
「ADIZERO BOSTON 12(アディゼロ ボストン 12)」
駅伝ランナーの距離走に。反発力と助力を生かしながら、レースでもトレーニングでも速さを引き出す、高反発推進テクノロジー搭載ハイパフォーマンスモデル。価格18,700円(税込)
駅伝ランナーの毎日のジョグに。クッション性のあるミッドソールが快適な走りと鋭い推進力を支える。あらゆるレベルのランナーが幅広いシーンで使用可能な万能ランニングシューズ。価格14,300円(税込)
「ADIZERO PRIME X 2 STRUNG (アディゼロ プライム エックス ツー ストラング)」
未知の速さを体験したいランナーへ。規格外の反発力とスピードを引き出す「ルール度外視」の新次元コンセプトシューズ。価格:39,600 円(税込)
「ADIZERO DURAMO SPEED(アディゼロ デュラモ スピード)」
駅伝を目指す部活生へ。優れた安定性と軽量性の両立により、様々なスポーツ部活動やフィジカルトレーニングで使用可能なベーシックトレーニングモデル。価格:9,350 円(税込)
「ADIZERO RC 5(アディゼロ アールシー 5)」
タフな走り込みを求めるランナーへ。短・中距離トレーニングに向けた耐久性と快適性を兼ね備え、タフに使用可能なデイリートレーニングモデル。価格 :11,000 円(税込)