明治大学・木戸大士郎 100周年を迎えた早明戦勝利と大学日本一へ「凡事徹底」
関東大学ラグビー対抗戦は、11月23日に行われた100回目の「早慶戦」に続いて、12月3日には東京・国立競技場で、早稲田大学と明治大学の「早明戦」が100周年を迎える。今季も3位と2位の激突となり、大学選手権への出場は決まっているが、この1戦に勝ったチームが相手より上位となる。定期戦の「早明戦」通算成績は早稲田大の55勝41敗2分けで、創部100周年の明治大は何としても伝統の一戦に勝利したいと意気込んでいる。「重戦車」と称される明治大FWで、花形のNO8(ナンバーエイト)を昨季から務めているのが、木戸大士郎(3年、常翔学園)だ。
入学直後からレギュラー 今季も全試合フル出場
木戸は身長185cm、体重103㎏。入部してすぐの1年から6番として定位置を確保し、昨季からNO8として躍動。だが、昨季の明治大は関東対抗戦で帝京大学に敗れ、続く「早明戦」にこそ勝ったが、大学選手権準々決勝で再戦した早稲田大に敗れ、ベスト8でシーズンを終えてしまった。
今季も11月19日に帝京大学に11-43で敗れたが、コーチ陣の信頼厚いNO8木戸はここまでの全6試合に先発し、80分間試合に出続けている。100周年の「早明戦」、そして大学選手権へと突入する12月を前に、木戸は「神鳥(裕之)監督も言っている『凡事徹底』の部分、システムや役割が決まっていて、当たり前のことを誰もが完璧にやることが大事」と語気を強める。
高2で花園4強、高3ではキャプテン
大阪・泉佐野市出身の木戸は、父の亮(あきら)さんが近畿大学、NTT関西(現・レッドハリケーンズ大阪)で活躍したHO(フッカー)だった。その影響で小学校2年から岬ラグビースポーツ少年団で競技を始める。弟・翔司郎は常翔学園高校(3年)のPR/HOだ。
中学の途中まではBKだったが、「足が遅かった」とFWに転向。大阪府スクール選抜などにも選ばれていた木戸は、高校は、叔父の出身校であり「FWが強いチームだったので」と、大阪の全国的な強豪・常翔学園に進学した。
「バックロー(FL/NO8)をやりたかったが、LO(ロック)がいなかったので」と強豪校で1年からLOとしてプレー。大学でもチームメートのPR為房慶次朗(4年)がキャプテンを務めた2年時には、「花園」こと全国高校ラグビーでベスト4に進出した。高校3年時は木戸がキャプテンを務めたが、花園では3回戦で敗退してしまった。
「大学はあまり詳しくなかったが、(高校の2つ先輩の石田)吉平さん(横浜キヤノンイーグルス)や慶次朗くんなど、すごい選手がいたので」と、自分も明治大学へ進学を希望し、見事に合格。高校はLOだったが、入学したばかりの1年の春からFLとして試合に出るようになり、対抗戦では不動の6番に。優勝はできなかったが、大学選手権決勝の舞台にも立った。「ディフェンスでミスなくハードワークするところが評価されたのかな」と振り返る。
NO8として FWを引っ張る自覚
2年時はFLからNO8へ転向した。ただ、ケガの影響もあり、春から夏にかけて出場できない試合が続いてしまい、大学選手権では準々決勝で敗退し、年も越せず国立競技場でもプレーできない悔しいシーズンとなった。「昨季、自分的にもあまりパフォーマンスが良くなかった。もう少し体重を増やして、アタックのキャリーと低いタックルという明確になっている課題にチャレンジしていきたい」
3年となった今季、体重は入学時より10kgほど増えた。最近は体脂肪も気にするようになり、明治大ラグビー部の朝食でおなじみの唐揚げもあまり食べなくなったという。上級生となりチームを引っ張る立場になったことも自覚しており、「少し余裕が出てきたかな。NO8はFWの最後尾で周りがよく見えるポジションなので、もっと引っ張っていきたい」と、攻守にわたり、FWの中軸として体を張り続けている。
ハードワーク貫き 日本一へ日進月歩
将来は当然、リーグワンのチームでプレーすることを望んでいる。好きな言葉は中学時代から大事にしている「日進月歩」。好きな選手は元オールブラックスのFLマット・トッドや、元オーストラリア代表のマイケル・フーパーといういぶし銀の選手だ。趣味は、ブラックのアイスコーヒーを自らいれることで、仲のいい同期らと近所のカフェに行くことも、いいリラックス方法になっている。
「同期もそうですし、1年生にもいい選手がたくさんいるので、少しでも気を抜いたらやられるな、とめちゃくちゃ刺激になっています!」と木戸。信条であるハードワークを貫き、まずは「早明戦」に勝利し、その勢いのまま、大学選手権では今季こそ日本一に輝いて、創部100周年に花を添えたい。