ラグビー

大学王者の帝京大に大町佳生、早稲田大に野中健吾 期待のルーキー関東対抗戦

戦術眼とスキルが高い帝京大の大町佳生(撮影・すべて斉藤健仁)

5月に入り、東西でラグビーの春季大会、春季トーナメントが本格的に始まった。そこで、関東大学ラグビー対抗戦Aグループ、関東大学ラグビーリーグ戦1部、関西大学ラグビーAリーグの主要3つのリーグの各チームに入った新人選手を紹介していきたい。まずは関東対抗戦から見ていきたい。

相馬新監督のもと有望選手35人が加入

1年生の活躍もあり4シーズンぶり10度目の大学王者に輝き、対抗戦でも10度目の優勝を遂げた帝京大学。岩出雅之監督が勇退し、日本代表経験のあるOBの相馬朋和新監督が就任した今季も全国各地の有望選手35人が加入した。

まず、近い将来、「紅き旋風」の10番を担いそうなのがSO大町佳生(長崎北陽台)だ。戦術眼とスキルが高く、高校3年時は自チームをベスト8に導いた。高校日本代表候補同士の対戦では自チームの主将を任されMVPにも選出。BKでは御所実業を引っ張っていたSH山本晴大(御所実業)、SO島袋世良(読谷)、SO/CTB河村ノエル(大阪桐蔭)は大町同様に各高校で主将を務めていた選手たちである。

FWも同様で120kgを超える巨漢のPR松原結生(國學院久我山)、PR大浦敬太郎(常翔学園)、FL蔵森晟(東福岡) 、LO清水大我(桐生第一)、FL春名海輝 (東海大大阪仰星)ら強豪校から有望選手が入った。特にPR出身の相馬監督の下、今季も引き続き、スクラム、ラインアウトといったセットプレーには力を注ぐはずだ。

桐蔭学園の主将・中島潤一郎も早大に

次に対抗戦2位だったが、大学選手権ではライバルの明治大学に敗れて準々決勝で敗退した早稲田大学には30人の選手が加入した。

東海大大阪仰星で攻守に活躍した野中健吾は早稲田に加入

一番の目玉選手は、昨季の「花園」こと全国高校ラグビー大会で優勝した東海大大阪仰星でCTBとして攻守に大活躍した縦に強いCTB野中健吾だ。他にも茗渓学園の3年間、10番を背負った黒川和音も入部、過去3年、桐蔭学園の主将経験者が入部しているが今季もFL中島潤一郎が入部した。

一昨年の花園でHO佐藤健次らとともに優勝に貢献したFL粟飯原謙(桐蔭学園)と、流通経済大柏で躍動したWTB小澤アンディ&ジョージィの2人も一浪の末、合格した。また高校日本代表候補だったFB福島秀法、長崎北陽台NO8勝矢紘史らは現役合格で入部して門をたたいた。

早稲田大は高大連携で強化を進めており、今季も早稲田実業から6人、早大学院から4人が入部した。SO/FB山下一吹(早稲田実業)はかつて早稲田大で主将や監督を務め、サントリーなどで活躍した山下大悟氏の息子である。昨季同様、1年生からアカクロのジャージーを着る選手が現れるか。

PR富田陸らビッグネーム並ぶ明治大

対抗戦では3位だったが大学選手権は決勝まで駒を進めた明治大。今季も高校日本代表候補を中心に21人が入部した。

FWは春の早明戦で決勝トライを上げたPR富田陸を筆頭に、ボールキャリーに長(た)けたFL利川桐生(ともに大阪桐蔭)、PR伊藤潤乃助(常翔学園) 、昨季の高校選抜の優勝に貢献したHO西野帆平(東福岡) 、LO井上茉紗樹(佐賀工業)、LO小椋健介(桐蔭学園)、バックローには菊池優希(山形中央)、花園の優勝に貢献した楠田知己(東海大大阪仰星)、最上太尊(仙台育英)らとビッグネームが並ぶ。

常翔学園を引っ張った仲間航太は明治に

BKは東日本学生セブンズで決勝トライを奪ったCTB山村和也(報徳学園)を筆頭に、1年時から常翔学園で活躍したSO仲間航太、U20日本代表候補だったCTB平翔太(東福岡)&東海隼(光泉カトリック)、SO蓬田雄 (流通経済大柏)、SO川村心馬(函館ラ・サール)ら今季も有望選手が多数加わった。すでに4月、5月からブレイクの兆しを見せている富田、山村に続く選手に期待したい。

慶應大は20人が系列校出身

昨季4位だった「ルーツ校」の慶應義塾大学。今季、36人の選手が加入したが、慶應義塾高校の主将だったHO藤田祥平、副将だったSH橋本弾介ら19人と、慶應志木のSO石垣慎之介と計20人が系列高の出身者となった。

花園で活躍した選手だと桐蔭学園でSOとして活躍し2年時に優勝に貢献した今野椋平が、すでに春季大会で15番をつけて先発しており、大阪桐蔭のSH杉山雅咲、一般受験で合格したという常翔学園の主将だったCTB山本大悟らもベンチメンバー入りを果たしている。

桐蔭学園のSOだった今野椋平は慶應大へ

他にも札幌南、膳所、千葉、海陽学園、修猷館、宮崎西、ラ・サール学園など全国の進学校から部員が入部しているのも特徴だろう。

日体大はトンガ留学生が加入

昨季は5位となり14大会ぶりに大学選手権に出場した伝統的にラングニングラグビーを武器とする日本体育大学。

今季は27人の新人が加入した。まず目を引くのは2人のトンガ人留学生だ。昨季まで活躍したNO8/FBハラトア・ヴァイレア(元クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)に替わり、日体柏の後輩であるLO/NO8テビタ・タラキハアモアとWTB/FBトアニトニ・キオタカが加入。1年時からチームの中核となれるか。

他にも花園常連校からPR由地蓮(大阪桐蔭)、HO楳原大志(長崎北陽台)、LO逢坂侑大(御所実)、LO吉田伊吹(山形中央)、FL大西翔太(京都成章)、LO/FL信田智大(常翔学園)、SO大野莉駒(桐蔭学園)、CTB関口男(報徳学園)、WTB/FB片山悠希(茗溪学園)、WTB古賀剛志(佐賀工業)、WTB/FB片山翼(昌平)らが加入した。

過去最多29人が入部した筑波大

さらに上位に進出し、今年も大学選手権に出場するためには新人の台頭が欠かせない。

昨季は6位に沈み大学選手権の出場を逃した「国立大学の雄」筑波大学。今季は過去最多という29人(女子部員も含めると31人)が入部し、新人が大きな戦力となるはずだ。

春季大会の初戦からメンバー入りを果たした筑波大の楢本幹志朗(左)と高橋佑太朗

まず世代トップクラスのゲームコントローラーとして活躍したU20日本代表候補SH高橋佑太朗(茗渓学園)と、高校日本代表のSO楢本幹志朗(東福岡)が加入。春季大会の初戦からメンバー入りを果たした。高校日本代表候補WTB小池陽翔(中部大春日丘)も早速、東日本大学セブンズで快足を披露した。

さらにPR/HO門脇遼介(桐蔭学園)、HO前川陽来(尾道)、FL茨木颯(東福岡)、FL杉崎玖宇、SO/FB永山丞(ともに國學院久我山)ら全国の舞台で活躍した選手も多い。HO小澤一誠(國學院久我山)、SO/CTB大内田陽冬(修猷館)の2人は現役で医学群医学類に合格し、ラグビー部の門をたたいた。かつてFLで活躍した中田渡来のように医学部とラグビーの両立を目指す。

青山学院大に進学した荒川真斗は春季大会でレギュラーとして名を連ねている

強豪から17人加入の青山学院大

7位だったが入替戦で勝利して残留した青山学院大学には17人の部員が入部した。すでに春季大会でレギュラーとしてLO荒川真斗(國學院大學久我山)、控えとしてPR相川拓也(桐蔭学園)が名を連ねている。他にもFWは東福岡の主将だったFL八尋祥吾を筆頭に、PR/HO松下稜(桐蔭学園)、HO/NO8田中太陽(常翔学園)、FL芦高琉広(報徳学園)、NO8小林純岳(東海大相模)、FL/HO内藤基(東福岡)、SO幸内良真(目黒学院)、SH平澤温人(天理)、CTB森草知(桐蔭学園)ら強豪から有望選手が加入している。

少数精鋭の立教大

8位だったが入替戦で勝利して残留を果たした立教大学には少数精鋭の13人が加入した。PR/HO大上翔(京都成章)、PR佐久間翔悟(桐蔭学園)、LO島﨑太志(桐蔭学園)、CTB佐藤侃太朗(國學院久我山)はすでに春季大会から控えメンバー入りを果たしている。他にも花園で初の準優勝だった國學院栃木の主将LO/FL白石和輝、SH斉藤空来、WTB渡辺大斗(ともに國學院久我山)も有望だ。

昨季の対抗戦は1年生が躍動したシーズンとなった。今季も若い力が各チームを押し上げるはずだ。

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