ラグビー

特集:第58回全国大学ラグビー選手権

早稲田大のNo.8佐藤健次とSH宮尾昌典、王座奪還の鍵を握るルーキーコンビ(上)

早稲田大学のルーキーコンビ。身長178cmの佐藤健次(左)と165cmの宮尾昌典(撮影・斉藤健仁)

ラグビーの第58回全国大学選手権は8強が決まり、12月26日に準々決勝が行われる。関東対抗戦2位でシードされた早稲田大学は明治大学(対抗戦3位)との今季2度目「早明戦」で初戦を迎える。

1年生ながら対抗戦で全試合先発出場したNo.8佐藤健次(桐蔭学園)とSH(スクラムハーフ)宮尾昌典(京都成章)のコンビに、2年ぶりの王座奪還を目指す選手権を前に語り合ってもらいました。2回に分けてお届けする初回は、早大に入って感じたことや息の合ったプレーの秘訣(ひけつ)などです。

「ケンジ」と「まあ」の8、9番

――U17日本代表でチームメートとなり、コロナ禍では高校の垣根を越えてオンラインで一緒にトレーニングをしていたと聞いています。そして昨季の第100回全国高校大会決勝で、2人は対戦したライバルでもありました。何と呼び合っていますか?

佐藤 僕は「まあ」で、最近は「まあくん」です。

宮尾 僕は「ケンジ」です。

佐藤はNo.8としてはサイズはないが、攻守に切れ味がある(撮影・斉藤健仁)

――2人とも対抗戦に全試合先発して2位で終えました。振り返ると?

宮尾 最後の早明戦で自分たちの中で一番いいゲームができたことは、大学選手権につながると思います。早明戦は緊張しましたが、個人としては勉強になる試合になった。修正できる部分をしっかりやりたい。

佐藤 対抗戦の初戦から試合に出させてもらいましたが、チームとしては前半が良くて後半悪かったり、前半悪くて後半良かったりと試合によって波がある状況だったので、そこは修正していかないといけない。個人としては、徐々に調子を上げて、早慶戦、早明戦では、自分がしたいと思ったところで、自分の形でゲインできたので良かったのかなと思います。

――早大を選んだ理由は?

佐藤 早大のFW選手はスキル、走力もあるし、上手(うま)いので憧れていました。自分が一番成長する、のびのびプレーできる場所はどこかと考えたときに、一番そう思ったので早大を選びました。

宮尾 試合に出られそうな大学に行くのか、自分にとって厳しい環境に行くのか悩んだときに、将来のことも考えて、自分が競い合える選手がいる早大を選びました。また今は日本代表で活躍しているSH齋藤直人選手(東京サンゴリアス)に憧れていたという理由もあります。

宮尾は昨季の第100回全国高校大会で京都成章初の決勝進出に貢献した(撮影・斉藤健仁)

――早大に入学して驚いたことはありますか?

佐藤 フィジカル面では高校と大学でちょっとレベルが違ったので、最初は驚きましたね。規律面では、自分のことを「俺」と言ってはいけなくて、「僕」、「私」、「自分」というのは大丈夫で、それが一番、驚きました!

宮尾  練習前に、毎回、ミーティングがありますが、ミーティングの材料となる動画を全部スタッフに用意していただいて、僕らは映像を見て話を聞くだけだったというのは、大学に入った当初、ビックリしました。高校時代は自分たちで準備していたので、大学はマネージャーや分析などたくさんのスタッフがいてラグビーに集中できる環境でやらせていただいています。

――寮生活はどうですか?

佐藤 僕は初めての寮生活だったんですが、案外、居心地がいいなと感じています。夜に自分がちょっとウェートトレーニングやりたいなと思ったときに、すぐにできますし、(トレーニング用の)バイクも全部揃(そろ)っています。個人的に練習したかったらグラウンドも使えますし、自分と向き合える時間がすごく増えて、体重も10kgくらい増えて101kgくらいになりました。

宮尾 高校時代寮生活でしたが、僕もケンジと一緒です(笑)。高校時代に両肩を脱臼していて、大学に入ってすぐに両肩の手術をしましたが、今では体重も増えましたし、ウェートトレーニングでは少しずつ持ち上がる重量が増えてきました。

春シーズン悩んだ佐藤、手術から夏復帰の宮尾

――大学のレベルに慣れるまで時間はかかりましたか?

佐藤 春シーズンは、全試合、全く通用しなくって、大学ラグビーは厳しいなと自分の中で悩んでいました。でも夏合宿あたりで、ようやく自分のフィジカルが少しずつ追いついてきて、通用するところが出てきました。大学のコンタクト強度に慣れたことが一番大きいと思います。最近は外(タッチライン際)でプレーするとボールを持つ機会が少なくなりますし、中でプレーする方が楽しくなってきたので、自分から中に入っていっています。

昨季、桐蔭学園主将だった佐藤は全国高校大会決勝で、宮尾がいた京都成章を破り連覇達成(撮影・白井伸洋)

宮尾 僕は7月中旬から本格的にラグビーに復帰して、最初は不安でしたが、ミスを恐れず、積極的に強気でやるというプレースタイルでやったら最初から調子が良かった。自分が思っていた以上に早くAチームに上がれて、そのままの調子で来ているという感じです。途中からの合流だったので、自分がわからないことはSO(スタンドオフ)吉村紘(3年、東福岡)さんに聞いたりしていました。

初めてのアカクロ、全試合先発

――対抗戦の立教大との開幕戦で、初めて早大のアカクロのジャージーを着たときはどう思いましたか?

宮尾 めちゃくちゃワクワクしていて、最初に着たときは正直、シビれました。試合開始1分くらいで、走っている時に、これトライしちゃっていいのかな?と思っていましたね。

佐藤 最初、ジャージーをもらう時に「アカクロ」だと思い、すごくワクワクしていました。試合前は、あんまり緊張はなかったです。最初、少し硬かったですが、トライも取れましたし、のびのびプレーさせてもらいました。

宮尾は早大の攻撃のリズムを作り出している(撮影・斉藤健仁)

――2人とも1年生ながら対抗戦で全試合に先発出場しました。

佐藤 練習試合でも実になることが多いと思いますが、アカクロのジャージーを着て、その責任感、プレッシャーなど、全部がある中で試合をすることで、自分としても成長できているという感覚があります。だから、1年目から試合に出られていて、いいことかなと思います。

宮尾 (1年生から試合に出ることを)目標にしていましたが、春に両肩を手術していたので、まさかこんなに試合に出してもらってトライもして、チームに貢献できている自分の姿は想像していなかったです。

――お互いのことはプレイヤーとしてどう見ていますか?

宮尾 安心感が全然違います。早大のFWはしっかりしている人が多いですが、その中でもケンジ(佐藤)は、僕がボールを放ると一番ゲインをしてくれます。ボディコントロールもすごいし、ディフェンスもできる。信頼は厚いですね。だから、練習でもケンジが走ってきたら、違うところが空いているのに、そこに放ってしまいます(苦笑)。

佐藤 花園で対戦したとき嫌なプレーヤーだったので、味方にいたら楽しいだろうなと思っていましたが、実際そうですね。今まで、いろんなSHとプレーしてきていい選手もたくさんいましたが、まあ(宮尾)は一番やりやすく、一番楽にプレーできます。一声かけるだけで、ほしいところに放ってもらえます。まあの場合は基本的に、走り込んでこう目が合ったら絶対に(ボールが)来るみたいな感じです。

佐藤健次(さとう・けんじ) 5歳の時に群馬・高崎ラグビークラブで始め、横浜ラグビースクールで続けた。桐蔭学園高2年の時にU17日本代表主将。第100回全国高校大会では主将でチームを引っ張り連覇達成。韓国ドラマにはまり、最近は「トッケビ~君がくれた愛しい日々~」をみた。身長178cm、体重101kg、2003年1月生まれ。
宮尾昌典(みやお・まさのり) 3歳から始め兵庫県ラグビースクールで楕円球に親しんだ。京都成章高では寮生活。3年連続全国大会に出場し第100回大会ではチーム初の決勝へ進み、桐蔭学園に15-32で敗れた。曽祖父はドイツ人。風呂で歌ってリラックスしている。身長165cm、体重70kg、2002年6月生まれ。

【続きはこちら】初めての全国大学選手権への意気込みなどを語ります

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