ラグビー

98回目の早慶戦は早大が逃げ切る、全勝の帝京大が10度目Vかけ慶大戦

早稲田大のルーキー佐藤健次がプレイヤーオブザマッチに輝いた(撮影・斉藤健仁)

98回目を数える伝統の一戦、関東大学ラグビー対抗戦の早稲田大-慶應義塾大が11月23日、行われた。東京・秩父宮ラグビー場で10,597人の観客が見守る中、早大が前半から持ち前の攻撃力を発揮し35-5と大きくリード。後半は慶大に得意のモールなどで4トライを返されたが早稲田大が40-33で勝利した。

前半に5トライをたたみかける

早大は前の試合(11月3日)で帝京大に22-29と今季初黒星を喫した。慶大戦に向けてキャプテンCTB長田智希(4年、東海大仰星)は「(早大の)強みはアタックだと再認識して、しっかり準備をした」と話し、前半はその言葉通りの展開となった。

前半6分、ラインアウトを起点にボールを継続し、長田、副将PR小林賢太(4年、東福岡)が前に出て、最後は初の早慶戦となったNo.8佐藤健次(1年、桐蔭学園)が体を反転させてトライし先制する。17分にはFB河瀬諒介(4年、東海大仰星)が突破し、最後はフォローしたFL相良昌彦(3年、早稲田実)がトライ。慶應大のキャプテンHO原田衛(4年、桐蔭学園)に1つトライを返されるが14-5とした。

早大は攻撃の手を緩めることなく、29分にHO原朋輝(4年、桐蔭学園)がラインブレイクしトライ、36分には相手がミスしたボールをキックしたSO伊藤大祐(2年、桐蔭学園)が自身でキャッチしてそのまま中央にトライ、40分にもCTB岡﨑颯馬(2年、長崎北陽台)の好タッチキックからチャンスをつかみ、モールから佐藤が2本目のトライを挙げた。結局前半は5トライを挙げた早大が大きくリードして折り返した。

先発した早大のSO伊藤大祐が攻撃をリードした(撮影・斉藤健仁)

追い上げた慶大はボーナス点

後半、原田主将が「点差がついたのでアタックするしかないという覚悟が決まった」という慶大は息を吹き返す。SO中楠一期(3年、國學院久我山)主体に攻めるとアタックにテンポが出て、ディフェンスでも前に出て相手を止めるシーンが増える。相手陣奥深くでラインアウトのチャンスを得て7、14分とモールの好機を得てNo.8福澤慎太郎(2年、本郷)、原田が押さえて19-35まで追い上げる。

早大も31分、やっと相手陣奥深くに攻め込み最後はSH宮尾昌典(1年、京都成章)が右中間にねじ込み40-19とした。慶大も最後まで諦めず、36分には原田が「ハットトリック」となる3本目のトライ、ロスタイムにもキックパスからCTB鬼木崇(3年、修猷館)が素晴らしいランでインゴールに飛び込み、7点差以内に持ち込みノーサイドを迎えた。

早大は5勝1敗で勝ち点を24に伸ばした。3勝3敗となった慶大も7点差以内の敗戦でボーナスポイントを得て勝ち点を16とした。

帝京大戦に続いて前半、後半と全く違うラグビーをしてしまった早大の大田尾竜彦監督は「ゲームプランを状況によって変化させることが必要。前半うまくいったところが後半もうまくいくとは限らないといったところがまだまだ勉強不足。そこが大学選手権を獲(と)るために一番重要なポイントかな」と反省も忘れなかった。

コンディションを理由に後半はベンチに下がった長田キャプテンも「帝京大戦も今日も、試合の中でうまくいかないことがいっぱいあり、そこをリーダーとしていかに修正していくかということを課題として感じた。そこを修正して次戦以降につなげていきたい」と話した。

前半、2トライを挙げてプレイヤーオブザマッチに輝いたルーキーの佐藤は「早慶戦という舞台に対して、自分も昨日から少し緊張していました。個人的なテーマとして『強く、賢く』を掲げていますが、まだまだ改善点があります。(最初のトライは)いいコースに走り込むことできました」と冷静に試合を振り返った。

慶大は終了間際のCTB鬼木崇のトライなどでボーナス点を得た(撮影・西畑志朗)

前半、持ち味の一つであるディフェンスが崩されたことに関して、慶大の栗原徹監督は「相手のアタックに関しては、選手たちと分析したつもりでした。ですが、少し気負いがあったのか、(ディフェンスラインの幅が)狭くなってしまい、外にスペースを作ってしまった。チャンスでミスをして切り返されることが何度かあったので、そのあたりの詰めの甘さは、相手の集中力に及ばなかった」と唇を噛(か)んだ。

キャプテンの原田は「早稲田大の前に出るアタックに対して、僕らが前に出られず、すれ違いでディフェンスが機能しなかった。前半、受けてしまったのがすべて(です)。後半、少し盛り返したので帝京戦につなげることができれば」と前を向いた。

帝京大は明大に守り勝つ

20日に行われた5戦全勝同士の帝京大-明治大の対決は、スクラムで主導権を握った帝京大が前半のリードを守り切って14-7で勝利し、帝京大は6戦全勝で勝ち点を27として対抗戦優勝に大きく前進した。明大は今季初黒星で5勝1敗となったが、ボーナス点を得て勝ち点26とした。

残り1試合を残して対抗戦の順位は1位が帝京大(勝ち点27)、2位が明大(26)、3位が早大(24)、4位が慶大(16)と続く。上位4チームは全国大学選手権出場が決まっており、最後の5枠目は11月27日の日本体育大(10)-筑波大(14)で決定する。

12月4日に帝京大が慶應義塾大に勝利すると、帝京大の2018年度以来となる10度目の優勝となる。もし帝京大が負けると、5日の明大-早大の勝者が優勝となる。帝京大-慶大が引き分けた場合は、明早戦で明大に優勝の可能性が残る。

関東大学対抗戦今後の日程

【11月】
27日 立大-青学大、日体大-筑波大@東京・江戸川区陸上競技場
【12月】
04日 帝京大-慶大@東京・秩父宮ラグビー場
05日 明大-早大@秩父宮ラグビー場

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