ラグビー

帝京大学と明治大学が全勝を守る、関東対抗戦で20日に直接対決へ

関東大学ラグビー対抗戦で帝京大学は3年ぶりに早稲田大学を破った(撮影・全て斉藤健仁)

関東大学ラグビー対抗戦

2021年11月3日@東京・駒沢オリンピック公園陸上競技場
帝京大(勝点23、5勝)29-22(前半12-3)早稲田大(勝点20、4勝1敗)
明治大(勝点25、5勝)46-17(前半24-5)慶應義塾大(勝点15、3勝2敗)

関東大学ラグビー対抗戦は上位校同士の対戦が始まった。1試合目は開幕から4戦全勝同士の帝京大と早稲田大が激突し、2試合目は首位に立つ明治大が慶應義塾大の挑戦を受けた。

3年ぶりに早大から勝利

1試合目、早大は序盤から帝京大の前に素早く出るディフェンスに対してハイパントキックを多用するが機能せず、敵陣で戦うことができなかった。逆に帝京大はハイパントキックで早大のミスを誘い、スクラムで優位に立つことで主導権を握る。

帝京大はスクラムで早大にプレッシャーをかけた

前半5分、帝京大がマイボールスクラムで反則を誘い、敵陣奥深くに攻め込み、最後はラインアウトを起点にHO(フッカー)江良颯(2年、大阪桐蔭)が右中間にトライ。23分には早大ボールのスクラムにプレッシャーをかけて、こぼれたボールをSH(スクラムハーフ)李錦寿(1年、大阪朝鮮)が拾ってそのまま飛び込み12-0とリードする。早大は前半ロスタイムにSO(スタンドオフ)吉村紘(3年、東福岡)がPGを決めて3-12とするのがやっとだった。

後半、「守るだけ守ったので後は攻めよう」と大田尾竜彦監督に送り出された早大はCTB(センター)岡﨑颯馬(2年、長崎北陽台)が抜けだし、最後はフォローしたSH宮尾昌典(1年、京都成章)がそのまま相手をかわして中央にトライを挙げて2点差に追い上げる。

ただ早大は前半に続いてスクラムで劣勢だけでなく、接点で反則を繰り返してしまう。すると帝京大は相手陣のチャンスにベンチから入ったWTB(ウィング)ミティエリ・ツイナカウヴァドラ(3年、セントジョセフカレッジ)、FL(フランカー)リッチモンド・トンガタマ(4年、オタフフカレッジ)らが気を吐き3トライを重ねて、残り8分で29-10と大きくリードすることに成功する。

個人技で追い上げた早大

試合は、このまま帝京大の快勝かと思われたが、早大はラインアウトを起点にFB河瀬諒介(4年、東海大仰星)が得意のランでチャンスメイクし、WTB槇瑛人(3年、國學院久我山)が右中間にトライ。さらに38分、FB河瀬が今度は個人技を見せてトライを挙げて7点差に迫った。また河瀬のトライ時、帝京大SO高本幹也(3年、大阪桐蔭)が足をかけてしまいシンビン(10分間の一時的退出)となる。

早大は河瀬諒介の個人技などで追い上げたが届かず

ロスタイム、数的有利となった早大がゴール前まで攻め込んだが、帝京大の粘りのディフェンスの前にゴールラインを割ることができず、結局、29-22でノーサイドを迎えた。開幕5連勝を飾った帝京大は勝ち点を23に伸ばした。負けた早大も7点差以内のボーナスポイントを得て勝点20(4勝1敗)とした。

帝京大は夏の練習試合で24-40と敗戦していたが、2018年以来、対抗戦で早大から勝利を挙げた。岩出雅之監督は「夏からの伸び代に今日は期待していた。ディフェンスで頑張ろう、スクラムでプレッシャーをかけていこうと話していた。まだまだディフェンスは甘かったが、集中力を保ちながら我々のラグビーをしっかりやれた」と選手たちの成長に目を細めた。

陣地を意識したゲームメイクをした帝京大のSO高本幹也

キャプテンのPR(プロップ)細木康太郎(4年、桐蔭学園)は「僕たちのスクラムは、早稲田さんに向けて、特別に変えたことは何一つなく、今年1年、積み上げてきたことを8人でやり切れた。試合を通してスクラムを組み込んでいけた」と胸を張った。

今季から早大の指揮官に就任した大田尾監督は「この試合のテーマは『トラスト(信頼)』ということで、選手たちはよくやってくれたと思います。敗戦ということで、非常に悔しいものになりましたが、しっかり受け止めて、チームをまた上昇させられるようにやっていきたい」と先を見据えた。また、キャプテンのCTB長田智希(4年、東海大仰星)は「接点でタフになると、試合前からチーム全体で話していた。その中で、課題の残る試合だった。この敗戦を受けて、どう活(い)かすか、チームとしてどう戦っていくかが大事なので、リーダーとしてさらにレベルアップできるように頑張っていきたい」と前を向いた。

バックスで6トライ、昨季敗れた慶大に快勝

2試合目は明大がCTB廣瀬雄也(2年、東福岡)のキックを中心に組み立て、さらにセットプレー、接点の寄りで勝り、試合の主導権を握る。SO(スタンドオフ)伊藤耕太郎(2年、國學院栃木)が先制トライを挙げると、その後も2トライを重ねて24-5で折り返した。

明大バックスで安定感を増している廣瀬雄也

後半も攻める姿勢を崩さなかった明大が、東京オリンピックに出場したWTB石田吉平(3年、常翔学園)が計4トライを挙げる活躍を見せて46-17で快勝して開幕5連勝を達成した。明大はバックスで計6トライを奪い、昨季敗れた慶大にリベンジを果たすとともに、3トライ差のボーナスポイントも得て、勝ち点を25に伸ばして首位を守った。慶大は勝ち点を挙げることができず勝点15(3勝2敗)のままとなった。

首位の明大が勝点25、2位の帝京大が23、3位の早大が20と続く。11月20日には優勝を占う明大-帝京大の全勝対決、23日は伝統の「早慶戦」が行われる。

関東大学対抗戦今後の日程

【11月】
07日 筑波大-青学大、日体大-立大
20日 日体大-青学大、筑波大-立大、明大-帝京大
23日 早大-慶大
27日 立大-青学大、日体大-筑波大
【12月】
04日 帝京大-慶大
05日 明大-早大

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