ラグビー

「今季一番、明治らしい戦い」3連覇目指す明大が首位、関東対抗戦で筑波大に快勝

モールからトライを奪うなど明治大学のFWは力強さを取り戻した(撮影・全て斉藤健仁)

関東大学ラグビー対抗戦は前半の4試合を終え、3連覇を目指す明治大学が首位に立った。24日は埼玉・セナリオハウスフィールド三郷で今季好調の筑波大学と対戦したが、紫紺の軍団が今季一番の攻撃的なラグビーを見せた。

これまでのモヤモヤ吹き飛ばす

明大は開幕から3連勝中だった。ただ前節の日本体育大学戦では46-10と勝利したものの、キャプテンSH(スクラムハーフ)飯沼蓮(4年、日川)は相手に先制され、1対1でも前に出られるシーンが多く、「0点の試合」と反省の弁を口にした。一方の筑波大は1勝2敗と黒星が先行していたが帝京大学、早稲田大学と10点差、7点差の敗戦と力のあるところを見せていた。

プレイヤーオブザマッチにも輝いた明大の飯沼蓮主将

今季、あまり調子の上がってこなかった明大は、難敵を前にチーム全体が危機感を感じていた。そのため日体大戦後、選手たちでミーティングを行った。4年生の選手たちがアタック、ディフェンス、ブレイクダウン(接点)、キックオフ、キックカウンターというエリアに分かれて、自分たちのレビューと相手のプレビューを行った。その上で、コーチと話して合って全体での共有を図ったという。

また相手に仕掛けられてからリアクションするのではなく、自分たちから仕掛ける「アクション」をこの試合のテーマに掲げた。「筑波は試合の入りの5分が強い」という分析もあり、常に筑波大をイメージしてこの2週間、練習でも入りも意識していたという。17日には6月から新たに指揮官に就任した神鳥裕之監督の古巣であるリコーブラックラムズ東京への出稽古も行うなど準備に余念がなかった。

FWで立て続けにトライ

その成果はすぐに試合に出て、紫紺のジャージーが前半から試合の主導権を握った。相手の出足の早いディフェンスに対して、SH飯沼、SO(スタンドオフ)伊藤耕太郎(2年、國學院栃木)を軸に、ボールを左右に動かしながら継続。さらに接点の寄りの意識も高かったこともあり、相手の反則を誘うことに成功する。そして敵陣ゴール前でのモールを起点に、4分にLO(ロック)山本嶺二郎(2年、京都成章)、13分にHO(フッカー)田森海音(かいと、4年、長崎北陽台)がトライを挙げた。

スクラムをリードしトライも挙げたHO田森海音

筑波大が本来PR(プロップ)の小山峻哉(4年、茗渓学園)をLOと起用してきたスクラムでも明大は優位に立った。ラインアウトを起点とした攻撃で、FW、バックス一体となってアタックを継続し、WTB(ウィング)松本純弥(4年、佐賀工)、東京オリンピックに出場したFB(フルバック)石田吉平(3年、常翔学園)がトライを挙げて24-0とリードして前半を折り返す。

後半、攻守でややミスが出たものの大きく影響を与えず、明大が終始試合を支配し松本がハットトリックを達成するなどさらに5トライを重ねて53-14と快勝。3トライ差のボーナスポイントも得て、勝ち点を20に伸ばして首位に立った。なおPOM(プレイヤーオブザマッチ)には攻撃をリードした飯沼キャプテンが選ばれた。

明治大学の飯沼蓮新主将、「MEIJI PRIDE」掲げて3季ぶりの王座奪還へ

「試合メンバーだけで勝ったのではない」江藤

神鳥監督は「好調の筑波大さん相手に、明治らしい戦いをしようと、選手一同準備をし、結果としては、本当によくやってくれた。この2週間で急激に成長したというより、本来持っていた自分たちの力を確認しあってパフォーマンスにつなげたという流れかと思います。強いセットプレーと、クイックテンポでアタックのフェーズを重ねられた。今季一番、明治らしい戦いできた。この戦い方をスタンダードにして、これから以降の試合も成長していきたい」と納得の表情を見せた。

13番として出続けて、この試合でもトライを挙げたCTB(センター)江藤良(4年、報徳学園)は「試合メンバーだけで勝ったのではなく、Bチームが筑波をイメージしてアタックやディフェンスしてくれた。チームで取った勝利です」と胸を張った。また飯沼キャプテンは「全員が切り替えていい準備ができたことが、いい試合になった理由だと思います。(今後)強い相手が続きますが、どんな相手でも100%準備をして、100%の試合を表現し続けて、明治らしいラグビーができたらいいな」と先を見据えた。

1試合3トライの「ハットトリック」の活躍だった明大WTB松本純弥

1勝3敗で勝ち点5となった筑波大は、強豪との対戦を終え残り3試合で全勝して全国大学選手権の出場を目指す。

筑波大・松永貫汰主将
「筑波のディフェンスの部分を80分徹底できず、相手のフィジカル、アタックを受けてしまった。夏から規律というところで徹底してきたが、そこを守り切れず、ペナルティーして自陣にボール運ばれてということが何本があった。規律の部分と、80分間、守り切れなかったのが敗因となったので、もう一回、見直して、次の試合、そして選手権に向けて改善していきたい」

得意のランで好機を作った筑波大学のFB松永貫汰
筑波大学の松永貫汰主将、強豪との連戦「防御にこだわる」

11月から上位校同士の対戦へ

23日には早大が青山学院大学に61-13、24日は帝京大も日体大に91-18で勝利して明大を含めた3校が開幕4連勝している。ただ、4試合で3トライ差のボーナスポイントを奪取している明大が首位に立ち、勝ち点1差で帝京大と早大、3勝1敗の勝ち点15で慶應義塾大学が続いている。

対抗戦は残り3試合になった。優勝争いは3連覇を狙う明大、一昨年度の大学王者・早大、王座奪還を狙う帝京大、ルーツ校の慶大の4校に絞られたと言えよう。11月3日にはいよいよ全勝同士の早大と帝京大が対戦し、明大は昨季、敗れた慶大と激突する。さらに20日には明大-帝京大、23日には早大-慶大の「早慶戦」、12月4日には帝京大-慶大、5日には明大-早大の「早明戦」が控える。明大が今季一番の試合をして難敵の筑波大を下してチーム力が上がり、大きな自信を得たことは間違いない。残り強敵との対戦が続くがチーム一丸となって3連覇へ突き進む。

関東大学ラグビー対抗戦A今後の日程

【11月】
03日 早大-帝京大、慶大-明大
07日 筑波大-青学大、日体大-立大
20日 日体大-青学大、筑波大-立大、明大-帝京大
23日 早大-慶大
27日 立大-青学大、日体大-筑波大
【12月】
04日 帝京大-慶大
05日 明大-早大

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