アメフト

特集:第78回甲子園ボウル

関西学院大8年連続の甲子園ボウルへ 九大を完封も、監督は「強くないので謙虚に」

RB澤井は先制TDを含む2TDを獲得し、大槻とともに2TD獲得(撮影・すべて北川直樹)

全日本大学アメリカンフットボール選手権の西日本代表決定戦は、12月3日に福岡県春日市の春日公園球技場で開かれ、関西代表の関西学院大学と九州代表の九州大学が対戦した。試合は終始ペースを握った関学が49-0で勝ち、2016年から8年連続となる甲子園ボウル出場を決めた。関学は史上初の甲子園ボウル6連覇を目指して、12月17日に東日本代表の法政大学と対戦する。

前半3TD、後半から登場のQB柴原も上々

関学は、先発QBに鎌田陽大(4年、追手門学院)を起用。ランプレーとショートパスを軸に序盤を戦った。RBはここまでエースとして活躍している伊丹翔栄(3年、同)を中心に、澤井尋(3年、関西学院)、井上誉之(2年、同)らが出場し、ゾーンプレーや、スクリーンパスを受けてからのランアフターキャッチで好走した。

九大の攻撃を3アンドアウトに仕留めた次のシリーズ、伊丹のビッグゲインから澤井のランで関学が先制。関学は次の攻撃シリーズでも、鎌田がWR鈴木崇与(4年、箕面自由学園)へのあうんのロングパスを通してTDを挙げると、第2クオーター(Q)にパワーRB大槻直人(4年、京都共栄学園)のインサイドランで3本目のTDを追加し、21-0で前半を終える。

関西最終節の関大戦の途中から登場したQB鎌田は、スターターとして前半を率いた

後半、関学は最初のプレーで井上が独走TDを挙げる。QBを柴原颯斗(3年、啓明学院)に交代し、ランを中心にボールと時間をコントロールし、澤井や大槻のランで加点して九大に完封勝ちした。大村和輝監督によると、柴原はJV戦(下級生中心の試合)を除き初めての試合出場だったが、落ち着いたプレーぶりで攻撃をリード。評価も上々だった。守備は藤田昂太郎(1年、関西学院)と髙橋情(4年、東海大付属大阪仰星)がインターセプトで攻撃にボールを回し、九大の攻撃を断ち切った。

ハードな日程の中、控え起用でチーム力底上げ

関学大は副将のDL浅浦理友やRB前島仁をはじめ、トゥロター ショーン礼(ともに4年、関西学院)、関大戦で負傷したエースQB星野秀太(2年、足立学園)ら、主力の一部が出場しなかった。一方で、主将LBの海﨑琢(4年、箕面自由学園)や永井励(3年、関西大倉)、東田隆太郎(2年、関西学院)、DBの髙橋、中野遼司(3年、関西学院)ら、主力も多く出場した。

関西リーグ最終節の関大戦から1週間とタイトなスケジュールで、九州への遠征。コンディショニング面にハードさがあったものの、抜かりの無い仕上がりを見せた。ここから甲子園ボウルまで2週間。レギュラーメンバーの仕上がりとともに、この日出場した控えメンバーらの底上げによる総合力向上にも注目だ。

1年生DB藤田は第1Q終盤にインターセプトを奪取

九大も意地 終了間際に真っ向勝負でTD阻止

九大は3年ぶりに九州学生リーグで優勝し、西日本代表決定戦に出場。40人を下回る人数で攻守兼任も多かったが、QB高木秀都(3年、門司学園)とWR/SFの野原朝陽(4年、海陽学園)を中心に攻守で奮闘した。攻撃は得点を挙げられなかったものの、セカンダリー陣に主力を多く起用した関学守備に対してパスを通してダウンを更新。守備は、試合終了間際にゴール前で大槻の中央のランプレーを真っ向勝負で連続して抑え、TDを防いだ。

記録では関学が攻撃で418ydを獲得したのに対し、九大は46ydと両者の実力差は大きかった。しかし九大は、随所で意地を見せて試合を盛り上げた。

九大QB高木は、攻撃の起点として果敢なプレーを見せた

オフェンスに多くの課題が見えた

関学 大村和輝監督

今日のテーマは、ファンダメンタルをちゃんとやろうというところで。特にオフェンスは、課題が多く残っているんじゃないですか。思い切ったディフェンスをされて、タックリングボックス内をぐちゃぐちゃにされてしまったときに、バタバタしてしまって。その辺はまだダメですよね。先日の関大戦も見られてたと思うので、同じようなやり方をされたかなと思います。ぐちゃぐちゃにされてしまうと、走るところがなくなってしまう。そこに人が集まってきて止められてしまっている。そうなった時を見越して、次の展開をもっとうまくやらないといけないですね。

鎌田は練習で想定してやってきたのと違う付き方をされた時に、詰まってしまう。もっと落ち着いてやらないとダメですね。収穫は、初めて出た柴原が上手だったことです。

甲子園ボウルは、自分たちが強くないので、謙虚に戦いたいです。最近失敗していることをしっかり見直してやるしかないですね。今週は、リーグ戦中はなかなかやれない強度の高い練習をやりました。こういうのをしとかないと、厳しい状況でなかなか突破できないので。同じことをされた時に絶対いけるようにしないと、甲子園では法政さんにやられたまま終わってしまうんじゃないですか。

大村監督は試合を振り返り、厳しい評価を口にした

関学 RB井上誉之

関西リーグ戦では2、3プレーしか入る機会がなかったですが、昨年の西南学院大学戦に続きチャンスをもらえました。後半最初のTDのプレーは、OLがしっかり開けてくれて、最後SFとの1対1で勝てたらいけるという状況で、取りきれてよかったです。

今はキャッチの練習でWRもやっていて、レシーブから走ることに取り組んでいます。今日は独走もできたので、その面ではいいアピールも出来たかなと思います。

昨年につづいて西日本代表決定戦で躍動したRB井上。主力を目指しアピール

関学 RB大槻直人

最後のシリーズでTDを取りきれなかったことが全てですね。自分があの場面で取りきれてないので、これを法政戦でやったら絶対負けてしまう。今日のゲームは反省しかないと思っていて、醜態をさらしてしまったと感じています。

今年のスローガンとして掲げている「ドミネート」を、関西リーグ通して体現できていないので、最後の甲子園ボウルは圧倒して勝ちたい。それだけです。

RB大槻はパワーバックとして2TD獲得。しかし試合終了間際は九大守備に止められて、反省の弁

in Additionあわせて読みたい