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女子ゴルフ期待の星、長澤愛羅 地元・山梨の声援を受け躍進「愛されるプロに」

愛されるプロゴルファーをめざしている長澤愛羅

長澤愛羅選手(ルネサンス高校1年)は、世代のトップを走る女子ゴルファーだ。若手アスリートを地域社会とともに応援する、明治安田の「地元アスリート応援プログラム」に参加し、地元の星として輝きを増している。緑豊かな山梨県身延町で、高みをめざして挑戦を続ける。

「地元アスリート応援プログラム」で気づいた、地元の期待

「女子プロかい?」

富士山を臨むコースでの取材中、ラウンド中のゴルファーに声をかけられた。真っ白なゴルフバッグには、「JAPAN」「NATIONAL TEAM」の文字。カメラを向けられてクラブを握る長澤選手は、笑顔で“声援”に応えた。

「他の選手は親には試合を見に来てほしくない、って言うんですよ。でも、私は応援してもらうと気が引き締まるし、見てもらった方が頑張れます。そこは、他の選手と違うところなのかなと思います」

プロテストは1年先だが、すでにプロの素養は身につけているのかもしれない。

ゴルフを始めたのは小学校に入る頃。叔父の長澤稔と奨の両プロの試合を見るためにゴルフ場に足を運んだ。当時はピアノなどの習い事もしていたが、「自分でもやってみたい」と興味を持ち、のめり込んでいった。「プロゴルファーになりたい」。その夢はその頃からずっと変わらない。

叔父からは、ゴルフそのものよりもコースでのマナーやルールを教えられた。叔父に紹介を受けた重田栄作プロの指導で力を伸ばし、小学6年生で全国大会準優勝という結果に結びついた。

中学2年生だった2022年には、日本ジュニアゴルフ選手権の女子12~14歳の部で優勝を果たした。昨春には通信制の高校に入学し、さらにゴルフ漬けの日々を送る長澤選手は、すでに地元の有名人だ。

「ゴルフ場に練習に来ると、新聞で結果を見たよ、と声をかけてもらえます。家の近所や練習場では、試合のコースはどうだった、と話しかけられます。地元のメディアに“町の期待の星”として取り上げていただいて、注目されるようになり、気が引き締まります」

地元・山梨県身延町で期待の星として注目されている

ステップ・アップ・ツアーが貴重な経験に

明治安田の「地元アスリート応援プログラム」に参加したことで、金銭的なサポートに加えて地元で注目度も上がり、モチベーションアップにつながった。

2023年11月には、大阪府茨木市で開催されたJLPGAステップ・アップ・ツアー「明治安田レディスオープン ゴルフトーナメント」に参戦するチャンスも獲得し、貴重な実戦経験を積んだ。

緊張はしなかったが、コースは難しいと感じた。「プロと一緒に回ったのですが、レベルが違うと思いました。いい経験になりました。試合に出て学べることも多いので、ツアーに出られて本当に嬉しかったです」。ステップ・アップ・ツアーはレギュラーツアーと比べるとギャラリーとの距離が近く、応援をより大きく感じた。

さらに、クラウドファンディングサービス「A-port+」を通して、思いがけない人から支援があった。

「クラウドファンディングを始めたら、小学校でお世話になった教頭先生が参加してくれたんです。その先生とは小学生の頃、いつもゴルフの話をしていました。優しい先生で、私が掃除の時間にほうきで素振りをしていても、『ナイスショット』って言ってくれました。クラウドファンディングを始めて、いろいろな人に応援してもらって、町の人の応援がすごく大切なんだなと感じました。こういうふうに皆に知ってもらえたことで、もっと頑張れると思いました」

祖父とつかんだナショナルチームへの切符

一方で、つらい別れもあった。祖父の廣道さんが昨年12月に亡くなったのだ。

毎日練習場へ車で連れていってくれる母・明日香さんと並び、一番の応援団のひとりだった。廣道さんもゴルフをたしなんでおり、長澤選手が本格的にプレーに取り組む頃には競技を引退していたが、いつも自慢の孫にそばにいた。「ゴルフ場ではカートに乗って、私のプレーを見てくれました。大好きなおじいちゃんでした」。練習場のひとつである富士川カントリークラブで他のゴルファーから声をかけられるのも、廣道さんが同クラブの会員だったことも大きな理由になっている。

ゴルフに没頭できる環境が整った昨年、ジュニアでの優勝に続き、日本女子アマで4位という好成績を残した。「予選を通過できたらいいなと思っていたくらいだったので、想定外でした」。身長も伸び、昨冬の走り込みの成果と相まって、飛距離も出るようになった。目標にしていたJGAナショナルチームにも入ることができた。ひとつ大きな目標をかなえて、「メンバー入りを知らせる封筒が届いて、すごくうれしかったです。最初に、じいじに報告しにいきました」と、やはり廣道さんを思い出す。

富士山を望む富士川カントリークラブでよく練習している

地元の温泉とサウナでリフレッシュ

ナショナルチームに入りたかったのは、海外での経験を積むことができるからだ。実際に海外遠征に帯同して、早くも学びがあった。

「私は2回目の海外だったんですが、継続してナショナルチームに入っている選手は英語をペラペラと話していて、経験を積んでいるんだなあと感じました。英語をしゃべれないだけでも、不安になって試合中にもいろいろ考えてしまい、集中できませんでした。だから、海外でもゴルフに集中できるように、いろいろな経験を積みたい。私はまだ、全然足りないなと思いました」

国内の試合にはいつも母が付き添ってくれる。昨年は、秋田まで半日近くかけて母が運転する車で遠征した。ナショナルチーム入りで、これからは国内外を飛び回ることになる。

疲れた体を、地元が癒してくれるという。最近のお気に入りは、新しくできた温泉併設のトレーニングジムだ。「サウナもあるので、水風呂に入って、深さ1mくらいの歩行湯で体を動かして、またサウナに入って。整っています」と笑う。大事なトレーニングである体づくりも兼ねて、自宅から車で1時間ほどかけて行きつけの焼肉屋で食事をするのも楽しみだ。

「試合から帰ってくると、そこに連れていってもらいます。体重を増やしたくて、食事のトレーニングも毎日頑張っていますし。温泉もできたので、焼肉屋さんも家の近くにできたらいいのに」とほほえむ。

母親のサポートや地元の応援があり、ゴルフに打ち込めている

試合に勝つこと以上に、ゴルフに魅(み)せられる理由がある。

「練習して、結果が出るところがすごくうれしくて、やりがいがあるなと思っています。ゴルフのクラブは14本あって、いろいろな技術や引き出しがないといけないと思いますが、むしろいろいろなことができるのがうれしい。アプローチでも打ち方がいくつもあって、練習したことが試合で成功するのが楽しいんです」と、目を輝かせる。

重田プロからは、「人のことはあまり見ないで、自分のゴルフが良ければいいんだよ」とアドバイスを受けた。自分のゴルフを積み重ねれば、結果は自然とついてくる。

そして、重田プロからの教えがもうひとつ。「愛されるプロになりなさい、と言われています。子どもの頃から、ずっとです」

多くの人の愛情に包まれ、その素養もしっかりと育まれている。

 

【profile】
ながさわ・あいら/2007年11月17日生まれ。山梨県出身。プロ選手である叔父の影響でゴルフを始める。小学6年生で初めて関東大会を突破して臨んだ全国大会で準優勝。2022年には日本ジュニアゴルフ選手権女子12~14歳の部で優勝を果たした。昨年は日本女子アマチュアゴルフ選手権競技で4位に入り、今年1月には目標だったJGAナショナルチームに入った。憧れの選手は原英莉花。

明治安田「地元アスリート応援プログラム」

 

明治安田「地元の元気プロジェクト」の一環として、地元の若手アスリートを地域社会とともに応援することで、地域の一体感醸成や地域で育つ子どもたちの夢や地元愛を育むことへの貢献を目的としています。当制度を通じて、出身地や活動拠点地域など、サポートを受ける「地元」に対して貢献したいというアスリートの活動を支援します。

 

ジモト魂~アスリートたちの原点

 

BS朝日にて、毎週土曜夜10時54分~11時放送中。

「地元アスリート応援プログラム」で応援しているアスリートを中心に、若手アスリートたちの様子をBS朝日で紹介しています。YouTubeでもバックナンバーの本編をご覧いただけます。

 

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