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特集:駆け抜けた4years.2024

白鷗大学・小林尚矢 己に誓った全力プレー、これからはファンとして仲間にパワー送る

インカレ優勝を果たした白鷗大の主将・小林尚矢(すべて撮影・井上翔太)

第75回全日本大学バスケットボール選手権(インカレ)の男子で2年ぶり2度目の優勝を果たした白鷗大学が2月、東京都内で祝勝会を開いた。朝まで関東地方に大雪が降った日の午後だった。栃木からのバスは渋滞で遅れ、選手たちの到着は会の開始時間ギリギリになったが、今シーズンの主将を務めた小林尚矢(4年、北陸学院)は「たくさんの方々に来ていただいて、僕たちが支えられていることが分かってうれしかった」と振り返った。

【特集】 駆け抜けた4years.2024

接戦を制するきっかけとなったブザービーター

祝勝会では網野友雄ヘッドコーチから、インカレ準決勝の筑波大学戦の第3クオーター終了間際に、速攻からのブザービーターを決めた場面を褒めてもらった。接戦を制するきっかけになった主将の思い切ったプレーは、間違いなくチームに一体感を生んだ。

接戦から流れを引き寄せ、チームの勝利に大きく貢献した

決勝の東海大学戦はベンチで見守る場面が多かったが、集中して戦う仲間たちに「頑張れ、頑張れ」と念を送り続けた。終盤に劣勢をはね返し、3点リードのまま試合終了のブザーが鳴ると、隣にいた嘉数啓希(4年、豊見城)と抱き合った。「本当に優勝できるとは……」。夢のような時間だった。

プレータイムをなかなかもらえなくても……

新チームになった時、4年生同士の話し合いで主将に選ばれた。「自分は厳しく言えるタイプじゃない」。だから、練習や試合でチームを引っ張っていけるよう、常に全力でプレーすることを己に誓った。

同じポイントガードのポジションには、大学屈指の司令塔である佐藤涼成(2年、福岡第一)や森下瞬真(4年、延岡学園)がいた。主将だけど、なかなか試合に出られないことは薄々分かっていた。そんな状況も、前向きに受け止めた。

「最初は周りから『あんまり試合に絡んでいないやろ』と思われるかな、と少し心配したけど、誰もそんなことは言わない。プレータイムは関係ない。とにかくチーム優先で行動しようと思っていました」

ベンチから試合を見守ることも多かった中で自分の役割を全うした

親友でエースの脇真大(4年、岡山商科大付、インカレ後にB1琉球ゴールデンキングスに加入)がプレーに専念できるよう、チームの和を整える。それも、自分の役割だと心得ていた。

苦しい時期はあった。新チームが始動したばかりの2023年1月から3カ月間ほど、すねを疲労骨折した影響で練習に参加できなかった。「チームを引っ張らないといけないのに」。そう悩んでいた時、「早く治せよ」「その間は俺たちが引っ張るから」と声をかけてくれたのは、脇や嘉数だった。

仲間の存在があったから、1年間、主将の重責を全うできたと思っている。

関東1位で迎えた最後のインカレ。チームは2試合目に迎える大東文化大学戦が山場と感じていた。その大事な試合をチーム全員の団結力で競り勝った。「4年生がコートに立つ時間が多くて。意地を見せられた」

勝利の後、後輩の陳岡流羽(じんがおか・るう、3年、土浦日大)が泣いていた。この試合に懸けていたのは4年生だけじゃない。陳岡の涙がそれに気付かせてくれた。一丸となったチームは、白鷗らしく粘り強い戦いでインカレを勝ち抜いた。

表彰式で仲間と優勝カップやトロフィーを掲げた

幼なじみと争った大学日本一の座

石川県小松市出身。兄の影響で小学校1年からバスケットを始めた。ミニバスチーム「ワイルドキッズ」から小中高と一緒のチームだったのが、東海大の元田太陽(インカレ後にB1秋田ノーザンハピネッツに加入)。幼なじみと大学日本一を争うコートで戦えたのも、大切な思い出だ。

優勝を争った東海大の元田(1番)とは幼なじみだ

卒業後は一般企業に就職して、バスケットの第一線から離れる。「やり切った感覚はあります。これからはBリーグを毎月、見にいきたいです」

各チームに思い入れのある選手たちがいる。これからは1人のファンとして、仲間にパワーを送るつもりだ。

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