白鷗大学・ポーグ健 強力「セカンドユニット」の中心「出た瞬間から最高のプレーを」
バスケットボール男子の全日本大学選手権(インカレ)で2年ぶりの優勝をめざす白鷗大学には、心強いベンチメンバーがいる。
群馬・太田市総合体育館で開催される「ファイナル4」への切符を獲得した、12月9日の準々決勝・大東文化大学戦(61-51で勝利)。接戦で勝負強さを発揮したのは、3年生フォワードのポーグ健(延岡学園)だった。
最初の5分で声を出して、体を奮い立たせる
先発5人を引き継ぐ「セカンドユニット」の一員ながら、3ポイントシュート4本を決めてチーム最多の12得点をマーク。そのたびに雄たけびやセレブレーションポーズで仲間たちを盛り上げ、約14分間の出場でライバルを突き放す大仕事をやってのけた。
白鷗大には、FISUワールドユニバーシティゲームズ(以下、ユニバ)日本代表の脇真大(4年、岡山商科大付)や、同じくユニバ代表の佐藤涼成(2年、福岡第一)といったエースたちがいる。対してポーグは、昨年はインカレメンバーに選ばれず、観客席で応援していた部員だった。
コートに立てないもどかしさを知っている。だからこそ、彼はつかみ取った1分、1秒の時間を無駄にしない。コートだけでなく、ベンチでも。
「僕は最初の5分はベンチにいます。その5分でどれだけ声を出して、自分の体を奮い立たせられるかが大事だと思っています。試合に出た瞬間から最高のプレーができるように、ベンチにいるときから気持ちを上げようとしているんです」
その姿勢が、負けたら終わりの大一番で生きた。脇ら主力の得点が伸びない苦しい展開。その中でプレーできる喜びを体いっぱいで表現しながら、身長188cmのフォワードがチームに流れを引き寄せた。
「脇さんや涼成はいつでも得点をとってくれます。でも、そこが悪かった時に、自分たち(セカンドユニット)がやる。チーム力を底上げすることの大切さを、網野さん(友雄ヘッドコーチ)にいつも言われていたので」
バスケ以外の振る舞いを教わった延岡学園時代
沖縄出身で、父はアメリカ人と日本人のミックス。同じ沖縄育ちで東海大学のハーパージャン・ローレンスジュニア(3年、福岡第一)とは昔から仲がいい。
小学校5年から本格的にミニバスを始めた。ただ、もっと小さなころから、父に連れられて沖縄の米軍基地内にあるコートでバスケットに親しんでいた。
めざす選手も沖縄にいる。昨季のBリーグ王者・琉球ゴールデンキングスのシューティングガード松脇圭志。正確なシュート力はもちろん、外国人選手相手にも当たり負けしない力強さを身につけたいという。
延岡学園高(宮崎)時代は、楠元龍水監督からバスケット以外の振る舞いについて伝えられたという。「相手への尊敬、リスペクトを持つことはすごく言われてきた。そこは今も意識するようにしています」
チーム一丸で「ファイナル4」へ
そう話すボーグをはじめとするセカンドユニットの面々に、網野ヘッドコーチは高い信頼を寄せる。
「ポーグにしても、陳岡(流羽、3年、土浦日大)にしても、根本(大、3年、つくば秀英)にしても、練習からかなりハードワークをしてくれる。そこ(セカンドユニット)の安心感は僕らの強みだと思っています」
チーム内の競争力を高め、選手層を厚くしてきた白鷗大。あと一歩のところで涙をのんだ昨年の悔しさを晴らすために。「4年生のために勝ちたい」(ボーグ)という下級生たちの願いをかなえるために。
チーム一丸で「ファイナル4」に臨む。