国学院大・平林が初マラソンで優勝 「速さ」「省エネ」が両立の背景
大阪マラソン2024は25日、今夏のパリオリンピック(五輪)の男子日本代表選考を兼ねて大阪府庁前―大阪城公園のコースで行われ、平林清澄(きよと)(国学院大3年)が初マラソン日本最高となる2時間6分18秒で初優勝を果たした。マラソンの日本学生記録も1分半近く更新した。パリ五輪代表に内定している小山直城(ホンダ)は2時間6分33秒で3位だった。
代表3枠目をかけた設定記録(2時間5分50秒)を上回る選手はいなかった。3枠目は、3月の東京マラソンで設定記録をクリアした中で最上位の選手に与えられる。該当する選手がいない場合、昨年10月のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)3位だった大迫傑(ナイキ)が代表に決まる。(スタート時の天気は雨、気温6・4度、湿度83%、北東の風1メートル)
■「国学院大から世界へ」 平林が初マラソンで快走
21歳に「距離」の怖さはみじんもなかった。
「もう、ここで行ききってやろうと思いました」と平林。沿道で声援を送る国学院大の仲間たちに笑顔の「サムズアップポーズ」を送り、自ら仕掛けたのは32キロ付近だった。
パリ五輪の代表枠を目指す実業団選手たちを引き離した。2時間4分台の自己記録を持つウガンダ選手との一騎打ちにも、一度も先頭を譲らない。初体験の42・195キロを駆け抜け、雄たけびを上げてフィニッシュした。
1年生の頃から学生3大駅伝を走ってきたが、これまでレースで走った最長距離は、箱根駅伝2区と9区の23・1キロ。未知の距離に突入しながら果敢にスパートできたのは、マラソンを見据えた取り組みを続けてきた自信があったからだ。
普段からチームの練習とは別に、40キロ走を取り入れたり、乳酸値が高い状態でラスト5キロを意識して走る練習をしたり。
身長168センチ、体重44キロと小柄で筋力がつきにくい体質だが、股関節や肩甲骨の可動域を広げて大きな推進力を得られるフォームをつくることで、スピードと省エネを両立させることに成功した。
なによりも陸上競技が大好きだ。練習が休みのときは外出せずに部屋にこもって過去の駅伝の映像を一日中見ることも珍しくない。
「国学院大から世界で戦えるランナーを出したいという夢がある。自分がその先駆けの存在になれたら」
来年の世界選手権東京大会、4年後のロサンゼルス五輪へ。楽しみな新星が現れた。
=朝日新聞デジタル2024年02月25日掲載