選手に求める経験と変化 侍ジャパン井端監督が語る大学生招集の意図
野球の日本代表「侍ジャパン」がワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で世界一に返り咲いて約1年。
昨年11月のアジア・チャンピオンシップからチームを率いる井端弘和監督(48)が、6、7日に行われる欧州代表との強化試合を前に報道各社の合同インタビューに応じた。
――2月に欧州代表との強化試合に臨む28選手を選びました
「昨年のWBC代表だった選手がどう変化してくるかは非常に楽しみです。次のWBCでは、またメジャーリーガーたちがメンバーに入ると思いますが、その中に割って入ってきてほしい選手はいっぱいいます。秋に予定される『プレミア12』もそうですが、先々を見据えないといけないので、若い20代前半の選手も選びました」
――打線の核となる4番を任せるのは
「当然、村上宗隆(ヤクルト)です。そこは変わらず、です。本人の体調次第だと思いますが、強化試合は2戦とも4番に置く予定です。4番の前後に置く選手は、近藤健介(ソフトバンク)のほか、昨年活躍した万波中正(日本ハム)や森下翔太(阪神)も考えています」
――村上に期待する部分は
「どんな打者も良かったり悪かったりを経験することで、国際試合でもある程度安定した成績が出るのでは、と思います。村上は次のWBCや五輪でも、間違いなくまだ主力です。昨年のWBCやレギュラーシーズンで苦しんだ経験は、必ず生きてくると思います。どっしりと打席に立ってもらえればいいなと思っています」
――WBCを途中離脱した栗林良吏(広島)も招集しました
「彼自身もまた侍ジャパンに来て、投げる姿を見せたいのではと思いました。実績は十分で、誰もが認める絶対的ピッチャーなので、秋は抑えの候補だと思っています」
――WBCを経験した選手に求めることは
「彼らは精神的にもしっかりしていますし、普段チームでやっている通りの姿を見せてもらえればいいかなと思っています。日本を代表する選手の位置付けだと思うので、周りの選手にいろいろ学んでもらいたいです」
――代表には大学生4人も選びました
「プロの選手と比べて、自分がどのぐらいの位置にいるかというのを知ってからプロ入りまでの1年を過ごすのと、知らないで過ごすのでは、大きな違いがあります。経験をすることが、一番大事だと思います。私自身も選手時代に経験が足りず、雰囲気にのまれてしまうことがありました。とにかく何かをつかんで帰ってほしいです」
――大学生の中には早くも次のドラフト注目とされる宗山塁(明大)がいます
「宗山はきっちりとした守備をする方だと思いますが、同じ遊撃手の源田壮亮(西武)は柔らかさや華麗さも持っています。源田を見て、さらに柔らかさなどの要素が出てくると、レベルアップするでしょう。スピードは十分レベルが高いですが、もう一つ源田にヒントをもらって自分のものにしてくれればと期待しています」
――強化試合での選手起用の方針は
「投手も野手も、全員使うつもりでいます。投手は投げても2イニングまでと思い、うまく振り分けました。打順は1、2試合目である程度分けていこうと思っています」
――強化試合で選手に期待することは
「日本代表のユニホームを着る以上は、まずは勝ちにこだわってほしいです。全ての野球選手の見本にならないといけない存在というところで、グラウンドに出たら全力で、お客さんに『さすが、ジャパンだな』というプレーを見せてくれることを望んでいます」
(構成・平田瑛美)=朝日新聞デジタル2024年03月05日掲載