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特集:2024年 大学球界のドラフト候補たち

青学大・西川史礁 兄の背を追って輝いた長距離砲、大学ジャパンの4番へと成長

侍ジャパン大学日本代表の4番も務めた青山学院大の西川(すべて撮影・小俣勇貴)

182cm87kg。青山学院大学の西川史礁(3年、龍谷大平安)の身上はフルスイングだ。右方向にも大きい打球を運べる右の強打者として、3年生の今年は4番を任され、春秋のリーグ戦連覇、全日本大学選手権優勝、明治神宮大会準優勝に貢献。今夏には侍ジャパン大学日本代表の主砲を務めた。

3年春にブレーク 東都MVP獲得

今春の活躍は鮮烈だった。打率3割6分4厘(リーグ2位)、10打点(同2位)、3本塁打(同2位タイ)と見事な成績で青山学院大の33季ぶり東都リーグ優勝に貢献し、最高殊勲選手(MVP)、ベストナインを獲得。続く全日本大学選手権でも4試合で15打数7安打3打点1本塁打の活躍。チームは18年ぶり5度目の大学日本一を達成した。

青山学院大を率いる安藤寧則監督は「捉えたときの打球の飛距離、打球スピードがすごい。試合でも練習でも、打席に立つとワクワクさせてくれる選手なんです」と西川の魅力を語り、期待を寄せる。

転機は3年春。鍛え上げたフルスイングが結果として表れた

西川が新入生として青山学院大学硬式野球部の練習に合流したのは2021年3月。当時、主将を務めていた泉口友汰(NTT西日本-巨人ドラフト4位)がこう語っていた。

「ランセさんの弟が入ってきて、オープン戦で結構、打ってるんです。広角に打てて、大きいのもいける。自分、地元が一緒なので、期待しているんですよ」
「ランセさん」とは、西川の兄・西川藍畝さんのこと。泉口の1学年上、2020年度の主将を務め、公式戦の出場機会こそ少なかったが、統率力に優れたリーダーだった。2020年秋にはチームの1部復帰に貢献している。泉口は中学硬式野球の和歌山日高ボーイズ出身で藍畝さんの1学年下、西川の3学年上にあたる。同じ中学硬式野球チームの後輩であり、尊敬する先輩の弟ということで、泉口も西川には大きな期待をかけていたのだ。

入学当初から大器と期待され、西川は1年秋にリーグ戦デビューを果たしたが、2年秋までの4シーズンで計11試合出場、2安打0本塁打と、力を発揮し切れずにいた。

「2年の冬は死に物狂いでバットを振りました。毎日、自分が納得するまで振り込んで、ひとスイングひとスイング、意識して取り組んで。その練習の成果が3年春に出たんだと思います。苦手だった低めの変化球にも対応できるようになりました」

西川は3年春の台頭の理由についてそう話す。

本来は内野手だが、出場機会を求めて外野守備に挑戦し、3年春には4番・左翼のポジションをつかんで一気にブレークを果たした。

兄が1部に押し上げたチームで、今度は自身が4番を打って大学日本一の座についた。「兄が主将のときにチームを一部に上げてくれたおかげで自分は入ってきたときから1部リーグで日本一を目指して戦うことができている」と兄への感謝の気持ちを心に持ってプレーしている。

チームの中心に成長し、打線を引っ張る存在に

代表合宿で内野の守備もアピール

夏には侍ジャパン大学日本代表の一員に選ばれた。6月、神奈川・平塚で行われた代表選考合宿では、もともと内野手であることから、紅白戦では遊撃や三塁のポジションもこなし、内野も守れることをアピールした。

7月、米国で開催された第44回日米大学野球選手権大会では、全5試合で日本代表の4番を打ち、19打数6安打、打率3割1分6厘の好成績を挙げた。日本代表は2007年以来となる敵地・米国での優勝を果たした。第4戦、第5戦のオーダーには3番・宗山塁(明治大学3年、広陵)、4番・西川、5番・渡部聖弥(大阪商業大学3年、広陵)と3年生がクリーンアップに並んだ。

大学トップレベルの選手たち、特に同学年の選手たちから刺激を受け、「大学ジャパンのメンバーはみんなすごかった。自分も周りの選手に負けないようにやっていきたい」とライバル意識を見せるようになった。青山学院大のチームメートである佐々木泰(3年、県岐阜商)とも入部時から同じ右打者としてチーム内で競い合ってきた。

今秋は各校バッテリーから厳しいマークに遭い、リーグ戦では打率2割1分3厘(リーグ24位)、1本塁打とやや成績を落としたものの、第2週の國學院大1回戦ではタイブレークの延長10回、無死満塁から右越えに決勝の3点三塁打を放つなど、春秋連覇に貢献。明治神宮大会では、初戦の日本文理大学戦の7回に決勝2ランを左翼席にたたき込み、春に続いて全国の舞台で持ち前の長打力をアピール。ただ、チームは決勝で慶應義塾大学に敗れ、大学4冠に導くことはできなかった。

ブレークの春、飛躍の夏、そして、苦難の秋ーー。様々な経験を積みあげる1年間となった。

明治神宮大会決勝での敗戦後、ひとり深々と相手に一礼した

素敵な名前に込められた思いは?

名前は歴史の「史」にサンゴ礁の「礁」と書いて「みしょう」と読む。3年春の活躍以降、報道陣から何度か「史礁という名前の由来は?」という質問を受けているが、そのたびに西川は「すいません……。分からないんです……。今度、両親に聞いてみますね」と苦笑しながら頭をかいた。

素敵な名前には、きっとご両親の思いが込められているはず。ぜひ、知りたいと思う。最終学年として迎える2024年。その名はドラフト戦線で何度も注目されることになるだろうから。

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