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日体大・土家拓大 けがでケアと準備の大切さを学び、高校時代から変化した「主将像」

「五冠」をめざす日本体育大で主将を務める土家(すべて撮影・井上翔太)

日本体育大学の勝ち上がり

5月1日(4回戦)105-75 國學院大学
5月2日(5回戦)106-86 中央大学
5月3日(準々決勝)79-69 拓殖大学
5月4日(準決勝)66-54 大東文化大学
5月5日(決勝)84-75 専修大学

5月5日に幕を閉じた第73回関東大学バスケットボール選手権(スプリングトーナメント)で、日本体育大学が2年連続22回目となる優勝を果たした。昨年度はスプリングトーナメントや12月の全日本大学バスケットボール選手権(インカレ)などの主要タイトル「五冠」を目標に掲げたが、達成ならず。今季はけがに悩まされてきた土家拓大主将(4年、北陸)を中心に、雪辱を狙う。

【写真】日本体育大学が連覇! 関東スプリングトーナメント決勝・準決勝・3位決定戦

ベンチで際立つ、コミュニケーションの多さ

専修大学との決勝には、日体大の強みが詰まっていた。「1試合で80点以上を取る」(藤田将弘監督)というコンセプトでオフェンスを組み立て、土家は昨年のこの大会でも流れを変えるシックスマンとして活躍した大森尊之(4年、小林)とともに、第1クオーター(Q)の途中から出場。縦横無尽にコートを駆け回る大森にパスを出したり、ときには自らジャンプシュートを成功させたりして、攻撃パターンを増やした。

浅野ケニー(4年、洛南)や介川アンソニー翔(2年、開志国際)といった身長190cm台の相手フォワード陣に対し、運動量で上回り、84-75で勝利。「ゴール近辺では劣るところもありますが、我々の舞台がフルコートだとしたら、身長はあまり関係なくなる。全体的に平均身長が高いチームを相手にも戦えることを表現したいと思っています」と藤田監督は誇る。

専修大との決勝で大森(9番)とともにコートに入る土家

加えて日体大の大きな特徴が、選手間や選手・監督間でのコミュニケーションの多さだ。土家はコートに立っていないとき、藤田監督と話したり、タイムアウト中に円陣でチームメートに声をかけたりする場面が見られた。「試合に出ているメンバーとは『自分はこう思う』というようなコミュニケーションを積極的に取っています。監督にも考えを伝えて『藤田さんはどうですか?』みたいな会話をしながら、それをまとめた結果『じゃあ、こうしよう』とみんなに伝えています」

けがを繰り返し「4年でコートに立つ」に切り替え

土家は北陸高校時代も主将を務めた。3年時のウインターカップでチームはベスト4入りを果たし、準決勝では仙台大明成に58-60で惜敗。土家は試合終了間際、逆転を狙って3ポイントシュートを放ったが、リングにはじかれた。

日体大では、けがに悩まされてきた。2年の時に「ジョーンズ骨折」と呼ばれる右足小指の疲労骨折を経験。主将を任された6月の関東大学新人戦(ルーキーズトーナメント)には出場できず、チームはこのとき優勝を果たした。半年から1年弱ほどが経ち、復帰できたと思ったら、今度は右足の外側をかばうあまりに、内側を痛めた。「肉離れや捻挫が癖になっていました」。けがを繰り返すうちに「しっかり治して4年の時にコートに立つ」ことへと目標を切り替えた。

長い離脱期間を乗り越え、コートに戻ってきた

けがを通じて学んだことは、ケアや準備の大切さだ。「正直、『自分は準備しない方がいいプレーができる』ぐらいに思っていたんですけど、全然そんなことなくて。けがをしたことで、練習でも1時間前からちゃんとコートで準備して、練習後もすぐに帰るんじゃなくて、しっかりケアをするようになりました。体に対する意識付けは、だいぶ変わりました」

土家はコートを離れている間、チームを外から見る機会が多くなったことで、高校時代と現在では、その「主将像」も大きく変わったと言う。「高校の時はプレーで引っ張ってコート内で声掛けをしていたんですけど、今はベンチから見た外からの意見を同じポジション(PG)の月岡煕(ひかる、3年、昌平)に伝えています。藤田監督にも伝えると『お前がそう言うのなら』と聞き入れてもらっています」

外からチームを見る機会が増え「主将像」も大きく変わった

チーム目標は「常勝」、今後も負けるつもりはない

日体大は今大会、2年前のルーキーズトーナメントとさほど変わらないメンバーで優勝を果たした。土家によると、当時は「みんな成績も何もない、イケイケの状態」からつかんだ頂点だったが、今大会は少々異なるという。「いま自分たちは『追われる側』ととらえていて、その中でも勝ち切れたことは成長と言えると思います」

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加えて日体大にとって初戦だった昨年のインカレ、オーバータイムの末に筑波大学に敗れた悔しさは全員が忘れていない。「悔しい」と言葉を発するだけなら簡単だが、今の主力選手たちは自主練習の時間を増やすなど、行動に移した。

前年のインカレ初戦で敗れた悔しさは、全員が忘れていない

スプリングトーナメントを制したことで、チームは8月10~12日に開催される世界大学バスケットボール選手権(WUBS)への出場権を獲得した。昨年、日本から出場した2校は、白鷗大学と東海大学。両チームはその後、インカレ決勝で顔を合わせており、国際舞台を経験したことがチームの飛躍につながったと見ることもできる。日体大はコロナ禍となる前は海外チームと試合をしたこともあるそうだが、コロナ禍後に入学した土家の世代以下にとっては、初めての経験だ。

「海外チームは背が高い、体が強いというイメージがあるので、いつもとは違うコンタクトになったり、圧もあったりすると思う。日本の大学代表として、恥ずかしくないゲームができるように、準備していきたい」と土家。チーム目標に「常勝」を掲げている通り、今後だって1試合も負けるつもりはない。

「常勝」というチーム目標は、練習試合も含まれている

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