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東海大・轟琉維「去年とは役割が違う」 スターターとして、芽生え始めた司令塔の自覚

新人戦で東海大のキャプテンを務めた轟(すべて撮影・井上翔太)

6月9日にあった第64回関東大学バスケットボール新人戦(ルーキーズトーナメント)決勝は、東海大学が日本体育大学を84-69で下し、5年ぶり7回目の優勝を果たした。今大会のキャプテンを務めた轟琉維(とどろき・るい、2年、福岡第一)が最優秀選手賞に選ばれた。

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準決勝で3ポイントに手応え「入る気しかしない」

81-69で迎えた第4クオーター(Q)最終盤、残り30秒を切り、東海大ボール。試合は決着し、もう相手はディフェンスを仕掛けてこない。ボールを持った轟はただただ時間を消化する中、終了間際に最後の3ポイントシュートを放った。これを沈めた直後、試合終了のブザーが鳴った。今大会13本目となる3ポイントを成功させ、山梨学院大学の菅野陸(1年、帝京安積)と並んで3ポイント王になった瞬間でもあった。

「あれを決めてなかったら2位だったので、危なかったです」と笑顔で振り返った轟。ルーキーズトーナメントの序盤は、自身の大きな得点源となる3ポイントシュートに苦しんできた。

大会の序盤はシュートタッチが悪く、3ポイントシュートに苦しんだ

トーナメント2回戦の玉川大学戦、3回戦の神奈川大学戦ともに、成功はゼロ。3戦目となった準々決勝の日本大学戦では16本放ち、4本を決めた。「最初は全然入らなくて、タッチも悪かったんですけど、試合が1日おきだったので、練習のときにコーチ陣と改善してきました」。練習拠点の体育館事情もあり、朝5時からチーム練習をしたり、相手のセットプレーを確認したり、轟自身は3ポイントの練習に充てたりしてきた。そこで次戦に向けて心がけたのは「打ち続けること」。実際に日大戦から、シュートタッチが良くなってきた感触があったという。

「めちゃくちゃ良くて、入る気しかしなかったです」と手応えをつかんだのが、準決勝の中央大学戦だった。「強気で狙っていこうと決めていました」と言う通り、第1Qから積極的に3ポイントを放ち、沈め続けた。9本中、成功は6本。完全に感覚をつかみ、自信を取り戻して臨んだ決勝の舞台だった。

日体大との決勝では3本の3ポイントシュートを沈めた

力を貸してくれた上級生、「スターばかり」の後輩たち

5月の第73回関東大学バスケットボール選手権(スプリングトーナメント)で、チームは山梨学院大に敗れてベスト16止まりだった。ハーパージャン ローレンスジュニア(4年、福岡第一)や中川知定真(2年、東海大諏訪)といった主力メンバーをケガで欠く状況だったとはいえ、スタートから出場した轟は「自分のせいで負けた」と悔しがる。

「課題しかない、良いところが一つもない大会でした。ゲームをコントロールできなかったところもあり、3ポイントも入らない。この1カ月間は3ポイントとディフェンスにフォーカスして、死ぬ気でやってきました」。ルーキーズトーナメントに向け、チームとしてラントレを増やし、ディフェンスの圧も「もう一段階挙げる」と意識を変えて取り組んできた。

スプリングトーナメントで同じく悔しい思いをした3、4年生も力を貸してくれた。「練習から上級生が引っ張ってくれて、(主将の大久保)颯大さん(4年、東海大浦安)も自分たちの大会ではないのに、いい意味で怒ってくれて、自分たちに厳しくバチバチとやってくれました。3、4年生のディフェンスの圧を受けてきたからこそ、今大会は余裕を持ててやれたのだと思います」と轟は感謝を惜しまない。

スプリングトーナメントの敗戦を「自分のせいで負けた」と悔やむ

ルーキーズトーナメントでの優勝は、佐藤友(1年、東山)や赤間賢人(1年、藤枝明誠)といった昨年の高校バスケ界を盛り上げたルーキーたちの活躍も見過ごせない。轟は「スター選手ばかり」と後輩たちを評し、ノビノビとプレーしてもらうことを心がける。「1年生が思いっきりできると、チームは絶対強くなる」という思いがあるからだ。

大学初タイトルも「ここがゴールではない」

福岡第一時代は3年のとき、エースとしてインターハイ優勝、U18トップリーグ全勝優勝、ウインターカップ準優勝と輝かしい実績を残し続けてきた。ただ、東海大ルーキーイヤーの昨年は、同じポジションで主将を務めた黒川虎徹(現・アルティーリ千葉)についていく立場。スタートからコートに立つ今年は「去年のままではいけない」。チームがプラスになるような発言をするなど、黒川の行動を自分なりに採り入れ、工夫しているという。

「去年とは役割が違います。去年は先輩に任せたり、頼ってたりしていた部分もあったんですけど、今年は自分がどうチームを動かすか。行けるところは自分で行ったり、周りを生かしたりというところをより意識しています」。スプリングトーナメントで敗れた責任を感じたのも、司令塔としての自覚が芽生えている証拠なのだろう。リーダーとしての意識を尋ねると、「今やっておかないと、3、4年生になって苦しむと思う。そのあたりは、今4年生の颯大さんを見て、勉強しています」と答えてくれた。

轟にとってルーキーズトーナメント優勝は、大学での初タイトルでもある。ただ「ここがゴールではないので、今後もリーグ戦、インカレと優勝して、ホッとしたいなと思います」。次に控える大会は、7月の第2回全日本大学バスケットボール新人戦(新人インカレ)。心強い仲間たちとともに、二つ目の栄冠をつかみにいく。

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