起死回生の反り投げ「レスリングの神様いた」 元木咲良が銀以上確定
一度もやったことのない技が五輪で出た。レスリング女子62キロ級の元木咲良は、準決勝の残り2分で2―7の劣勢だった。「金メダルをとりにきたのに、ここで負けてしまうんじゃないか」
不安に押しつぶされそうだった。組み合ったノルウェー選手からひざ裏に足をかけられ、背中から倒れかけた、その時だった。「フォール負けだけは、だめだ」
とっさにブリッジしたら、くっついてきた相手の体が真後ろに飛んでいった。そのまま押さえこみ、起死回生のフォール勝ち。決勝への道が開けた。
決まった反り投げについて、「怖くて試合どころか練習でもやったことがない。レスリングの神様が助けてくれたんだなって思いました」。恐怖心から解放され、涙が止まらなかった。
(藤田絢子)=朝日新聞デジタル2024年08月13日掲載