陸上・駅伝

駒澤大・帰山侑大 上尾ハーフでチームトップの2位「平坦もいけることを証明できた」

上尾ハーフで2位に入り、ガッツポーズでゴールする駒澤大・帰山(箱根駅伝の写真を除きすべて撮影・宮澤希々)

第37回上尾シティハーフマラソン 大学生男子の部

11月17日@上尾運動公園陸上競技場とその周辺(埼玉)
1位 棟方一楽(大東文化大2年) 1時間1分38秒
2位 帰山侑大(駒澤大3年)   1時間1分59秒
3位 村上響(駒澤大2年)    1時間2分04秒
4位 谷中晴(駒澤大1年)    1時間2分05秒
5位 入濵輝大(大東文化大3年) 1時間2分07秒
6位 小泉樹(法政大4年)    1時間2分13秒
7位 吉本真啓(駒澤大4年)   1時間2分30秒
8位 市川大世(中央学院大2年) 1時間2分32秒

11月17日に行われた上尾シティハーフマラソンで駒澤大学の帰山侑大(3年、樹徳)が2位に入った。今年度は出雲駅伝で2区に出走したが、全日本大学駅伝は補員に。箱根駅伝のメンバー選考と位置付けられるこの大会でチームトップの成績を残し、2年連続の出走へ大きなアピールとなった。

着順を重視も、自己ベストを大幅に更新

上尾ハーフは毎年、多数の箱根駅伝出場校がエントリーメンバー選考を兼ねて出場しており、今年も各大学主力級の選手たちがスタートラインに並んだ。調子も良く、むしろ「最初は足が軽すぎて力が入らないなという感じだった」という帰山は序盤、中央学院大学の吉田礼志(4年、拓大紅陵)が引っ張る大集団の前方に位置する。レースが後半になるにつれ、徐々に先頭集団が絞られると15kmを過ぎたあたりで仕掛けた。優勝争いは4人に絞られ、最後は2着でゴール。これまでの自己記録を大きく更新する1時間1分59秒のタイムをたたき出した。

序盤は先頭集団の前方につき、勝機をうかがった(A164のゼッケンが帰山)

「62分台前半、あわよくば1分台」を狙っていたと話すが、あくまでも重視していたのは着順。レース展開も「勝ち方にこだわらないで、勝ちにこだわる形」で進めたと振り返る。それだけに「優勝できなかったのは悔しいですね。そこがまだまだ自分の甘いところだと思ったので、これで満足せずに次の箱根が本番なので、そっちでもう一度記録を出せるようにチームに貢献したいなと思っています」と語った。

藤田敦史監督は「しっかり頑張った」と評価しつつも、「最後勝てなかったところが課題として残る。もうちょっとレース展開をうまくやっていれば勝てるレースだったんじゃないかと思う」と今後の課題を挙げた。

同級生の活躍に「自分は今何をしているんだろう」

今年度は出雲駅伝で2区に初出走し、区間4位と好走した。その約2週間後、チームでは全日本大学駅伝のメンバー選考にかかわる大事な練習が行われた。内容は10000mのペース走で、帰山はその練習を9000m地点で離れてしまった。事前に藤田監督からは「この練習を外したら全日本の出走はない」という趣旨を伝えられていたが、出雲駅伝の疲労が抜け切れていなかった。

その後のエントリー発表で補員が決定し、「これでもし走らせてもらっても、全日本はダメだなという感じが自分でもあったので、そこは仕方ないです。自分の実力不足」と割り切りつつ、当然ながら走れないことに悔しい気持ちもあった。

全日本は直前のポイント練習を外し、補員に。悔しさが残った

特に今年の全日本は同級生の伊藤蒼唯(3年、出雲工業)が3区で8人抜きの快走を見せ、山川拓馬(3年、上伊那農業)は最終8区でそれまでトップを走っていた青山学院大学と2分半以上の差をひっくり返す大逆転劇を演じた。現地で見ていた帰山も同級生の活躍に「(2人の走りは)刺激になりました。伊藤もたくさん抜いてくれたし、山川も最後あそこまで詰めて順位も上げてくれたので。同級生があんなに頑張ってて自分は今何してるんだろうというふうにサポートに回っていて思いましたね」と彼らの頑張りが今回の走りにつながったようだ。

今年は6区にこだわらず「平坦でもいける」

とはいえまず、目指すところは箱根駅伝の出走だ。年始の第100回箱根駅伝では初の大学駅伝で山下りの6区を任された。しかしスタート時、先頭との差は2分38秒、見えないライバルを追う展開で区間12位と苦しい走りになった。チームとしても最終10区までその差をひっくり返すことができず、2位に。初の「2年連続三冠」に期待がかかっていただけに悔しい結果となった。

第100回の箱根駅伝は区間12位と悔しい走りになった(撮影・佐伯航平)

主力だった4年生が抜け、前半のトラックシーズンで苦戦を強いられ、選手層を不安視する声も多く聞かれたが、出雲駅伝、全日本大学駅伝と初出走の下級生が活躍し、選手層にも厚みが出てきた。

そのため帰山は前回の箱根を走っているとはいえ、「まずはエントリー」と気を引き締める。「まだ(どの区間になるかは)わからないですけど、今年は6区にこだわらずに。平坦(へいたん)でもいけるっていうのを今回証明できたかなと思うので、任された区間でしっかり仕事をしたいなと思います」。チームの王座奪還へ力強く意気込んだ。

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