アメフト

激戦の新トーナメントを勝ち抜いた立命館大学と法政大学、甲子園ボウルで7度目の激突

左から法政大の矢澤監督、山田キャプテン、立命大の山嵜キャプテン、高橋監督。13日後の健闘を誓い合った(撮影・大坂尚子)

アメリカンフットボールの全日本大学選手権は12月15日の決勝・第79回甲子園ボウル(兵庫・阪神甲子園球場)を残すのみとなった。関東、関西の両リーグからの選手権出場校が1から3に増え、決勝以外でも関東勢と関西勢の対決が生まれた新トーナメント。激戦を勝ち上がって甲子園ボウル出場を決めたのは、9年ぶり10回目の立命館大学パンサーズと2年連続20回目の法政大学オレンジだった。両校は過去6度甲子園ボウルで対戦し、戦績は立命館大の5勝1敗となっている。

12月2日には立命館大の高橋健太郎監督(43)とRB(ランニングバック)の山嵜大央キャプテン(4年、大産大附)、法政大の矢澤正治監督兼ヘッドコーチ(51)とDL(ディフェンスライン)の山田晋義キャプテン(4年、日大鶴ケ丘)が参加し、阪神甲子園球場で記者会見が開かれた。4人の発言内容を再現します。

もう2週間このチームでできることに感謝

――選手権決勝の甲子園ボウルを前にした心境をお話しください。

山嵜:立命館パンサーズは8年間甲子園ボウルから遠ざかっていて、今年勝ち進んで出場できたということで、甲子園は自分にとって夢の舞台なのでしっかり勝ちきって日本一になれるようにしたいと思います。

山田:いままで9戦を戦ってきた中で、甲子園という大きな舞台に立てるのを光栄に思います。ほんとにつらいこともあったんですけど、部員一同全員で戦って、ここまで来られました。自信を持って甲子園に立ちたいと思います。またTOP8のチームだったり中京大学さん、関西学院大学さんの思いも背負っているので、立命館さんは本当に強いと思うんですけど、しっかり戦いたいです。

記者会見の日、山嵜は関西学生リーグの最優秀選手に選ばれた。「チームのみんなでとった賞だと思ってます」と語った(会見写真はすべて撮影・篠原大輔)

矢澤:最高の舞台で今シーズン10試合目を戦えることに感謝を申し上げます。ここまで長い道のりをチームで歩んできました。もう2週間このチームでフットボールができることに感謝して、最高の舞台で立命館さんといい試合をしたいと思います。

高橋:立命館らしい試合をみなさんにお見せしたいと思っています。法政大学さんと違ってリーグ戦で1敗を喫しました。我々の取り組みは何が間違っていたのか、自分たちのスタイルは何なのか。そういったところを考えて、考えて、その先に自分たちらしくフットボールを楽しんでやっていこうと立ち返って取り組んだ結果、甲子園ボウルというチャンスをいただけたと思っています。勝つとかそういうことよりも、いままでやってきたことをフィールドで発揮できるようにサポートしたいと思います。立命館らしいフットボールをやりたいです。

――相手の印象と、それに対してどう戦っていくのか教えてください。

山嵜:春はひょうたんボウルで対戦して立命館が勝たせていただいたんですけど、法政大学さんは秋にエースQBの谷口選手が帰ってきてオフェンスの力が上がっていると感じてます。点の取り合いになると僕は予想しているので、自分の役割をまっとうして、全員で勝ちたいなと思います。

山田:立命館さんのオフェンスは山嵜選手を初めとしていいRBがいて、強力なOLが5人いらっしゃるので、自分はDLなので、ディフェンスとして見て、本当に強いオフェンスを展開されてると思います。去年、今年と春に対戦させていただいたんですけども、勝ててない中で、こうした大きな舞台で戦えます。ほんとに強いですし、小手先では通用しない相手だと思っているので、法政らしく全力でぶつかって、あとはもう結果がどう出るかだと思うんで、全力で挑んでいきたいと思います。

釣りが趣味の山田。90cmのブリを釣ったことも。「甲子園で日本一を釣り上げられるように頑張ります」

それぞれの立場から感じた新しいトーナメント方式

――新しいトーナメントを戦ってきての思いをお聞かせください。

高橋:この方式になって選手もコーチも非常に苦しいというかつらいというか、タフなシーズンになっていると思います。一方でアメフトのファンの方々は甲子園ボウルでしか見られなかった対決が、3回も4回も見られるという声がSNSで挙がってるのは事実ですので、この方式になってフットボールの盛り上がりが出てきてると思ってます。タフなシーズンがこれからも続きますけど、そこを乗り越えられるようなチームを作っていきたいと思います。今年は初めてだったということもあって、そういうタフさの部分では甘いところがたくさん出たシーズンだったかと思います。チームのマネジメントが難しくて、どのチームも悩みながらやってたんじゃないかと思います。運もあって私たちはここに立たせてもらってるのかなと思ってます。ここに立てるのは2チームだけですから、我々も関西学生リーグの代表として、東北大学さん、早稲田大学さんの思いも背負って、はつらつとしたスポーツマンらしいゲームを展開したいと考えています。

幼い頃からの阪神ファンで岡田前監督が好きだった高橋監督。昨年9月のリーグ優勝時は内野席で観戦していた

矢澤:学生スポーツである以上、学生の成長が目的です。そういう意味においては試合数が増えるというこのフォーマットは非常に有意義だと思います。相手が強くなればなるほど、非常にいい経験ができる。先日、関西学院大学さんとやらせていただき、そしてさらに立命館大学さんともやらせていただく。これは本当に素晴らしいことだなと思います。

法政大1年のときからDLとして甲子園ボウルに3度出場した矢澤監督。グラウンドに入るなり「緊張するなあー」と言った

――選手の立場としては、新しいトーナメントは苦しかったでしょうか、楽しかったでしょうか。

山嵜:試合が一番楽しいですし、自分たちを一番表現できる場だと思っているので、楽しかったです。甲子園ボウルまで最高に楽しみたいと思ってます。

山田:ほんとにめちゃくちゃ楽しかったです。関東で関西学院大学さんとやったことなかったですし、九州まで行って中京大学さんとやれましたし、いろいろ初めての経験をさせていただいたので感謝しかないですし、あと一戦あるんですけど楽しいシーズンでした。

ともにシーズン10戦目。冬の甲子園で最後に心から笑えるのはどちらのチームか(撮影・大坂尚子)

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