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日大・米須玲音と大東大・山内ジャヘル琉人 高校日本一争った2人がB1川崎で仲間に

川崎ブレイブサンダースとプロ契約を結んだ日本大学の米須玲音(左)と大東文化大学の山内ジャヘル琉人(会見はすべて撮影・浅野有美)

B1の川崎ブレイブサンダースは日本大学4年の米須玲音(東山)、大東文化大学4年の山内ジャヘル琉人(仙台大明成)と2024-25シーズンの特別指定選手契約を締結したと発表し、東京都内で会見を開いた。4年前の2020年、ウインターカップ決勝で日本一を争った2人が、プロの舞台ではチームメートとして切磋琢磨(せっさたくま)する。開催中の第76回全日本大学バスケットボール選手権(インカレ)後にチームに合流する予定だ。

縁があった川崎ブレイブサンダースとプロ契約

大学屈指のポイントガード(PG)米須玲音と、ハードなディフェンスや力強いドライブが持ち味の山内ジャヘル琉人。4年前に高校日本一を争った2人が、大学を経てプロキャリアのスタートに選んだのはB1川崎ブレイブサンダースだった。

11月22日に東京都内で開かれた会見に緊張した面持ちで臨んだ2人。川崎の北卓也ゼネラルマネージャー(GM)が「将来的に川崎の中心選手になってほしい」と期待を寄せると、ともに「期待に応えられる選手になりたい」と意気込んだ。

長崎県出身の米須は東山高校3年時にウインターカップで準優勝を果たした。日大では1年時に関東大学バスケットボール選手権で15年ぶりの優勝に貢献し、アシスト王も獲得。3、4年時の関東大学バスケットボールリーグ戦でもアシスト王に輝いている。

「リスペクトを忘れずにやっていきたい」と話した米須

沖縄県出身の山内は身長190cmのシューティングガード(SG)。仙台大明成高校3年時にウインターカップ決勝で米須を擁する東山を破って頂点に立った。大東大では2年時にインカレ3位に入り、3年時にFISUワールドユニバーシティゲームズ日本代表に選出された。

「メンタル的に強い選手でありたい」と語った山内

米須は高校3年時と大学1年時に川崎の特別指定選手として活動し、リーグ戦に出場。「よねすけ」の愛称でファンに慕われている。山内は大学3年時に川崎の特別指定選手となったが、チーム合流直前にケガをしてリーグ戦への出場はかなわなかった。ともに大学卒業を機に、縁があった川崎とのプロ契約に至った。

米須のアシスト、山内のドライブに期待

川崎の2023-24シーズンの成績は33勝27敗で中地区8チーム中4位。チャンピオンシップ進出を逃した。クラブの改革を進める中で2人の有望株にかかる期待は大きい。

北GMは会見でそれぞれの強みを紹介。米須については「ビジョンが広く、味方を生かしたアシストが抜群。(チームが目指す)速い展開には合う」とし、高校時代からPGとして培ったゲームコントロールの経験を生かしてほしいという。

山内に関してはフィジカルの強さと運動能力の高さを評価。「ドライブが非常に素晴らしい。ファーストブレークでトップスピードに乗るのも速い。ディフェンスからオフェンスに切り替えたときに山内選手が走り、米須選手からロングパスを受けてダンクするところを見てみたい」と、声を弾ませた。

大学屈指のPGとして活躍してきた米須(撮影・井上翔太)
ハードなディフェンスと力強いドライブが魅力の山内(撮影・井上翔太)

ケガに苦しんだ時期を乗り越えて

2人とも高校3年時のウインターカップでベスト5に選ばれ、鳴り物入りで大学バスケ界に入ってきた。だが、大学時代は順風満帆ではなかった。ケガに悩まされ、棒に振ったシーズンもあった。もどかしかった日々をこう振り返る。

肩やひざの大ケガを負った米須は、「リハビリをしている間に体づくりの面で成長したと思っている。ベンチから離れる経験をへて、いろんなところからプレーを見て、自分が学んだこともあれば、ほかの選手にアドバイスすることもできるようになった。自分なりにこうしたらいいよと伝えられるようになったのは大きな経験」と言う。肉離れを繰り返した山内も、「ケガしないためにドライブにいくところ、いかないところの判断は成長したと思います」と続けた。

リーグ戦などで顔を合わせているが、お互いの印象についてどう感じているのか。

「ジャヘルは高校時代から能力が高く、すごい迫力を感じる。大学で何回か対戦したことがあるんですけど、誰にも止められない選手」と米須。山内も「玲音は高校のころからアシスト、それ以外でもここぞというところの判断はすごい。大学で対戦していてもその部分のレベルが本当に高いなと感じます。敵チームにいると嫌な選手ですけど、味方になると本当に心強い仲間だと思う。玲音と僕の連係プレーが楽しみです」と笑顔を見せた。

似た境遇の大学時代を過ごした2人。卒業後はチームメートとしてレベルアップを図る。Bリーグで活躍した先にはNBAなど海外でプレーする夢も同じだ。

3年時にFISUワールドユニバーシティゲームズを経験した山内は、「海外の選手相手に自分が通用しない部分が多かった。まず、しっかり川崎で結果を残して日本代表に入って、主力選手になれるように学んでいきたい」。米須も2028年ロサンゼルス・オリンピック日本代表入りに向けて準備していく。

インカレに向けて2人とも「自分が勝ちます」と意気込んだ

インカレ「自分が勝ちます」と互いに闘志

2人はインカレ後にチームに合流する。シード権を持つ日大と大東大は、それぞれ5日にインカレ初戦を迎える。米須、山内にとってはともに1年時以来のインカレとなる。

組み合わせにより両校がぶつかるのは決勝だ。米須は「日本一になって終えたい。お互いに勝ち上がってジャヘルと決勝で戦えたら」と展望を語ると、山内も「ケガしていた分、勝ちたい思いは強い。玲音のいる日大と決勝で当たって、感動を届けられる試合にしたい」と力を込めた。

米須が「最後は必ず自分が勝ちます」と闘志を燃やすと、山内も「自分が勝ちます」と即答し、掛け合いは息ぴったりだった。

日本一をかけた2人の熱い戦いが再び見られるだろうか。プロ入りを前に、大学ラストイヤーのインカレで一花咲かせてくれることを期待したい。

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