初の新人インカレで大東大が優勝 ルーキー塚本智裕の流れを変える1本で日体大に勝利
全日本大学バスケットボール新人戦(プレ大会)決勝
7月9日@国立代々木競技場 第二体育館(東京)
大東文化大学 70-54 日本体育大学
優勝 大東文化大学
準優勝 日本体育大学
3位 中京大学
4位 日本大学
テスト大会という位置づけで今年、全日本大学バスケットボール新人戦(プレ大会)が行われた。その記念すべき最初のチャンピオンには、男子は大東文化大学が輝いた。6月の関東新人戦では3位。その時の悔しさを見事に晴らした1、2年生を、西尾吉弘ヘッドコーチ(HC)はこんな言葉でねぎらった。「リベンジできて本当に幸せだな」
日体大との決勝戦、ルーキー・塚本が牽引
決勝で顔を合わせた日体大とは、5月の関東大学選手権(トーナメント)も含め公式戦では今季初対決。21年ぶりに関東新人戦を制した相手はまず、ゾーンディフェンスを敷いてきた。だが、大東大は思い切りの良さが功を奏した。
品田真吾(2年、土浦日大)の1本目を皮切りに、塚本智裕(1年、北陸学院)が3本、品田が2本、山内ジャヘル琉人(2年、仙台大明成)が1本、計6本の3ポイントを第1クオーター(Q)から突き刺して主導権を握る。守っては相手の強みである速攻を出させず、身長206cmのムトンボ ジャンピエール(2年、東山)がアウトサイドでボールを持てば、あからさまにマークを外して揺さぶった。
第1Qを終え、23-10。好スタートを切ったものの、それ以降はゴール下でムトンボが本領を発揮し始め、じわじわと点差を詰められてしまう。それでも大東大は、ムトンボ以外の得点をチームディフェンスで抑え、オフェンスでは塚本が輝きを放った。
後半、背番号3のルーキーはペースを握られそうになっても得意のジャンプシュートで幾度となく流れを断ち切り、第4Q中盤には自身のシュートで56-45とすると、この試合で初めて“吠えた”。これまでクールな表情で得点を取り続けていた塚本が沈めたこの1本、「うぉい!!」と感情をあらわにした姿が、チームのスイッチを入れたようにも感じた。その後の大東大は再び日体大を引き離し、70-54で決着がついた。
大東大の主将を務めた品田は関東新人戦を振り返り、「キャプテンとしてもプレーでもチームを引っ張ることができなかったです」と言い、今大会はリベンジを期す舞台だった。そんな中で準決勝と決勝ではそれぞれ5本の3ポイントを決め、3ポイント王にも輝いた。「今回は3ポイントやディフェンスでチームを引っ張って優勝できたことが良かったです」と安堵の表情を浮かべた。
インカレ本戦の布石となるか
プレ大会として開催された今回の初の試みは、バスケのさらなる普及・発展と新人世代の強化を目的としたものであり、全国9地区の予選を勝ち抜いた男女各16大学が予選リーグ戦(グループステージ)とトーナメント方式でしのぎを削った。男子では東海地区1位の中京大学が3位と躍進。筑波大学、日本大学と関東の強豪校を倒し、同校の中野友都(2年、九州学院)は得点王、高橋快成(1年、富田)はアシスト王を受賞した。
中野は「この新人戦で関東のチームに勝てたことは大きいです」と手応えを口にしつつも、「これを自信ではなく過信してしまうと良くないですし、本番はやっぱりインカレです。インカレでも結果を出せるよう、練習からハードにやっていきたいと思います」と気を引き締めた。
大会を通していい経験となったのは、「打倒関東」を目論む地方チームだけではない。優勝を手にした西尾HCは言う。
「うちのブロックでは日本経済大学や京都産業大学もすごくいいチームでしたけど、広島大学が一番コートでしゃべっていましたし、チーム全体で『40分間やり続けるぞ』という姿勢がありました。僕らもかなり勉強させられましたし、いい経験をさせてもらいました」
ルーキーズたちが主体となり、自らのアピールとともにチーム一体となって頂点を目指した。今年の12月、再び全国の猛者たちが集うインカレで、この経験がどう生かされるか楽しみにしたい。